ぼくの暮らしているまちの下にはお父さんとお母さんが育ったまちがあるある日、お父さんが教えてくれたぼくが走ったり跳ねたりしてもびくともしないこの地面の下にまちがあるなんてぼくは全然気がつかなかった瀬尾夏美さんによる『二重のまち/交代地のうた』(書肆侃侃房)はこうして始まる。この物語は、東日本大震災の“復興工事に伴う嵩上げが盛んであった2015年の陸前高田で、かつての町跡が失われていく過程を眺めながら、い