【ベランダ菜園におすすめの野菜&ハーブ #11】4月はトマトを植えよう!

教えてくれる人

てしま農園 代表 / 龍 慶介さん自衛隊のパイロット、大手広告出版会社と異色の経歴を経て、10年前に農業の世界へ。“植物のプロとお客様をつなぐ”をコンセプトとした『てしまの苗屋』を立ち上げる。初心者の方に植物を育てることの楽しさを伝えたいと、苗の丁寧な育成はもちろん、購入される方への説明や相談にも積極的に対応。失敗しにくい苗の販売と育成に力を注いでいる。

植物への愛情たっぷりの龍さんに、4月のベランダ菜園におすすめの野菜&ハーブと基本的な知識やアドバイスをいただきました。

いよいよ全国に向けて出荷がスタート!

編集部「桜も開花がはじまりましたね」

龍さん「日に日に暖かくなり、すっかり春めいてきましたよね!虫たちの活動開始と共に、てしま農園でも3月末から農家を中心とした出荷作業が本格化してきました。シーズンに合わせて沖縄から北海道まで全国各地の方々が、うちのネット販売を利用してくださっていますよ」

4月におすすめの野菜は「トマト(CFプチぷよ)」

トマト(CFプチぷよ)を上手に育てるには?

最適な環境と植え付け方法

編集部「トマトはどんなプランターに植えるとよいですか?」

龍さん「トマトは土の量と収穫量が比例するので、深みのある大きめのプランターに植えるとよいです。一般的な30cm幅の横長のものなら1つのプランターに対して1つの苗、といった感じです。

トマトの茎はいろいろな伸ばし方があるんですが、初心者でも簡単にできるのは1本の茎で育てる方法です。苗に対して垂直に150cmくらいの支柱を立てて、麻紐を使いながらまっすぐ伸びるように誘導します。

強風が入り込む場所の場合は、転倒防止として3本の支柱で支える方法もあります。この場合も、麻紐を使って支柱のまわりに巻き付くように誘導しましょう。ある程度伸びたら、茎の先をカットする『摘芯』をおこないます」

編集部「そのほかに気をつけることはありますか?」

龍さん「一番花をちゃんとつけてあげることですかね。この第一花房に実がならないと、葉っぱばかりが茂って“つるボケ”してしまうんです。

確実に実をつけさせるためには、筆や綿棒などで受粉を促してもOK。一番花はとても大切なので、間違えて切ったりしないでくださいね。トマトは不思議なくらい規則正しく『葉→葉→葉→花房』の順番に育つので、一番花がつくタイミングは分かりやすいと思います」

水と肥料のやり方

龍さん「トマトの失敗でもっとも多いのは、水のやりすぎです。土の表面が乾き葉先がくたびれたくらいが水やりのタイミングなので、毎日する必要はありません。また夜間に土の中に水が多く残っているとよくないので、水やりをする場合は必ず朝におこないましょう」

編集部「葉先がくたびれた状態と本当に枯れている状態との区別がつかなくなりそうで不安です……」

龍さん「本当に枯れているときは葉っぱがそり上がって乾燥パセリのような状態になるので、ちゃんと見分けがつくと思いますよ!」

編集部「安心しました。肥料については、どうですか?」

龍さん「植え付けから枯れるまで、20日に1回の頻度で、固形肥料ひと握りおよそ25gを茎に当たらないようにパラパラと与えてください」

想定されるトラブルと対処法

編集部「気をつける病害虫はありますか?」

龍さん「トマトはアブラムシがよくつきます。駆除方法はいろいろありますが、食用油やデンプンのりを使った方法がおすすめですよ。また、立ち枯れ病や青枯れ病など連作障害に起因するものが多いので、植え込みには新鮮な土を使いましょう。

根腐れを防ぐために、下にスノコを敷いておくといいです。直置きする場合は、必ず鉢底石などを入れて水抜けのいい環境を心掛けてあげてください」

編集部「部分的に枯れてしまった場合の対処方法はどうでしょう?」

龍さん「枯れた部分は、カットしてすぐに取り除きましょう。それと、トマトは育てていると脇芽がたくさん出てくるので、細かく丁寧に取り除くようにしてくださいね」

トマトの収穫時期と収穫方法は?

編集部「4月に植えると、収穫時期はいつ頃になりますか?」

龍さん「最初の収穫は、7月頃ですね。上手くできると11月くらいまでは取れるので、かなりコスパがいい野菜ですよね(笑)

万が一、育てている途中で折れてしまった場合には、脇芽を1本放置して伸ばすとまた育っていくので、初心者の方も比較的簡単に長く楽しめるんじゃないかと思います」

編集部「じゃあトマトって、ずっと育ち続けるんですか!?」

龍さん「基本的には、植えたその年の冬(気温が10℃を下回ってくる時期)に茶色く枯れて終わっていきます。そうなったら、引き抜いて処分してOKです」

トマトをおいしく食べるには?

編集部「トマトは収穫したら、すぐ食べられるのがいいですよね!」

龍さん「あっ、収穫後すぐに冷蔵庫に入れるのではなく、少し日光に当ててみてください。これを追熟と言うのですが、甘味が増しておいしくなります。まだ赤くなりきっていない実も、雨が降りそうだったら早めに収穫して追熟させるのがおすすめです」

編集部「トマトは料理のレパートリーも多いので、おすすめレシピを挙げるのってむずかしいですよね」

龍さん「加熱用のトマトがあるように、品種によってベストな調理法も異なりますしね。でもベランダ菜園は、採れ立ての食感や新鮮さを一番楽しむことができるので、個人的には生で食べて欲しいなと思います。

あと間違いなくておすすめなのは、トマト×バジル×モッツァレラチーズのカプレーゼです。これが、つまみには最高なんですよね~!という訳で、次回はバジルを紹介します♪」

編集部「トマトと最高の組み合わせですね!次回が待ちきれないです~!」

コツを掴んでよりおいしく食べよう

栽培が簡単なイメージのあるトマトですが、上手に育てておいしく食べるにはコツがあるんですね!かわいらしい花が咲き、実がなり、色が変わって--と、目で見て楽しむこともできます。

今は、食感や味が異なるさまざまな種類があるので、ご自分の好みや調理法に合わせていろいろな品種を植えるのも楽しいですよね。お子様にも人気のトマト、この機会にぜひチャレンジしてみてください!

写真・取材・文/鎌上織愛(macaroniライター)