◆退職して独立を決意。上司に報告すると…

 尚美さんはその後、しばらくして会社に復帰しました。しかし、上司のパワハラとモラハラは変わりません。ちょうどその頃、交際していた彼と結婚の話が出たのを機に、会社を辞める決意をしました。

「辞めると言ってもいわゆる“寿退社”で専業主婦になるつもりはなく、それを機に独立するつもりでした。後々、上司に知られて文句を言われるのも嫌だったので独立のことを話したんです。

 すると上司は今まで見たことない顔つきで怒り始め、『お前のような無能が独立できるわけねーだろ!うちから客引っ張ってたらタダじゃおかねーからな!』と怒鳴られました。もちろんそんなつもりはありませんでしたが、上司のその態度を見て未練なく退社することができましたね」

◆独立して安定した生活を謳歌中

 それからしばらくして尚美さんは結婚。1年の育児休暇をとることになりましたが、その間も独立の準備に追われていました。

「最初は全然、仕事の依頼は少なかったです。でも、ネットの普及やコンビニから成人誌の販売が中止になったこともあり、当時仕事をふってくれていた出版社の社員さんがweb媒体や一般週刊誌に転職していったんです。『何かあればお願いします』と営業を続けていた甲斐もあり、少しずつ仕事を回してもらえるようになりました」

 現在は数社の編集部に仕事を委託され、安定した収入を保っている尚美さん。ところで、元職場のパワハラ上司は現在、どうなったのでしょうか。

◆あの“パワハラ上司”は今…?

「編プロ自体は数年前に倒産しました。元々、成人誌しか作っていなかったので仕方ないですよね。元上司はしばらくフリーライターをしていたようですが、成人誌向けの雑誌しか作ってこなかったので仕事は全然なかったそうです。

 編集部の人いわく『同じようなエロ系の文章しか書けないので、あまりにも使えなくて頼まなくなりました』と言っていました。仕事がなくなった元上司は今は飲食店のアルバイトで生計を立てていると風の噂で聞きましたね……」

 過去に尚美さんに怒鳴っていたことが、そのまま自分自身に返ってきたようです。仕事がなくなったのは人柄も関係しているのかもしれませんね。まさに因果応報といえるでしょう。

<取材・文/結城 イラスト/磋藤にゅすけ>

【結城】
ライター・社会取材系。子育てや家庭問題、現代の生きづらさなど、社会の現実に根ざしたテーマを取材し、読者に考えるきっかけを届ける記事を執筆。