ESSE読者から寄せられたお悩みに、清水ミチコさんがお答え!

Q.「おばさん」というワードにモヤモヤ…

5歳と14歳の子をもつ44歳です。先日、4歳上の人に「私たち、おばさんだから」とひとくくりにされ、モヤモヤしました。確かに世間的にはおばさんと言われる歳かもしれませんが、下の子がまだ幼く、年齢より若いつもりでいたので落ち込んでいます。

ままんごさん(44歳・アルバイト)

A.怒りの根拠がわかれば、傷の防御に役立つ

このお悩みの加害者は私です。小学生の頃、自宅の一階は「清水屋」という商店でした。ある日、「ミッちゃん、このお菓子いくらかわかる?」と、子どもを抱っこした女性に尋ねられました。私はその商品を片手に、レジにいた母親のところに走り寄り、聞きました。手柄とるど〜。

「これ、いくらかって。あそこのおばちゃんが」

しかし振り返ると、そこには鬼の形相の女性が。「おばちゃん? 私、そんなこと言われたことないんだけど。ねえ、なんで?」。心底びっくりしたという顔で怒って詰め寄ってきた女性に対して、母が私を背中に隠し、すぐ謝まりました。

「ごめんなさいね! どう見てもお姉さんなのに、間違えちゃったみたいで。まだ子どもでなーんにもわかってないもんで」

私は驚きました。てっきり、子どもをもってるお母さんというのは、だれでも「おばちゃん」というものだとばかり思ってたのです。あとで叱られながらも、母親がそのときの「なーんにも」をとくに大きく強調してたのが印象的で、「自分はとても悪いことを言ったんだな」ということだけはよくわかりました。

自分が同じことを言われて、怒りを実感したのは10数年ほどたってからのブーメランでした。ブーメランの数も多すぎです。母もあれだけのスピードで謝ったところを見ると、おそらく同じ経験があるのでしょう。

だれもが通るであろう、必ず傷つくブーメランストリート。被害者にもなってみると、「まだおばちゃんじゃない!」とは、なぜか叫べない悔しさもあります。加害者で被害者でもある私にせめてできることは、「これは傷つく言葉だ」と広めていくことくらいでしょうか。

ちなみに私は一度「人はなぜ老いへの言葉で怒るか」を、調べたことがあります。それは万国共通で「死に近い」ことを意味するからなんだそう。人が怒るワードは、「自分が認めたくない真実」を少々含むものだそうですが、自分の怒りの根拠をわかっていると、次にまた言われたときの傷の防御に役立つと思いまして。