ヒロインを務めた連続ドラマの放送が終わり、次回作の準備に入っている白石麻衣さん。

そんな白石さんをお連れしたのは、南青山にひっそりと佇む一軒家イタリアン。

彼女が語ってくれた、いま現在の仕事観、そして結婚観とは?


「誰かの応援が、前に進むための原動力になります」


「20代の頃はお店を選ぶ際に価格を重視していましたが、30代になったいまは、どんな食材を使っているかなども気にするようになりました。

以前と比べて視野は確かに広がっています。でも、コスパのいいお店はまだまだ開拓できていないジャンルかも。なので、今回のレストランにはなるほどなあと思わされました。

味覚に限らず五感を刺激されると、食事の満足感って桁違いに高まるものなんですね!」

撮影の感想を求めると、白石麻衣さんはすらすらと話し始めた。

撮影中、ホタテのスペシャリテを口にしながら、その黒目がちな瞳を大きく見開いてみせたが、あれは見せかけでなく、本心からのものだったようだ。

それにしても、美しい。対面するたび、まるで陶器のような透明感あふれる肌に惹きつけられる。

ふと、“顔は心を写す鏡”というフレーズが頭に浮かんだ。本誌への登場は約1年ぶりのことだが、おそらく穏やかで充実した日々を過ごしてきたのだろう。

そう思って近況を尋ねてみると、白石さんの口から象徴的なエピソードが語られることになった。

「個人として初めてソロカレンダーを作って、この3月にトークイベントを開催したんです。

私が乃木坂46を卒業したのはコロナ禍の真っ只中のことだったので、卒業公演は配信ライブになりましたし、その後もファンの方と会ってお話しする機会を持つことができなかった。だから、久しぶりのリアルイベント。

ワクワクしながら会場に向かうと、当選して足を運んできてくれた方々の中に見覚えのあるお顔がいくつも見つかって、懐かしさのあまり泣きそうになりました。中には顔と名前が一致する方もいて、昔からの友人と再会した時のように言葉を交わしたりして。

応援してくれる人がいることのありがたさや、応援が挑戦する原動力になることを改めて実感しました」

そう話す白石さんの瞳はきらきらと輝きを帯びていた。


女優として輝きを増す白石麻衣が感じた“初心に返る”大切さ


初心に返ると、仕事を始めた当初の気持ちや目的、価値観を思い出し、背筋の伸びる思いがする。

19歳で人気アイドルグループの一員になり、多くのファンを夢中にさせた彼女は、自らの立ち方を再確認したことにより、こうして希望にあふれているのだろう。そうだとすれば、今後の展開が実に楽しみである。

一体、どんな未来図を描いているのか。かつてのインタビューでは「自分の可能性を限定したくないから、先のことはあまり考えない」とも語っていたけれど……。




「いま、お仕事で最も軸足を置いているのはお芝居です。女優業は自分を成長させてくれるのでこれからも励んでいきたいと思っています。ただ……」

そこで彼女は言いよどんだ。そして、慎重に言葉を選ぶようにして話した。

「それだけ、というのは、やっぱり私にはしっくりこなくて。乃木坂46を卒業してひとりで歩く道を選んだからこそ、自分らしく生きたいと思いました。

それで、もともと興味があったモノ作りをやってみることにしたんです。その中でアクセサリーを選んだのは、デザイン次第で女性、男性を問わずユニセックスなアイテムになりえるから。どなたでも手に取っていただけるのは素敵なこと。

さっきお話ししたトークイベントにも身に着けてきてくれた方がちらほらいて、ファンの方とのつながりが強くなったようで嬉しかった。

逆にアクセサリーをとおして私に興味を持っていただけたら、それも幸せなことだし、その方たちをがっかりさせない存在でありたいです」

白石さんは一人称でものを語ってはいるが、いつだって自分以外の誰かを意識している。だから言葉が優しい。

さすがは国民的グループの顔としてセンターを務めて、“絶対的エース”と呼ばれた人だ。


「結婚に対する憧れはもちろんあります。でも焦りたくはない」


では、人に見られる現在の立場を一切抜きにして、ひとりの女性としてはどんな風にありたいのだろう。

30代をどう生きるかで40代が決まり、40代をどう生きるかで50代が決まる。白石さんは今年で32歳だ。

「20代はとにかくたくさんの経験を積むことが大事だと思ってやってきましたが、30代においては自分の時間も大切にした方がいいのかなと思っています。

体と心の声に耳を傾けて、疲れたら休んで、美味しいものを食べたりして。オフを充実させることが自分の個性になり、結果として周りに良い影響を与えられるのかもしれません」

それを聞いて、ずばり尋ねてみた。結婚への興味は?



壁面を彩る淡い青は、店名にもなっている“み空”色。店内に飾られるアートピースの数々を、白石さんは見惚れたように眺め回していた


「素敵な人に出逢った時が、それが私の結婚適齢期。1年前のインタビューで語った考えは、いまも変わりません。

結婚に対する憧れはもちろんあるし、いつかできたらいいなと思っています。でも、焦る気持ちはありません。焦ってするようなことでもないし、結婚はゴールじゃないとも思います。

したからといって、必ず幸せになるとも限らないし。いますぐしたいという思いはそこまでないですね」

それならば、いま、白石さんの心を満たすこととは?

「う〜ん、やっぱり美味しいものをいただくことですかね。普段は外食するより自炊することの方が多いんですけど、今日のような素敵なお食事を体験すると、リフレッシュして多幸感に包まれます。

最近、銀座にも興味が出てきました。細い路地に入ると個性的なお店が連なっていて奥が深い。和菓子も洋菓子もたくさんありそうなので、時間を見つけて開拓したいです!」と、白石さんは食べ物にまつわる話を続けた。

食いしん坊であり、やっぱりサービス精神が旺盛なのだ。


■プロフィール
白石麻衣 1992年生まれ、群馬県出身。乃木坂46の1期生として活躍後、2020年に卒業。現在は女優業の他、アクセサリーブランド「ALP」のディレクターを務める。YouTube公式チャンネル『my channel』は、130万人超の登録者数を誇る。

■衣装
ワンピース¥132,000〈N21/IZA TEL:0120-135-015〉、ピアス¥24,200、右手リング¥28,600、左手リング¥28,600〈すべてスワロフスキー・ジュエリー/スワロフスキー・ジャパン TEL:0120-10-8700〉、シューズ¥159,500〈セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス TEL:0570-016600〉、バッグ¥139,700〈トリー バーチ/トリー バーチ ジャパン TEL:0120-705-710〉

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東京カレンダー最新号では、白石麻衣さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、白石さんがやってみたい“大人の〇〇”とは?

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