今週のテーマは「たった一度しかデートをしていないのに、恋人候補枠から友達枠に降格になった。その理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:青学初等部出身、実家は田園調布…。絵に描いた“東京の正解”のお坊ちゃまなのに、モテないワケ




勇太と出会った時、私はピンと来た。私より1つ年上で28歳の大手ゼネコン勤務だと聞いていたけれど、東京出身のお坊ちゃまで、実家が太い。

それに爽やかで面白い人だったし、最初は「ものすごくアリ!」と思った。

しかし一度デートをして、ナシに変わってしまった。

最初はアリだったのに、どうしてその後発展しないのか?

それは、デート中の出来事だった。本人に自覚はないと思うし、耐えられないほど嫌だったわけではない。

でも「ここを直せば、この人もっとモテるだろうな…」と思うことがあった。


A1:条件が良かったから


勇太を紹介してくれたのは、男友達の蒼だった。

「すごくいい奴だよ」と蒼から聞いていたけれど、最初に会った時は、意外に物静かな印象だった勇太。

「勇太、今日静かだね」
「違うよ、人見知りなんだよ」
「勇太って、そうだっけ?」

しかし蒼と勇太のやり取りを聞いているうちに、勇太はただの人見知りだと知る。

「勇太くん、人見知りなの?」
「そうなんだよね…。莉奈ちゃんは?全然平気?」
「うん、私はまったく。人見知りはしないかなー」

時間が経つにつれて勇太も心を許してくれたのか、だいぶ盛り上がってきた。

「じゃあ蒼くんと勇太くんは、小学校からの友達なの?」

勇太と蒼の二人は本当に仲が良さそうで、学生時代の話などで盛り上がっている。




「そうなるね。お互いの両親も知ってるし、仲良しだよ」
「もはや腐れ縁だよな。昔は、よく勇太の実家に集まっていて。広い庭があるから、そこで遊んだりもしたなー」
「懐かしいね」

このあたりで、私は思わず耳がピクッとなった。

よくよく話を聞いていると、彼らは青学の初等部から一緒で、そのまま大学までずっと青学…。

そして何より勇太のご実家は田園調布にあり、東京のお坊ちゃまたちが集まる青学の中でも有数の名家のようだ。

「じゃあ勇太くんのお家が、友達の中で一番大きかったってこと?」
「大きいかどうかはわからないけど…。でも溜まり場にはなっていたかな」
「そうなんだ!しかもこんなにも長く、ずっとお友達でいられるってすごいことだよね」
「それはそう思う」

話を逸らしながらも、私は心の中で「今日の出会いは、かなりいいかも」とワクワクしていた。

しかも、勇太は少し独特の“勇太ワールド”を持っていた。

「莉奈ちゃんは?出身はどこ?」
「私は名古屋だよ」

そんな会話をしていると、勇太は屈託のない笑顔を向けてくる。

「名古屋か〜!俺、名古屋城行ったことあるよ。金のシャチホコ見た」
「どうだった?」
「うん……。金のシャチホコだった」




その独特の間とコメントが面白くて、思わず笑ってしまう。

「勇太くんって、面白いね♡」

いい人そうだし、条件もいい。だから解散間際に、私は勇太の側へ駆け寄ってストレートに誘ってみることにした。

「勇太くん。今度、二人でご飯でも行かない?」

そして二人きりでの初デートはすぐにやってきた。しかしこのデートで、私は完全に白けてしまうことになる…。


A2:興味が持てない趣味の話をされても困る…


楽しみにしていた勇太とのデート。恵比寿ガーデンプレイスへ向かう途中の坂に現れる、カウンター席が素敵な『割烹 うづき』へ、嬉々として私は向かった。




最初は、楽しかった。乾杯を済ませ、どことなく縮まらない距離感も初デートらしくて、いい。そう思う余裕さえあった。

「莉奈ちゃん、お休みの日とかは何してるの?」
「私は掃除して、買い物行って友達と飲んで…って感じかな。勇太くんは?」
「僕はサッカーしたり」
「サッカーするの?」

しかし、このあたりから勇太は目をキラキラと輝かせながら、自分の趣味の話を始めた。

「うん。実は、サッカーが大好きで。日本のサッカーももちろん観るけど、プレミアリーグの試合は極力観るようにしてるんだよね。最近は日本人選手も多いし、すごく面白いよ」
「そうなんだ」

ここで、話は終わるかと思った。でも話は途切れることなく、永遠にサッカー話が続く。

― これ…いつまで続くの?

少しくらいならいいけれど、私はサッカーにまったく興味がない。

そして興味がない趣味の話を延々と聞くのが、これほどつまらないことなのだとこのデートで初めて知った。

「本当にサッカー好きなんだね」
「寝不足になってもいいから、観たくなっちゃうんだ。莉奈ちゃんは?何か好きなスポーツとかある?」
「私はほとんど観ないかも…オリンピックとか、ワールドカップとかは観るけど」
「そっか〜。今度時間ある時でいいから、観てみたら?絶対にハマると思う。ちなみに、僕の好きなチームはブライトンっていうチームで、三笘選手がいるよ」
「わかった、観てみるね」

そう言ったものの、段々と白けてきた。

でも嬉しそうに話し続ける勇太を止めることもできず、曖昧に笑顔を振りまく。

― どうしよう。つまらない……。




しかも、サッカーの話だけで終わらなかった。

「僕さ、映画も好きで。ホラー映画なんだけど」
「ホラー映画!?」
「そうそう。意外に面白いんだよ。今度一緒に観ようよ。メジャーなタイトルもいいけど、意外に有名になってなくても良いものがたくさんあって。オススメはね…」

映画は好きだけれど、ホラー映画は嫌いだ。しかし勇太は私が嫌がっているのにもかかわらず、ホラー映画の話も長々と続けている。

「いや〜聞いてるだけで怖くなったよ」

彼は、自分のことしか考えられない人なのかもしれない。

デート相手である私の反応は、ほぼ見ていないし、自分の話したいことを話し続けるのは思いやりがない。

「莉奈ちゃん、こうやって男性と二人でよく食事とか行くの?」
「え!まさか。行かないよ。男性と二人で食事へ行くのなんて、すごく久しぶりだよ」

一応、話は振ってくれる。でもたぶん本当に何も考えていない。

「勇太くんって、いい人だよね」

いい人なのはわかるけれど、つまらない趣味の話をずっと聞かされる私の立場にもなってほしい。

女は話を聞いてほしい生き物。

だからせめて三度目のデートくらいまでは、自分の趣味の話は程々にして、女性の話に耳を傾けられる男性のほうがモテる。

― しゃべり過ぎる男って…なんかヤダな。

そう悟り、一気に冷めてしまった。

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