男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:年上彼氏と2泊3日の初旅行。沖縄の高級ホテル滞在中、26歳女が男に幻滅したワケ




32歳になる僕は、そろそろ本腰を入れて結婚できる相手を探そうと思っていた。そんな時にひょんなことから出会い、仲良くなったIT関連の会社に勤める29歳の美久。

しかも美久は最初から僕に好意を抱いてくれていたようで、告白してきた。

「私。岳くんのこと、好きだよ」

たしかに、僕は美久からそう言われた。

しかし最近、美久に連絡をしてもそっけない。明らかに、100%勝ち確定から勝算不確定くらいに落ちてきている。

― 俺のこと、好きじゃないの!?

一旦は「確実に行けそう」だと思っていた女性が、急に冷たくなる…。これって、どういうことなのだろうか?


Q1:「俺のことが好き」と思っていたのは男の勘違い?


出会いは、元同期が誘ってくれた男女2対2の食事会だった。

少し遅れてきた美久。彼女が店に登場した瞬間、想像以上に可愛かったので僕は思わず背筋を正す。

「初めまして、岳です」
「美久です。遅くなってすみません」
「まったく問題ないよー。何飲みますか?」

乾杯をしたあと、まずはみんなで和気藹々と話し始める。でも1時間くらい経つと、2人で話す時間も増えていった。




「岳さんは自分で会社されているんですか?すごい」
「全然だよ。まだまだこれからだし」

僕は3年前に独立し、自分で飲食関係の会社を起こした。そんな話をしている途中で、僕は思わずグラスに視線を落とす。

なぜなら目の前に座る美久が、さっきから僕をじっと目を見つめているような気がしたから。

「岳さんすごいモテそう〜」
「そんなことないよ」
「カッコイイし、話も面白いし。どういう人がタイプなんですか?」
「何かに頑張っていて、素直な人、かな?」

食事会の席とはいえ、僕も真剣に答える。




「素直な人?」
「そうそう。例えば『ありがとう』とか『嬉しい』とかを言える人がいいなと」
「わかる。そういうのって大事だよね」
「美久ちゃんは?どういう人がタイプなの?」
「私は、尊敬できる人かな。岳さんみたいに、自分で色々とされている人とか…。すごく尊敬しちゃう♡」

― あれ?これって俺のこともしかして…。

思わず勘違いしそうになる。でも翌日、美久のほうから連絡が来たので、勘違いではなかったらしい。彼女からLINEが来た瞬間、思わず変な声が出た。

― 美久:昨日はありがとうございました。今度、デートしたいです♡

それからも美久は結構グイグイと来て、すぐに初デートの日にちが決まった。

そして初デートの時も、美久はかなり積極的で、僕のほうが若干押される感じだった。

「岳さんは、今彼女いないの?」
「うん、いないよ」
「じゃあ第一候補に、私を入れておいて♡」

― これはさすがに「俺のこと好き」ってことだよね!?

弄ばれているのかもしれないけれど、僕はすっかり美久のペースにのまれそうだった。


Q2:女性の気持ちが心変わりしたのはナゼ?


初デートを終えた後も、美久は頻繁に連絡をくれた。

そのおかげでその翌週も二人で食事をすることになり、「焼き鳥が食べたい」という美久のリクエストに応え、僕たちは恵比寿の『鳥佳』へ行くことにした。




「ここ『鳥しき』系列でさ。一度来てみたくて」
「オシャレなお店とか、美味しいお店、よく知ってるよね〜。岳くんって、普段何してるの?毎晩飲み歩いているの?」
「そんなことないよ!でも会食が多いから、仕事して、飲みに行って…って感じではあるかな」

僕は、基本的に家では飲まないけれど、外では飲む。

「いつもどの辺りで飲んでる?」
「美久ちゃん、家は恵比寿だったよね?恵比寿も多いよ!あとは西麻布、六本木あたりかな」
「そう、恵比寿に住んでるよ。例えばなんだけど、私もどこかで飲んでいて、会いたいときとか…。当日とかでも連絡してもいい?」
「うん、連絡してよ!待ってる」

可愛い子からの連絡を、嫌がる人はいない。それに美久の僕に対する好意は明らかで、僕もテンションが上がっていく。

「なんで岳くんは、彼女作らないの?」
「作らないわけじゃないんだけど…。独立してからずっと忙しくて、ようやくって感じかな」

これは事実だった。仕事も一旦落ち着いてきたので、そろそろ本腰を入れて誰か探そうとは思っている。

「美久ちゃんって、すごいマメだよね」

会ってから、こまめに連絡をくれる美久。でもそれはウザイ感じではなく、自然と盛り上がるようなトークにしてくれるのが美久のすごいところだと思う。

「それは特定の相手にだけだよ〜。どうでもいい人に対しては、冷たいから(笑)」

僕限定で連絡をくれていたことを知り、僕は、自然派ワインを飲みながら思わず美久を見つめてしまった。




そしてこの帰り道。金曜の恵比寿は混んでいて、タクシーもなかなか捕まらない。

一旦捕まりそうな所まで歩こうとすると、急に美久が僕の腕をぎゅっと掴んだ。

「私。岳くんのこと、好きだよ」

街の喧騒が、もはや遠く聞こえる。僕たち二人だけ、一瞬時が止まったかのようにも思えた。

「…え、マジで?」
「うん。じゃあまたね」

たまたま通りかかった空車のタクシーに颯爽と乗り込む美久の姿を、僕はただ呆然と見つめていた。



しかし、ここから僕が思い描いていた展開とは違う方向へと動き出す。

この後も何度か会っていた僕たち。ただ徐々に、美久の態度は変わっていく。

「岳くんって、本当は遊び人?」
「え?なんで?そんなことないでしょ」
「だって、結構いつも外で飲んでるのに連絡くれないし」
「当日に突然連絡をするのは、軽んじているみたいで嫌だなと思って」

会いたい気持ちはあるけれど、当日に連絡するのは申し訳ない。

それに加えて、正直に言うと他の女性と飲んでいる時もある。そうなると、なおさら連絡はできない。

「そういうことだったんだ。私ばかり連絡している気がして」
「いや、美久ちゃんからの連絡はすごく嬉しいから!」
「そうなの?なら良かったけど」

一緒にいると楽しいし、話も盛り上がる。それに美久は僕のことが「好き」…。

これ以上の良い条件は揃っていない。

そう思っていた。しかし1ヶ月経つ頃、美久からの連絡頻度が減っていることに気がつく。

もちろん、連絡をしたら返信は来る。ただ以前感じていた程の“100%いける”感は無くなっている。

― あれ?一度は勝ち確実だったはずなんだけどな…。

果たして、今でも美久は僕のことを好きなのだろうか?それとも心変わりした?

女性の気持ちがわからず、どう出るべきか悩んでいる。

▶前回:年上彼氏と2泊3日の初旅行。沖縄の高級ホテル滞在中、26歳女が男に幻滅したワケ

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が今感じている本音は?