【インタビュー】榮倉奈々「岡田さんの照れが伝わってきて、逆にこっちが恥ずかしかったです(笑)」
2013年に有川浩原作の『図書館戦争』が映画化され、ファン待望の第2弾『図書館戦争 THE LAST MISSION』が10月10日より公開。第一作から笠原都役を演じた榮倉奈々さんも再び『図書館戦争』の戦場に戻ってきました。ベストセラーシリーズの実写化のヒロインというプレッシャー、「第一作を超える」というさらなる強大なミッション、そして第一作が多くの人に認められたからこそ、仲間と共にこの現場に立つことができるという喜びを抱え、彼女はどのような成長を見せてくれているのか?本作にかける思いや撮影中のエピソードについて話を伺いました。
――2013年の第一作から1年半を経ての続編です。最初に今回の続編の制作決定を聞いた時の気持ちを教えてください。
榮倉:やはりシリーズ化されている原作なので、第一作の撮影中や完成後にも『また作りたいね』という話は出ていました。少し時間が経って、こうして第一作とほとんど同じスタッフ、そしてキャスト全員が続投する形でできるというのはすごく嬉しかったし、同時に前作を上回る、成長した笠原郁を演じたいと思い、前回以上の責任感を感じました。
――やはり、女優さんにとっても続編というのは特別なものですか?
榮倉:これだけたくさんの原作ファンの方がいて(※シリーズ累計600万部超!)、大切に思っている方がたくさんいる作品の映画化に呼ばれるというのはありがたく嬉しいことですし、一作目が認められたからこそ、今回の二作目に繋がったというのは誇りに思います。
――今回の撮影初日は、寮での栗山千明さん(柴崎)との“女子トーク”のシーンで、岡田准一さん(堂上)との初めてのシーンも制服ではなく、私服でのシーンだったそうですね?
榮倉:そうなんです。日常のシーンから入ったのは、ちょっと不思議な感覚でした。制服姿なら「『図書館戦争』がまた始まりました!」という感じだったと思うんですが、岡田さんとの最初のシーンは郁にとっても初めて見る堂上の私服姿で(笑)、堂上が生活感を感じさせるのも初めてだったので…。ただ、今回は第一作以上に大人の方に見てほしいという思いがあって、人間味を前面に出して作られているので、私としても、その部分を最初にきちんと感じられたのはよかったなと思いますね。
――『図書館戦争』の世界に「戻る」ことは違和感なくできましたか?
榮倉:周りを見渡すと、技術スタッフも含め、ほぼ前作と同じみなさんがいたので、現場にいるだけで『図書館戦争』の世界だなと全く違和感なく感じられました。ただ、私自身、あまり郁に「戻る」ということは意識していませんでした。物語の中でも時間が経って、郁もいろんなことを見て成長しているのと同じように、私も第一作から1年半の時間の中で、いろんな経験をしてきたので、今の自分が読んだ『図書館戦争』の脚本を思ったとおりにやるのがいいだろうと。無理に「第一作と同じように」とか逆に「変化をつける」ということは考えないようにしていました。それこそ「郁になれていた」と感じられたのは、完成した映画を見てからかなと思います。
――具体的に今回の映画で見せている郁の成長はどのような部分ですか?
榮倉:前作よりもアクションは増えています。郁もタスクフォース(図書特殊部隊)の一員として戦うので、タスクフォースの“仲間”感は出したかったし、アクションに関しても「女子だから」と思われたくなかったんです。周りのみんな…というか岡田さんがプロ並みのアクションをされるので(笑)、そこに私が入ることで世界観を壊したくなくて、その時できる最善を尽くして、撮影の段階からタスクフォースの中に仲間として入っていくようにしました。
――撮影を通じて一番、苦労されたのはどのシーンですか?
榮倉:全部…大変でしたね、本当に。よく撮りきれたなぁ…(笑)。普通なら1か月くらいかけて撮るべきシーンを1週間とか2週間で撮っているので、改めて佐藤組ってすごいなと思いました。クライマックスの走るシーンは深夜に撮影したんですけど、車で牽引しての撮影がほとんどだったんです。あらかじめ、車との距離感を指定されていて、こちらが速度を合わせて走らなくちゃいけないんですけど、これがほぼ私にとってはマックススピードで…(苦笑)。早く止まれ!って思いながら走ってました(笑)。
――激しいアクションの一方で、堂上と郁の恋愛部分の描写はコミカルなやり取りの連続ですね。岡田さんはいろんなところで「ラブストーリーは苦手」と仰ってますが、そんな岡田さんと向き合ってのそうしたシーンのやり取りはいかがでしたか?
榮倉:岡田さんの照れがものすごく伝わってきて、逆にこっちが恥ずかしい!というのはありました(笑)。恥ずかしがっている自分と(役を)切り離して考えるのは、すごく大変でした。
――第一作と比べて、現場での岡田さんとの関係性に変化はありましたか? 改めて、榮倉さんから見た岡田さんの魅力についても教えてください。
榮倉:第一作の時は、岡田さんが(教官と部下という)堂上と郁の関係性を考えた上で、あまり現場でコミュニケーションを取らないようにしてくださったんですが、今回はコミュニケーションを取ることを大切にしてくださって、前回よりも距離は縮まったと思います。岡田さんは、すごく冷静にご自分のことを考えている人だなという印象で、現場で自分の立ち位置を考え、周りのスタッフにも気遣いができるのは本当に大人だなと思いますし、勉強させていただきました。
――郁の性格や生き方、仕事に対する姿勢などでご自身と重なる部分や共感するところはありますか?
榮倉:(自分を助けてくれた)王子様に憧れて、自分もそうなりたいという気持ちひとつで、女子で図書隊に入り、タスクフォースの一員にまでなって……並大抵の努力ではここまで来ることはできなかったと思います。それをやり通したのは尊敬するし、純粋なモチベーションを持っているのは羨ましいです。遠いゴールを見据えてコツコツと努力を重ねられる人はすごいですね。
――自分と似ていると思いますか?
榮倉:全然、似てないです(笑)! 私もある程度、先のことは考えますけど…どんどん現実的になっているのは成長なのか、違うのか…(苦笑)。純粋な気持ちでいるという部分に関して「似ている」とも「似ていない」とも言いたくはないけど、やっぱり尊敬する気持ちが強いですね。
――ひるまずに相手にぶつかっていく郁ですが、こと恋愛に関しては、なかなか気持ちを伝えられない非常に乙女チックな一面も持ち合わせています。そんな部分はどのように見ていますか?
榮倉:恋愛部分は不器用でかわいいなと思います。
――恋愛に限らず、榮倉さんは、仕事や日常の中でのストレスやイライラはどのように対処し、解消していますか?
榮倉:寝ます(笑)。休んで少し時間を置きます。イライラしている時や、自分が良くない状態で出す答えはたいてい、間違ってるかあまり良いものではないので、決定を後に回すようにします。もうちょっと様子を見ようと。かといって、逆にあまりに浮き足立っている時も良くないので(決定事項は)普通の時にします。一度、休むことで急激に何かが良くなるわけでもなくて、平坦な感情がやって来るので、そういう時が一番いい気がします。
――女優という仕事に楽しさや面白みを感じる時、この仕事を続けていきたいと思える瞬間はどんな時ですか?
榮倉:やっぱり、作品を見てくださった人に「面白かった」と言われるのが一番嬉しいし、達成感を感じますね。あとは、才能豊かな方との出会いが多いのは、この仕事ならではの楽しみであり、現場で監督や共演者の方と接している時にそう感じることは多いです。この『図書館戦争』シリーズもすごく細かい部分を大事に作り上げているし、スケールの大きい作品でもあります。それを作っているのが、身近にいていろんな話をすることができる、自分と同じ職場に立っている人たちだというのは、改めてすごいことだなと感じます。
――最後に「Peachy」とは“ごきげん”“HAPPY”という意味のスラングなのですが、榮倉さんのHAPPYの源を教えてください。
榮倉:美味しいご飯ですね。外食もそうですし、家で自分で作って食べる時間があるといいですね。料理というほど大げさなものでなくても、家で何か作ったりするのはすごく好きです。
『図書館戦争 THE LAST MISSION』は10月10日(土)よりロードショー。
公式サイト:http://toshokan-sensou-movie.com/
撮影:金子真紀
取材・文:黒豆直樹
制作・編集:iD inc.
『成長した郁を演じたいと思ったし、前回以上の責任感を感じました』
――2013年の第一作から1年半を経ての続編です。最初に今回の続編の制作決定を聞いた時の気持ちを教えてください。
榮倉:やはりシリーズ化されている原作なので、第一作の撮影中や完成後にも『また作りたいね』という話は出ていました。少し時間が経って、こうして第一作とほとんど同じスタッフ、そしてキャスト全員が続投する形でできるというのはすごく嬉しかったし、同時に前作を上回る、成長した笠原郁を演じたいと思い、前回以上の責任感を感じました。
――やはり、女優さんにとっても続編というのは特別なものですか?
榮倉:これだけたくさんの原作ファンの方がいて(※シリーズ累計600万部超!)、大切に思っている方がたくさんいる作品の映画化に呼ばれるというのはありがたく嬉しいことですし、一作目が認められたからこそ、今回の二作目に繋がったというのは誇りに思います。
『走るシーンは、早く止まれ!って思いながら走ってました(笑)』
――今回の撮影初日は、寮での栗山千明さん(柴崎)との“女子トーク”のシーンで、岡田准一さん(堂上)との初めてのシーンも制服ではなく、私服でのシーンだったそうですね?
榮倉:そうなんです。日常のシーンから入ったのは、ちょっと不思議な感覚でした。制服姿なら「『図書館戦争』がまた始まりました!」という感じだったと思うんですが、岡田さんとの最初のシーンは郁にとっても初めて見る堂上の私服姿で(笑)、堂上が生活感を感じさせるのも初めてだったので…。ただ、今回は第一作以上に大人の方に見てほしいという思いがあって、人間味を前面に出して作られているので、私としても、その部分を最初にきちんと感じられたのはよかったなと思いますね。
――『図書館戦争』の世界に「戻る」ことは違和感なくできましたか?
榮倉:周りを見渡すと、技術スタッフも含め、ほぼ前作と同じみなさんがいたので、現場にいるだけで『図書館戦争』の世界だなと全く違和感なく感じられました。ただ、私自身、あまり郁に「戻る」ということは意識していませんでした。物語の中でも時間が経って、郁もいろんなことを見て成長しているのと同じように、私も第一作から1年半の時間の中で、いろんな経験をしてきたので、今の自分が読んだ『図書館戦争』の脚本を思ったとおりにやるのがいいだろうと。無理に「第一作と同じように」とか逆に「変化をつける」ということは考えないようにしていました。それこそ「郁になれていた」と感じられたのは、完成した映画を見てからかなと思います。
――具体的に今回の映画で見せている郁の成長はどのような部分ですか?
榮倉:前作よりもアクションは増えています。郁もタスクフォース(図書特殊部隊)の一員として戦うので、タスクフォースの“仲間”感は出したかったし、アクションに関しても「女子だから」と思われたくなかったんです。周りのみんな…というか岡田さんがプロ並みのアクションをされるので(笑)、そこに私が入ることで世界観を壊したくなくて、その時できる最善を尽くして、撮影の段階からタスクフォースの中に仲間として入っていくようにしました。
――撮影を通じて一番、苦労されたのはどのシーンですか?
榮倉:全部…大変でしたね、本当に。よく撮りきれたなぁ…(笑)。普通なら1か月くらいかけて撮るべきシーンを1週間とか2週間で撮っているので、改めて佐藤組ってすごいなと思いました。クライマックスの走るシーンは深夜に撮影したんですけど、車で牽引しての撮影がほとんどだったんです。あらかじめ、車との距離感を指定されていて、こちらが速度を合わせて走らなくちゃいけないんですけど、これがほぼ私にとってはマックススピードで…(苦笑)。早く止まれ!って思いながら走ってました(笑)。
『岡田さんの照れが伝わってきて、逆にこっちが恥ずかしかった(笑)』
――激しいアクションの一方で、堂上と郁の恋愛部分の描写はコミカルなやり取りの連続ですね。岡田さんはいろんなところで「ラブストーリーは苦手」と仰ってますが、そんな岡田さんと向き合ってのそうしたシーンのやり取りはいかがでしたか?
榮倉:岡田さんの照れがものすごく伝わってきて、逆にこっちが恥ずかしい!というのはありました(笑)。恥ずかしがっている自分と(役を)切り離して考えるのは、すごく大変でした。
――第一作と比べて、現場での岡田さんとの関係性に変化はありましたか? 改めて、榮倉さんから見た岡田さんの魅力についても教えてください。
榮倉:第一作の時は、岡田さんが(教官と部下という)堂上と郁の関係性を考えた上で、あまり現場でコミュニケーションを取らないようにしてくださったんですが、今回はコミュニケーションを取ることを大切にしてくださって、前回よりも距離は縮まったと思います。岡田さんは、すごく冷静にご自分のことを考えている人だなという印象で、現場で自分の立ち位置を考え、周りのスタッフにも気遣いができるのは本当に大人だなと思いますし、勉強させていただきました。
――郁の性格や生き方、仕事に対する姿勢などでご自身と重なる部分や共感するところはありますか?
榮倉:(自分を助けてくれた)王子様に憧れて、自分もそうなりたいという気持ちひとつで、女子で図書隊に入り、タスクフォースの一員にまでなって……並大抵の努力ではここまで来ることはできなかったと思います。それをやり通したのは尊敬するし、純粋なモチベーションを持っているのは羨ましいです。遠いゴールを見据えてコツコツと努力を重ねられる人はすごいですね。
――自分と似ていると思いますか?
榮倉:全然、似てないです(笑)! 私もある程度、先のことは考えますけど…どんどん現実的になっているのは成長なのか、違うのか…(苦笑)。純粋な気持ちでいるという部分に関して「似ている」とも「似ていない」とも言いたくはないけど、やっぱり尊敬する気持ちが強いですね。
――ひるまずに相手にぶつかっていく郁ですが、こと恋愛に関しては、なかなか気持ちを伝えられない非常に乙女チックな一面も持ち合わせています。そんな部分はどのように見ていますか?
榮倉:恋愛部分は不器用でかわいいなと思います。
『自分が良くない状態で出す答えって間違ってるか良いものではない』
――恋愛に限らず、榮倉さんは、仕事や日常の中でのストレスやイライラはどのように対処し、解消していますか?
榮倉:寝ます(笑)。休んで少し時間を置きます。イライラしている時や、自分が良くない状態で出す答えはたいてい、間違ってるかあまり良いものではないので、決定を後に回すようにします。もうちょっと様子を見ようと。かといって、逆にあまりに浮き足立っている時も良くないので(決定事項は)普通の時にします。一度、休むことで急激に何かが良くなるわけでもなくて、平坦な感情がやって来るので、そういう時が一番いい気がします。
――女優という仕事に楽しさや面白みを感じる時、この仕事を続けていきたいと思える瞬間はどんな時ですか?
榮倉:やっぱり、作品を見てくださった人に「面白かった」と言われるのが一番嬉しいし、達成感を感じますね。あとは、才能豊かな方との出会いが多いのは、この仕事ならではの楽しみであり、現場で監督や共演者の方と接している時にそう感じることは多いです。この『図書館戦争』シリーズもすごく細かい部分を大事に作り上げているし、スケールの大きい作品でもあります。それを作っているのが、身近にいていろんな話をすることができる、自分と同じ職場に立っている人たちだというのは、改めてすごいことだなと感じます。
――最後に「Peachy」とは“ごきげん”“HAPPY”という意味のスラングなのですが、榮倉さんのHAPPYの源を教えてください。
榮倉:美味しいご飯ですね。外食もそうですし、家で自分で作って食べる時間があるといいですね。料理というほど大げさなものでなくても、家で何か作ったりするのはすごく好きです。
『図書館戦争 THE LAST MISSION』は10月10日(土)よりロードショー。
公式サイト:http://toshokan-sensou-movie.com/
撮影:金子真紀
取材・文:黒豆直樹
制作・編集:iD inc.