疲れて辛いならフラッと“ひとりごはん”へ。そしてボンボーヌという謎の料理に出会った【漫画】
という、シンプルであたたかい言葉ではじまるのは、『今日はひとりでごはん日和』(のもとしゅうへい著、2026年8月、KADOKAWA)。作者ののもとしゅうへいさんは、『おばけのおいしいひとやすみ』(KADOKAWA)などで知られ、疲れて虚無になった心がごはんで満たされていくコミックエッセイは沁みるし泣けると評判です。
目的もなく、ふらっと入ったお店で過ごす、珠玉の時間。とりたてて変わったメニューでもない、でも一期一会の一皿、自分だけの時間。『今日はひとりでごはん日和』は、のもとさんと一緒に、なんでもない時間旅に出かけた気持ちになります。
待ち合わせ時間より、たまたま早く着いてしまった。電車が遅延して、思わぬ足止めにあってしまった。人生には、予測不能な余り時間が発生します。それを、不運ととるか幸運ととるかで、あなたの1日が驚くほど変わってくるはず。
〈映画の上映時間を勘違いして、数時間の暇ができてしまった〉という、のもとさん。ふと郷愁にとらわれて町を散策していたら、出会ってしまったのです。運命のお店に。
「レストラン イト」。
一見して小さな洋食レストラン。昔から町に馴染んでいたであろう、初めてなのに、かつて訪れたようなデジャヴュ感も心地よく、のもとさんが注文したのが「ボンボーヌ」です。
◆「ボンボーヌ」を食べてみたい!
〈とろけるチーズの様子はハンバーグやグラタンのようだ〉と本書にあるように、どこかの国の料理、ではなく、このお店オリジナルの名物料理。「ボンボーヌ」という響きだけでもう、絶対に食べてみたい! そう思うのは私だけではないでしょう。
このお店に導いたのは神様の粋な計らいだと、きっとのもとさんも感動したに違いありません。
◆海の近くで出会った「蕪珈琲」
理由もなく、行ってみたい場所。見たくなる景色。誰にでもひとつやふたつ、あるのではないでしょうか。
第2話で、のもとさんはふと海が見たくなって、鎌倉駅から江ノ電に乗ってみます。
電車で揺られれば、潮の香りに鼻がくすぐられます。大人にとって海は、戯れるというより、静かに見つめるものかもしれません。さざ波に合わせて、心のリズムを取り戻せる時間。
そのあと、のもとさんはちょうどよく喫茶店に巡り合いました。
長谷にある「蕪(かぶら)珈琲」です。
窓際の特等席でいただいたのは、「コーヒー(インドネシア)と自家製レモンケーキ」。インドネシアという響きに、海を堪能した時間をいっそう奥深くしてくれるような、そんな味わいを想像してしまいました。レモンケーキの素朴な酸味と、輪切りされたレモンの美しい色合いも、余白の時間を豊かにしてくれそうです。
