綿矢りささんの小説原作の映画『私をくいとめて』では自問自答を繰り返すおひとりさま女性をコミカルに演じ、さかなクンをモデルにした『さかなのこ』では性別の垣根を越え、好きなことに目を輝かせる主人公を表情豊かに体現。両作品で日本アカデミー賞などの主演女優賞を次々と獲得していきます。

 さらに主演映画『Ribbon』では脚本・監督も務め、独特の幻想的な世界観を表現。新人映画監督を対象にした新藤兼人賞最終選考にノミネートされるなど、演者としてもクリエイターとしても大きな功績を残します。

 この頃には「ドラマでは見ないが、映画界で凄まじい活躍をしている」という実力派としての認知をお茶の間に浸透させていきました。同時にテレビCMにも継続的に起用されてきたことは、彼女の透明感と前を向く芯の強さに需要があり、好感度も高く維持されてきた証拠でしょう。

◆30歳を迎え、ついに民放ドラマに復帰

 30歳を迎えてからは、「女優・創作あーちすと」という改名後に付けた肩書を覚悟を込めて「俳優・アーティスト」に変更。昨年の日曜劇場『キャスター』(TBS系)で、ゲストながらついに民放ドラマ復帰し、信念を貫く大学研究員役を好演しました。この頃、芸能界の風向きも大きく変わります。

 公正取引委員会は、一方的に芸名の使用を制限することを問題視する指針を公表。改名から約10年で、のんさんのSNSのプロフィール欄に「のん(本名:能年玲奈)」と、能年玲奈の表記が帰ってきたのです。

 彼女が活動の場を制限された20代の時間は帰って来ませんが、自身でキャリアを確実に積み重ねて大きな前進を成し遂げました。

◆『Tokyo middle 30』の“変人ぶり”に唸る

 今年に入り『こちら予備自衛英雄補?!』(中京テレビ・日本テレビ系)で深夜帯ながら民放連ドラに本格復帰。そして、夏ドラマ『Tokyo middle 30』で、14年ぶりにゴールデン・プライム帯連ドラ出演を掴み取ります。

 33歳となった彼女は、このままの人生でいいのかと揺れる35歳の独身アパレル店長・山地遥を演じています。ミドサーのリアルな葛藤を描く作品で、紆余曲折を経た彼女の成熟した演技と瑞々しい美貌は「のんちゃん可愛すぎる」「表情の演技…凄い」「めちゃくちゃオシャレ」と絶賛の嵐。

 意中の人にときめくたびに「トゥンク」と心の声が漏れてしまう遥の絶妙な変人ぶりにも、「日本芸能界屈指のコメディエンヌ」と技量の高さにあらためて唸る声があがっています。