明日が最期かもしれない。弟を突然亡くした私が「死」の準備をする理由

▶▶この作品を最初から読む
お酒を飲むと財布のヒモがゆるくなる父、よその子でも平気でしかり飛ばす母、素直になれない姉、そしてヤンチャだけれど誰からも好かれた弟。そんな家族の日常を一変させたのは、深夜にかかってきた警察からの電話でした。「息子さんが事故に遭われまして…。もしかしたら容体が危ないかもしれません」。急いで病院へ向かうと、すでに息を引き取っていて――。
突然の別れを経験した家族の姿を通して、当たり前に過ごせる日々や、家族と向き合うことの大切さをあらためて考えさせられます。
※本記事はきむらかずよ著の書籍『16歳で帰らなくなった弟』から一部抜粋・編集しました。








『16歳で帰らなくなった弟』の著者のきむらかずよさんに、弟さんについて、そして今改めて思うことについてうかがいました。
--弟さんがある日突然帰らぬ人となり、現実を受け止められない日々が続いたかと思います。弟さんがいなくなったことを強く実感したのは、どのような時でしょうか。
きむらさん「それまで賑やかだった家が、シーンと静かになりました。毎日8時になると来ていた友達も来なくなり、こんなに家の中が変わるのか…とひしひしと感じました。
でも、弟が亡くなった後も『ただいま』と帰ってくるような気配を感じたことは、一度や二度ではありません。おそらく両親も同じように感じていたと思います」
--きむらさんがエンディングノートを書いているというエピソードがありました。差し支えなければ、どのようなことを書いているか教えていただけますか?
「何より大切にしているのは、子どもへのメッセージです。どんな気持ちで育ててきたか、どれだけ大切に思っているかなどを、一人一人に向けて書いています。
自分自身に関しては、リアルな話ですが、もし突然意識不明になったらどうしてほしいのかを記しています。
例えば、口から食べ物が食べられなくなったら延命措置はせず、自然に逝かせてほしいこと。胃ろうは望まない…といったことです。家族葬で連絡してほしい人についても書いていますね」
--改めて、弟さんはきむらさんにとってどんな存在でしたか?
「負けず嫌いなところは似ていたかもしれませんが、性格は私が陰なら弟が陽。すべてにおいて真逆でした。自分にないものを全部持っているような弟を、心のどこかでいつも羨ましく思っていました」
きむらさんの辛い経験から考えさせられるのは、今ある日常は実は「当たり前」ではない、ということ。平穏無事に暮らせる日々のありがたさに改めて気付かされます。時には立ち止まり、毎日をより丁寧に生きることを意識したいものです。
【著者プロフィール】
きむらかずよ
イラストレーター。小学1年生の時にプレゼントされた漫画『うわさの姫子』に衝撃を受け、漫画やイラストを描くように。現在は3人の子育てをしながら、新米保育士としても奮闘中。交通事故で亡くなった弟のことを綴った「16歳で帰らなくなった弟」にてデビュー。
著=きむらかずよ/『16歳で帰らなくなった弟 外伝』

