現在4歳、6歳の2児の父でもあるお笑い芸人のスギちゃん。育児に奮闘する姿をSNS上に綴っています。育児の経験を経て変わった自身の考え方について伺いました。(全4回中の4回)

【写真】砂浜で13歳年下の妻と歩く「結婚式でもGジャン」なスギちゃん(全19枚)

現状は「遊んでくれるおじさん」みたいな立ち位置かも

日々の育児に奮闘するスギちゃん

── 現在、4歳と6歳の2人の男の子のお父さんでもあります。日々の子育てはいかがですか?

スギちゃん:私も日中は仕事で外に出させてもらってるんで、配偶者が頑張っていますね。帰ってきて、遊んでくれるおじさんみたいな立ち位置です。都合のいいお父さん、みたいな(笑)。

── 家事や育児では、奥さんと役割分担があるのでしょうか。

スギちゃん:はっきりと分担は決まってないんですけど、俺がいるときはできる限り俺がやるという感じですね。俺がいるときも配偶者がご飯を作ってくれたりはするんですけど、子どものめんどうをみたり、お風呂に入れたり、寝かしつけたりは俺がやる、みたいな。

昔、上の子がまだ小さいときに、海外にロケに行く番組があって、長期間家を空けることが多かったんです。それで子どもからも「たまに帰ってくる人」みたいに思われてしまっていたこともあって。それで、配偶者的にも、なるべく子どもと接する機会を持たせてくれようとしているんだと思います。

妻を「配偶者」と呼ぶ意外な理由

2015年に13歳年下の奥さまと結婚したスギちゃん。結婚式のツーショットもやっぱりGジャン

── そうなんですね。ちなみに、Instagramやブログなどでも奥さまのことを「配偶者」と呼んでいますね。何か理由はあるのでしょうか。

スギちゃん:昔は「妻」って書いていたんですが、なんかこっぱずかしくて。あとは、関西の人は「嫁」とか言ったりするけれど、調べたら「息子の奥さん」を嫁と呼ぶことが多い、と。それで、じゃあ使えないか、難しいな、と思って、「配偶者」って書いてます。ちょっと言いにくいですけどね。

── 呼び方問題ってありますよね。ちなみに、奥さまと円満でいるために気をつけていることはありますか?

スギちゃん:円満でいられたらいいんですけど…(苦笑)。もうそこは我慢ですかね。いらんこと言わないっていう(笑)。俺がいらんことを言って、よくケンカするので…。

── どんなことでケンカになるのでしょうか。

スギちゃん:たとえば、配偶者としては気をつかってくれて「もっと痩せろ」とか「もっとカッコよくなったほうがいい」とかって言うんですけど、こちらが実行できてないので、それはもう揉めますよね(笑)。「いつになったら痩せるんだ」と。言われたことを俺が実行できればいいんですけど。 

「女性は子育てについて何でも知っている」と思い込んでいた

仕事が休みの日は、妻に代わってできるだけ育児を担当するそうです

── 子育てのやり方をめぐっても、ケンカになったことがあったとか。

スギちゃん:女の人は出産前から子どもと繋がっているわけじゃないですか。だから、男としては「女性は子育てについて何でも知っている」と思い込んでいるんですよね。だから、上の子がまだ生まれて間もないころ、ずっと泣いていて俺がどうしていいのかわからないことがあって。それで「どうしたらいい?」と聞いたら、「私もわかんないよ」って言われたんです。そのときに「あ、ふたりで考えてかなきゃダメなんだ」と目が覚めたんですよね。

当時は、子どもを産んだ女の人はもう子育ての教科書だと思っていたんですよね。聞いたら正解を答えてくれるものだって。「こういう理由でこの子は泣いているんだよ」って教えてくれるんだと思っていた。でも、女の人だって子育ては初めてだから、スタートは同じだったんだなって痛感しました。

兄弟はとっても仲良し!弟の初めてのうつぶせにみんなで大喜びです

── 素敵な気づきですね。今はお子さんも成長して、育児も当時の大変さは変わりましたか?

スギちゃん:男の子同士なので、とんでもなくうるさいですね。あとは、まだ甘えたがるんで、抱っこがまたとんでもなく重たいんですよね(笑)。子どもは若いうちに産んだほうがいいという理由がわかる。20~30キロある子どもをずっと抱っこはできないし、今俺は50代なので、大変さはすごい感じますね。

あとは、すぐケンカするんです。本来だったらおもちゃをひとつ買ってあげて「交代で遊ぶんだよ」と言えばいいところなんだけど、結局ケンカになりそうだから、1人ひとつずつおもちゃが必要になったりして。

ただ、先日何かで読んだんですが、子どもは甘えたいときには甘えさせてあげたほうが自立が早いと書いてあったんですよね。だから「やって」って言われたときに、親が「自分でできるでしょ」と突き放すと、余計に自立が遅れる、と。

俺はそれを知ってうれしかったんですよね。子どもに何かをやってあげるのが好きなんですが、「あんまり甘やかすと、この子のためによくないのかな」と思っていたんです。でも、それならどんどん甘やかしてあげよう、と。あと何年かしたら、しゃべってもくれなくなると思うとね。今を大切にしたいです。

父として尊敬されるより友達の関係でずっといたい

「育児は体力勝負」と語るスギちゃん。わんぱくな男児二人の育児に奮闘中です

── 父としての理想像はありますか?

スギちゃん:「父として尊敬される」とか「憧れられる」とかはどうでもよくて。友達の関係でずっといたいですね。最近、子どもに頼まれたことをうまくできなかったりすると「お父さんが遊んでって言っても、もう遊んであげないから!」って言われるんですよ。それがショックで俺も「イヤだ!」って言い返すんです(笑)。脅し文句がかわいいでしょう?

ロケ先で仲のいい親子と話したりすると、お母さんと娘さんが仲がいい人は、だいたい親子関係というより友達感覚ですもんね。そうなりたいんですよね。いくつになってもご飯食べに行ったり酒を飲みに行ったりして、一緒に遊んでいたいんですよね。

── その気持ちわかる気がします(笑)。子育てを経て、働き方に変化はありましたか。また、理想の働き方についてビジョンがあれば教えてください。

スギちゃん:仕事は無理せず続けていきたいし、いただけるお仕事はうれしいからやりたいですよ。ただ、子どもができてからは休みがあっても焦らなくなりましたね。昔は仕事がないと「ヤバいな」と思ってたんですけど、今は休みだったら休みだったで「子どもと遊ぶ時間なんだ。配偶者と交代する時間なんだ」って思うだけですね。子どもが遊んでくれる時期って本当に少ないと思うんで、その時間を大切にしたいんです。いちばんいいスタイルですね。

本来だったら、今俺が仕事に行くときは配偶者に子どもを見てもらってますけど、どこの現場にも子どもを連れていける環境になったらいいな、と思います。それも俺たちみたいな職種だけでなくて、どんな仕事の人でも。そういう環境が当たり前になったら、子どもが仕事の邪魔と思われないような世の中になるんじゃないかって思います。

PROFILE スギちゃん

1973年、愛知県生まれ。95年にお笑い芸人として活動開始、2012年「ワイルドだろぉ」の決め台詞で『R-1ぐらんぷり』にて準優勝を勝ち取りブレイク。プライベートでは2児の父でもある。

取材・文/市岡ひかり 写真提供/スギちゃん