「怖かったら一杯無料」を謳い文句に、実話ホラーを語ってくれる客を待つ、スナック店主兼シナリオライターのエミ。霊感ゼロながらも、なぜか彼女の元には続々とコワイ話が集まってくる…。そんな珠玉の“コワイ話”を1話完結で展開していく漫画「丑三つ時、コワい話はこのBarで」。そこにつづられているストーリーは、フジテレビ「ほんとにあった怖い話」や「呪怨 THE LIVE」の脚本家でもあり、本作の原作者・穂科エミさんが集めた実話がもとになっているというから驚きだ。

【本編】「丑三つ時、コワい話はこのBarで」を最初から

一見普通の「近藤さん」がNGワードで豹変!!不気味なその正体とは!?


今回は、第5話「近藤さん」の後編を紹介するとともに、原作者の穂科エミさん、漫画を担当している近原さんのお2人に話を伺った。

エミの店を訪れていた老舗ゲイバーの美和ママは、近隣の店で話題になっている不思議な人物「近藤さん」の話をし始めた。彼と会っても別れたあとは、顔も姿も話した内容も思い出せないのだという。そんな話をしていると、「近藤」と名乗る人が店にやってきた!一見普通のおじさんのようだが、エミのある言葉がきっかけで様子がおかしくなり…。

「近藤です」と名乗る人物が店にやってきた!!


「近藤さん」は、一見普通のおじさんのように見えるが…


エミが近藤さんの「NGワード」を発してしまった!!


「近藤さん」の様子がおかしくなって!?


■原作者・穂科エミさん&漫画担当・近原さんインタビュー

原作者である穂科エミさんと漫画を手掛ける近原さんに、制作秘話などを聞いた。

――不気味な「近藤さん」は、霊なのでしょうか?それとも特殊な力を持った人間…?穂科さんの見解を教えてください!

【穂科】一番ピンとくるのは「怪異」、ですかねぇ…。花子さんやテケテケ、八尺様などと同じタイプの存在なのでは?と思いました。

――お話は怖いですが…最後のキールのカクテル言葉は、すてきですよね。キールにしようというのは、穂科さんのアイデアですか?

【穂科】私が、どうしてもキールがいいと推しまくりまして採用していただきました。最高に怖い思いをさせられて、翌日は顔も声も話した内容も思い出せない。後味と気味の悪さのなか、近藤さんから残された言葉が「最高の出会い」だったら、とんでもなくゾワ〜ッとするなあと思うんです。一度会ったらもう二度と会うことはないと言われているけど、もし、もう一度会ってしまったら何が起きるんだろう…「絶対会いたくない!」と。

――次は近原さんにお聞きします。5話のなかで、読者の方に注目してほしいシーンがあれば教えてください。

【近原】バーの日常と穏やかな客人との和やかな時間と、禁忌を破ったあとの不穏さの対比を感じていただければ幸いです。

――5話はこれまでの話と展開が少し違いますよね。5話での見せ方や展開で工夫された点などがあれば教えてください。

【近原】いつもは怖い体験をした訪問客から話を聞く…という流れでしたが、今回は全員が当事者になってはいるものの結局のところ何があったかは明瞭ではないですよね。その「はっきりとしない不可解さ」がじんわりとした怖さに繋がればな…と思って描きました。

――ちなみに、ホラー漫画を描かれている近原さんですが、これまでにコワイ体験をされたことはありますか?

【近原】学生時代、友人とエレベーターに乗ろうとしたら目の前で人が消えたという体験をしたことがあります。理解ができない事象を目の当たりにすると、怖いという感情よりも笑いが先に出るという不可思議な体験でした。

「丑三つ時、コワい話はこのBarで」は穂科さんが人から聞いた話や、穂科さん自身の実体験エピソードがもとになっているとのことで、“本当にこんなことが!?”と考えながら読むと、より一層怖くて惹き込まれる。近々、「丑三つ時、コワい話はこのBarで」の書籍が発売予定ということで、そちらもお楽しみに!

取材協力:穂科エミ(@hbdg1999)、近原