元彼と来たことがあっても「初めて♡」と言うのが正解?29歳女が和食店で犯したミス
今週のテーマは「腰回りが少しふくよかだったら、NGなの!?」という質問。さて、その答えとは?
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奈緒と初めて会った時、「趣味も話も合うし、可愛い子だな」と思った。
だから自分からデートにも誘ったし、最初は楽しかった。
でも二度目のデートで、僕は「やっぱりこの子はナシで」と思うことがあった。
たぶん、本人は気がついていない。
奈緒のことだから、「私の外見で何かミスがあった?」などと思っているかもしれない。
むしろ外見を磨く前に、奈緒にはやるべきことがあった…。
A1:連日グルメな食事、誰のお金で行ってるの…?
奈緒と初めて出会った時、「綺麗な子だな」と思った。
友人の結婚式の二次会で、男女合わせて80人くらいはいたかもしれない。その中でも奈緒は可愛くて目立っていたので、僕は思わず声をかけた。
その場で連絡先を交換し、すぐにデートをすることになった僕たち。
初デートということもあり、僕は少し気合を入れて、今話題の『atti』を予約することにした。
「うわぁ…素敵なお店!」
シックなカウンター席が目を引く店内。奈緒も、早速嬉しそうにしてくれている。
「ここ来たことあった?」
「ううん、初めて来た♡ここのシェフって『Äta』とか『Restaurant Ode』にいらっしゃったんだよね?そこは行ったことあるけど」
奈緒の言う通り、こちらのシェフは有名店で経験を積まれてから独立したらしい。それは僕もうっすら知っていたけれど、奈緒の知識には驚いた。
「奈緒ちゃん、詳しいね」
「素敵なレストラン、好きなんだよね。律くんって、ご飯好きな人?」
僕も食べることが大好きで、新店や話題の店は一通りチェックをしている。それに、多少舌には自信がある。
「大好き。彼女ができたら、美味しい店巡りとかしたいんだよね」
「それ、最高だね…!」
そう言って目を輝かせた奈緒。そんな彼女を見ていると、自然と「この先、二人で食事へ行く機会が増えるのかな…」なんて期待してしまう。
しかも奈緒といると面白くて、感性も似ているようだ。
「これ、美味しいね」
「本当だね」
自家熟成された「蝦夷豚肩ロース」などを食べながら感想をシェアしたり、お互いに好きな食べ物の話をしたり。時間はあっという間に過ぎていく。
そして後半になると打ち解けてきたこともあり、お互いのプライベートの話になった。
「律くんのお仕事って…?」
「僕はヘルスケア系の会社を経営しているよ」
一応、会社を経営して5年になる。おかげさまで順調で、だからこそこうやって、素敵な店で美味しい食事を楽しめる。
「そうなんだ!すごいね」
「ありがとう。奈緒ちゃんは?何のお仕事をしているんだっけ?」
「私は自分で美容系の仕事をしているよ」
「美容系?」
「美容のコンサルみたいな?」
しかしここで、僕は奈緒に素朴な疑問が湧くことになる。
「へ〜。自分で会社やってるの?」
「ううん。個人的にって感じかな」
話を聞いても、奈緒の仕事内容がよくわからない。
― 僕が疎いだけなのかな…。
しかし奈緒の話を聞く限りそこまで稼いでなさそうだし、どうやって生活をしているのか、余計なお世話かもしれないけれども気になり始めた。
ただ彼氏でもない僕が、とやかく言う資格はない。
「そうなんだ…だから肌が綺麗なんだね」
適当に話を変えてみたものの、この先の会話でもやっぱり引っかかる。
「律くんの好きなタイプは?」
「美味しい物を食べたり、新しい景色を見た時に一緒に感動できる人がいいな。あとはお酒も飲める子のほうが好き!」
「私じゃん!」
「たしかに、奈緒ちゃんかも。奈緒ちゃんも食べるの好きなの?」
「うん大好き」
美味しい食事は心も豊かにしてくれるし、好きな人と一緒に食べる食事は何よりも美味しい。
ここまでは良かった。しかし奈緒の話を聞いていると、腑に落ちない点が多々出てきた。
「律くんは、いつもどの辺りが多いの?」
「僕は西麻布が多いかな…」
「西麻布だったら、美味しいお店もたくさんあるし、知り合いがやっているお店もたくさんあるから、今度一緒に行かない?」
「いいね!」
― この子、誰のお金でそういう店に行ってるんだろう…?
でもまだ初回だし、実際のところはわからない。だからもう一度、デートをしてみることにした。
A2:マウントしてくるのがウザい…
そして二度目のデートへ挑んだものの、気になる点はさらに広がってしまうことになる。
二度目のデートは、僕のお気に入りの、西麻布にある和食店にした。
「奈緒ちゃんに食べてほしいメニューがあって!〆の土鍋ご飯なんだけど、これが最高で…」
そう力説していると、何か言いたげな顔をしている奈緒。
「もしかして、奈緒ちゃんこの店来たことあった?」
そう尋ねると、若干気まずそうな雰囲気で話し始めた。
「ごめん、実は来たことがあって…」
ここまでは良い。もちろん、「初めて来た♡」と言われたら嬉しいけれど、「グルメだ」と自分でも言っているし、来たことがあるのは仕方のないこと。
でも僕が引っかかったのは、続いて出てきた言葉だった。
「元カレの行きつけで、店員さんも知ってるんだよね」
― それ、いる…?
わざわざ元カレを出す必要もないし、「店員さんを知っている」という情報もいらない。
「そうなんだ…!逆にごめん、新しい行ったことない店じゃなくて」
「ううん。久しぶりに来たかったから嬉しい」
考え過ぎかもしれないけれど、妙に上から目線なのが気になる。
― もう少し、別の言い方できるよね…?
でもこれだけではなかった。
「やっぱり奈緒ちゃんって、グルメなんだね」
「どうだろう。周りの人たちよりは…って感じかな?」
「最近、奈緒ちゃんが行って美味しかった店とかある?」
相手が興味ありそうな話題を振ってあげるのはある意味、デートの礼儀だ。
「たくさんあって選べないな〜。この前虎ノ門にできた新しいお鮨屋さんに行ったんだけど、もう新規予約受付停止らしくて。でもすごく美味しかったからお勧め」
「でも予約取れないんでしょ?どうにかして予約取りたいな〜」
「私は枠を持ってないから何とも言えないんだけど…」
別に高級鮨の予約枠を持っていなくても構わない。そのほうが可愛げがあるし、29歳でそんな枠を持っているほうが怖い。
でも僕が不思議なのは、人のお金でグルメな名店へ行っているのに、さも自分の力で行っているように語ることだった。
「次、どうする?どこか行く?」
― 今日は解散でもいいかな…。
そう思っていると、奈緒は意外にもノリノリで2軒目を提案してきてくれた。
「知り合いのお店がこの近くにあるんだけど、そこ行く?律くんが良ければ、だけど」
「どこどこ?行ってみたい」
「普段は会員制だから、行けないんだけど…。私、知り合いだから特別に入れるんだ」
― だから…その一言、いる?
普通に「知り合いのお店で」と言えばいいし、どうしていちいちマウントを取ってくるのが、僕には理解できなかった。
しかも連れていってくれた店は妙に暗く、通された奥のソファ席はかなり密着度が高い。
― この子、毎晩こういう所に通って、男性を引っ掛けているのかな…。
そう思うとどんどん冷めてきた。そして彼女のルーティンの一つかと思うとこちらも扱いはぞんざいになる。
しかしとりあえず今を楽しもうと思い腰に手を回すと、すごく嫌な顔をされてしまった。
― どっちだよ!何なんだよ!
振り切っているのか、振り切れていないのか…。
どちらにせよ、奈緒のことを人として素敵だなとは思えず、僕は2回のデートで手を引いた。
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