「僕とご飯にいくのがイヤってことかな?」男からの単刀直入な質問に28歳女は慌てて…
前回:「他の人とデート行くの、俺もちょっと寂しいよ」28歳女に思わぬモテ期が来た理由とは
◆
「お姉さん、僕、お姉さんにまた会えたらいいなって思っていました。またお会いできてうれしいです」
揉める両親に挟まれ必死に涙をこらえ震えていた小さな男の子…タケルくんの印象は、あの日とはずいぶん違っていた。
カジュアルスーツとでも言うのだろうか。グレーのジャケットにパンツ。ネクタイこそしていないものの、パリっとノリのきいたようなシャツ。
そして何より10歳とは思えぬその言葉遣いや落ち着いた物腰。それらに驚く私に大輝くんが、ほらオレが言った通りだったでしょ、と得意げにささやいた。
「おじいさまにばれてしまうと…またご迷惑がかかります。お姉さん、先日はうちの事情に巻き込んでしまって、申し訳ありませんでした」
ご迷惑がかかるとか、事情に巻き込むとか、申し訳ないとか…なんという10歳。ピンっと姿勢のよいタケルくんを見ていると“良いお家の子ども”というフレーズが迷いなくはっきりと浮かんで、自然と私の背筋も伸びた。
思わず、いえ、こちらこそご迷惑を、とかしこまってしまった私を笑いながら、大輝くんが言った。
「おじいさまのことは心配しなくても大丈夫。うちの父がうまくやってくれることになってるから」
なるほど、お兄さんは友坂さんの…とタケルくんがつぶやいた。どうやら2人は、何度かパーティで顔を合わせたことがあったらしい。パーティが日常の世界で育ってきた彼らはやはり私にとっては異次元だ。
「だからここまで入ってこれたんですね」
安心した様子のタケルくんに、10歳にして大人の勢力図のようなものを把握しているのかと感心する。瀧川家の先代当主、タケルくんのおじいさまにばれる心配がなくなったということで、タケルくんは素直に私たちについてきてくれた。
大輝くんの先導で個室へと移動する。赤じゅうたんが敷かれた階段を上がった3階の一番奥の部屋。鍵を開けた大輝くんに続いて入るとそこは、まるで秘密の隠し部屋のような雰囲気だった。
「なつかしいな」
ドアの敷居は低く、背を丸めて中に入っていった大輝くんが、昔はよくここに泊まってたんだよねと教えてくれた。今も子ども用の客室として使われているという部屋はそう広くはなく、2つある窓にはステンドグラスがはまり、差し込む光が、赤や黄色、緑、青とカラフルに室内を照らしている。
部屋の真ん中に置かれた丸いテーブルには2脚の椅子。そこにタケルくんと私、大輝くんは長い脚を持て余しながら、小さな子ども用のベッドに座った。
「あらためてご挨拶します。僕は瀧川タケルです。お2人のお名前を聞かせていただいてもよろしいでしょうか」
もはやその大人びた所作に驚くことはないけれど、どういう教育を受ければこのような10歳が育つのかは是非聞いてみたい。そう思いながら自己紹介を返すと、大輝くんが、お姉さんは宝さんで、僕は大輝。下の名前で呼んでくれたらいいよ、と付け加えた。
素直に頷いたタケルくんに愛さんとの関係を聞かれると、大輝くんが説明した。私たちは愛さんとは親しい友人であること、そしてタケルくんに会ったあの日、どうして私が瀧川家について行くことになったのかも。
大人が聞いても複雑なその状況説明を、タケルくんは一度も疑問をぶつけることもなく理解したようだった。賢さがにじみ出る冷静さに私はまた感心してしまう。
「それで…母は元気になりましたか?…その、この前は…父にきつく言われてしまったので」
その言葉に、タケルくんがあの日から愛さんに会えていないことがわかって切なくなる。愛さんとの秘密の携帯は没収されているだろう。とはいえ私も最近の愛さんの様子はわからない。
どう答えるべきか迷っていると、大輝くんが、オレもLINEでしかやりとりしてないけど、大丈夫そうだったよ、と教えてくれた。
「そうですか…よかったです」
今日初めて…ホッとしたようなゆるんだ顔を見せたタケルくんに愛さんへの思いの深さを感じる。安堵であろうその感情を噛みしめるタケルくんを少し待ってから、大輝くんは、じゃあ本題に入ってもいいかな、と言った。
「僕たちはさ、タケルくんが宝ちゃんにもう一度会いたいと思ってるんじゃないかなって会いにきたわけだけど。タケルくんもさっき言ってたよね」
僕、いう切り出しに、普段はオレと言う大輝くんのタケルくんへの気遣いを感じた。
「はい。でもどうして…僕がお姉さんに…宝さんに会いたいと思ってるってわかったんですか?」
「僕がタケルくんだったら、そう思うから」
「どうしてですか?」
「僕とタケルくんはよく似ているんだよね」
タケルくんが首をかしげて言葉を止めた。その様子に大輝くんが、補足するねとほほ笑んだ。
「僕ね、友坂の父と母の本当の子どもじゃないんだよ。もらわれた子。養子なの。養子ってわかる?」
タケルくんが頷いたことを確認してから大輝くんは続けた。
「で、僕のお母さんはね、僕をもらいたくなかった。自分の子どもにしたくなかったんだよね。それを父が無理やり納得させたというか…家のためにね。両親には子どもが生まれなかったからどうしても跡継ぎが必要でさ。でもそのせいで、2人はいつもケンカしてた。その原因は常に僕だったんだよね」
大輝くんの語りを、タケルくんは黙って聞いている。10歳の子どもが理解できる話なのか、そもそも聞かせても良い内容なのかとハラハラする私の疑問と心配は、おそらく2人が生きている世界では必要ないものなのだろう。
「僕が養子になったのは3歳の時なんだけど。友坂の家での一番古い僕の記憶は、どうかお母さん怒らないでって怯えてたことなんだ。今日一日、なんとかお母さんが怒りませんように、って。お父さんとお母さんが僕のことでケンカしませんように、って。
それでいつのまにか…気づいたらというかさ。両親の望むことを予想して、2人が望むようにふるまうクセがついてたんだ。自分が両親のケンカの原因になるのを避けたかったからね。
両親がケンカするたびに、その原因が自分でであることが悲しくて…自分がこの家にいなければいい、存在する意味のない人間だって思っちゃうから。今思えば自己防衛というか自分を守るためだったんだろうね。
もしかしたら…タケルくんもそうなんじゃないかなって思ったんだけど…どうかな?」
大輝くんのその問いにタケルくんはうつむいた。しばらくの沈黙の間、カチ、カチ、という音が耳に響き、美しい花模様が彫られた柱時計が掛けられていることに気がつく。
「…タケルくん、大丈夫?お水でも持ってこようか?」
流石に気になり声をかけた私に、タケルくんは顔を上げて首を横にふった。その顔が思っていたより穏やかで私はホッとする。
「僕…よくわかりません。お兄さん…大輝さんと僕が同じかどうか。でも、なんというか…」
言葉に詰まって焦った様子を見せたタケルくんを、ゆっくりでいいよ、という大輝くんの優しい声が包む。
「まとまらなくても、思い浮かんだまま言葉にしていいんだよ。わからないことはきちんと説明できなくてもいいし、話せることだけ話してくれたらいいよ」
大輝くんはいつも相手が話しやすい雰囲気を作ろうとしてくれる。私も随分助けられてきたなと、改めて大輝くんの気遣いをすごいと思った。
そして。しばらく黙っていたタケルくんが顔をあげた時に見たのは、大輝くんではなく私だった。
「その…僕が宝さんに会いたいと思っていたのは、宝さんに聞いてみたいことがあったからなんです」
聞いてみたいこと?という疑問をそのまま口にした私に、タケルくんが、ちょっと恥ずかしい質問なんですけど…と少し言い淀みながらも続けた。
「あの時…宝さんは父に、僕の気持ちを聞いてあげて欲しいと言ってくれました。でも…もし、父が僕の話を聞こうとしてくれたとしても…僕は…僕の気持ちを…本当に言ってもいいんでしょうか?」
「…いいに決まってる。でも、どうしてそう思うの?」
そう聞いた私に、答えを探す様子のタケルくんに、私は、もしかして、と思いついたことを言葉にする。
「タケルくんは、自分の気持ちを話すの、苦手、なのかな?」
「…苦手、というか…。苦手なのかどうかもよくわかっていないんです」
よくわかるよその気持ち…!私は強い共感と共に、言葉があふれ出した。
「実は私もね、自分の気持ちを話すの苦手なんだ。思ってることを整理して言葉に変えるのって難しいよね。…でもね、タケルくんの気持ちを話したらダメなんてことは絶対にないよ。だからもし、ね。今、タケルくんがイヤじゃなかったら…。
どうしてタケルくんが自分の気持ちを話すことに迷うのか、タケルくんの気持ちを聞かせてくれない?」
私を見つめたままのタケルくんのその視線をなんとか安心させたくて、私は精一杯の微笑みを作ってみる。少しの静けさがあり、決意の合図のようにゴクンとのどを鳴らした後、タケルくんは話はじめてくれた。
「その…僕のお母さんはひとりぼっちです。お母さんには僕しかいないし、お母さんが悲しいのはイヤなんです。でもお父さんだって…お父さんはたしかに怖い時も多いんですけど僕にとってのお父さんは…お母さんが言うほど、その、いじわるな人でもなくて」
「…お母さんも、お父さんも、…大切ってことかな」
そう聞いた大輝くんに、タケルくんが小さく頷いた。
他人から見たらひどい父親でもタケルくんから見たらどうなんだろう?と大輝くんが言っていた通りだった。大輝くんが次々と、まるで見透かすようにタケルくんの思いを言い当てていくことに、まだ切なくなる。
「…でもお母さんとお父さんは…お互いのことが大キライだから。僕がお父さんも大切っていうとお母さんが悲しむし、お父さんにお母さんのことを話すとお前は間違っていると言われます。
だから僕が自分の気持ちを…ほんとの気持ちを話すと、お母さんをがっかりさせるし、お父さんを怒らせることになるんです。だから話しちゃダメなんじゃないかなって。僕がお父さんの言う通りにしていれば、お父さんはお母さんを攻撃しないし、お母さんが泣いたりすることもなくなるんです」
小さな声で、でもはっきりと言いきったタケルくんが悲しすぎて、私は相槌さえも失っていた。
『自己主張をせずに、人に合わせて人に譲る。他人が望む答えを探し出す子というのは、胸が痛むものです』
そう言ったのは大輝くんのお父さんだ。そして。
『大輝はタケルくんに幼い頃の自分と同じ思いをさせたくないと、今回のセッティングを私に頼んできたわけです。そして、宝さんならタケルくんを救えるかもしれないと期待して、信じている』
大輝くんの思いも伝えてくれたけれど、到底、そんな力が私にあるとは思えない。でも。
― タケルくんがこのままなのは…つらすぎるよ。
10歳という幼さで親を気遣い、親のために我慢を続けてただ耐えるなんて。大人の事情がどんなに複雑で、たとえ理由があったとしても、子どもが本当の気持ちを言えない状況なんて、絶対におかしい。
― 愛さんごめんなさい。また……チープな正義感かもしれません。でも…。
「タケルくんはね、お母さんとお父さんのこと、どっちも好き、どっちも大切でいいんだよ。絶対にその気持ちは間違ってない。タケルくんは絶対に間違ってないよ」
思い切ってそう言った私に、タケルくんは、え?と驚いた顔になった。
「…でも、僕、お父さんにはいつも、瀧川家を継ぐにはそれじゃだめだ、お前は間違ってるって言われてるんです」
― なんでそんな言い方を…!
タケルくんにとっては大切な父親だと理解した。理解してもなお、どうにもあの人のことは好きになれない。こみ上げた怒りを抑えながら、落ち着くように自分に言い聞かせてから私は言った。
「今から、私の質問に答えてくれる?」
タケルくんは、はい、と姿勢を正した。
「タケルくんはさ、留学したくないってお母さんに言ったんだよね」
「はい」
「どうして?」
「…どうしてって?」
「今までの話だとさ。タケルくんは自分がお父さんの言う通りにしてた方が、お父さんを怒らせず、お母さんを攻撃から守れると思っているわけでしょう?それなのに、どうしてお父さんが望んだ留学はしたくないって反抗…行きたくないって言ったのかなって思ったの」
それは…と少し言い淀んでからタケルくんが続けた。
「僕が留学したら、お母さんが悲しむと思ったし…お母さんは僕が行きたくない、お母さんの近くにいたいって言った方が喜ぶって思ったからです」
「…それってタケルくん自身は、外国に留学してもいいって思ってるってこと?」
「すごく行きたいわけじゃないけど…お父さんが言うなら、そうするべきなんだろうなって。お父さんのあとをつぐとか、将来のためにも、仕方がないとは…思っています」
仕方がない。10歳の子どもらしからぬ言葉選び、その諦めたような口調に、私はとても悔しくなった。最初は感心したタケルくんの大人っぽさを、今はもう利点だとは思えなくなっている。
タケルくんから幼さを奪った大人たちの事情に苛立ちが募る。そして気がついてしまった。
― タケルくんは、自分の痛みに鈍すぎる。
そのくせ、愛さんや周囲の大人が傷つくことには過剰に反応するのだ。私はこみ上げるもどかしさを口調ににじませないように、言葉を選んだ。
「つまりタケルくんは、自分は留学するつもりだったけど、お母さんが行って欲しくなさそうだったから、行きたくないって言った。つまり、お母さんのためにウソをついた。自分の気持ちをごまかしたってことかな」
「…ウソ?それってウソになるんですか?」
そう言ったタケルくんに、私は慌てて、タケルくんが悪いわけじゃないよ、タケルくんを責めてるわけじゃないんだよ、と伝える。
「…でもたしかに…僕がお母さんに行きたくないって言ってしまったことで、結局…携帯とかがバレて…お母さんがお父さんに怒られることになっちゃいましたよね」
あの日。僕が留学するから、お母さんをこれ以上いじめないでと父親にすがったタケルくんの姿が浮かんで、また胸が痛くなる。
「タケルくんは、何にも悪くないの。お母さんを傷つけたくなかったんだから、とっても優しいことをした。ウソだったとしても、とても優しいウソだったと私は思う」
「…優しいウソ…」
そうつぶやいたタケルくんに、私は精一杯明るいトーンを作って、でもね、と言った。
「やめてみない?ウソつくの」
「…え?」
「ずっとじゃなくていいの。とりあえず1回だけでもいいの。1回だけ、お母さんのためとか、お父さんのためとか、お家のこととか、全く考えなくてよかったら、タケルくんはどうしたいのか…何を伝えたいのか、考えてみようよ。
そうだな、お父さんはハードル高そうだから、まずはお母さんから。お母さんに本当の気持ちを…1回だけ、伝えてみない?」
「…そんなこと」
不安そうな顔でできませんと即答したタケルくんに、私は近づいた。椅子に座るその横にしゃんで目線を合わせると、少し照れたように目を泳がせたタケルくんがかわいかった。
「正直なこと言うとね。私にも正解はわからないの。タケルくんが育っているお家の中には、田舎育ちの私には想像もできないいろんな事情があると思う。
でもタケルくん…どんな家に生まれても、子どもの気持ちって大切にされて当たり前だと私は思うの。間違っているのはタケルくんじゃなくて、こんなに苦しい状況にタケルくんを追い込んだ大人たちなの。
タケルくんはまだ10歳で、こんなに小さいのに、一生懸命お母さんを守ろうとして…本当によく頑張ってる。本当にえらいよ。本当に…本当にすごいと思う」
タケルくんの顔がだんだんにじんで見えてきて、しまったと思った時には遅かった。
「…宝さん…なんで泣いているんですか?」
タケルくんに指摘されたことで、なおさら恥ずかしくなった。慌てて涙をぬぐうと、今度は。
「…タケルくんも泣いてるじゃん」
驚いたように、泣いてません!と目をこすったタケルくんがかわいくて。私たちはお互いをからかい…笑い合った。
「タケルくん、ハグしていい?…その、友達だよ、っていうハグ」
「…ハグ、ですか?」
タケルくんは一瞬迷ったようだったけれど。
「…どうぞ」
おずおずと承諾してくれたタケルくんを、私はそっと抱きしめた。そして抱きしめたまま言った。
「…お母さんに、本当の気持ち、言えそうかな?」
私の腕の中で身じろぐ気配がしたけれど、タケルくんは何も言わない。ドキドキしながら返答を待つと、しばらくして、くぐもった声がした。
「…話すのは難しそうだから…考えてから文章に…手紙として書いてみようと思います」
「…え?」
タケルくんの表情が見たくて慌てて体を離すと、タケルくんは…ニコニコと笑っていた。本当にニコニコと。その目に涙を光らせたままで。
◆
そろそろ終わらないと、と大輝くんに指摘され、大人たちの懇親会終了の時間、タケルくんの迎えの時間が近づいていることを知った。手紙をここで書く時間はなさそうだから、あとのことはオレにまかせてと大輝くんが言った。
大輝くんが自分の住所をタケルくんに渡し、愛さん宛ての手紙を郵送するように伝える。今の子たちって手紙の郵送の方法を知ってるの?と思って心配したが、タケルくんはあっさりと理解したようだった。
「受け取ったら、責任をもってお母さんに渡すからね」
「よろしくおねがいします」
タケルくんの迎えが来る前に帰らなきゃと、別れを告げタケルくんに背を向けた時、宝さんと呼び止められた。
「僕、宝さんともう一度お話できて、本当によかったです。ありがとうございました。また…会えたらうれしいです」
大輝くんが、あれ?オレにはもう会いたくないの?とふざけながら、タケルくんを羽交い絞めにした。くすぐられ、ケタケタと大きな声を上げ笑うタケルくんの笑顔は、今日一番、子どもらしく無邪気に幼く見えた。
◆
≪20時にスニート集合ね。4人の仲直り会&報告会。愛さんと雄大さんにはタケルくんに会った流れは全部説明済み≫
大輝くんからそんな連絡がきて、愛さんと雄大さんに久しぶりに会う日に指定されたのは、タケルくんと会ってから10日程がたった、仕事納めの12月28日だった。
― 緊張するな…。
すれ違う人達によいお年をと挨拶しながら会社を出て、品川から西麻布までバスに乗る。年末のせいか道が混んでいて、いつもなら30分程で着くけれどもう少しかかりそうだ。
そのことにホッとしているのは、愛さんや雄大さんに会う心の準備をする時間が延びたからだろうか。
― 話さなきゃいけないことは他にもあるけど…。
それは大輝くんにもまだ言っていないこと。タケルくんに会った翌日、私は伊東さんに返信をしていた。
≪お食事のお誘いですがごめんなさい。今回は仕事が忙しくてご一緒できなそうです。せっかくお声かけいただいたのに申し訳ありません≫
つまり、お断りさせてもらったのだ。大輝くんには気にする必要はないと言われたものの、雄大さんと気まずいままに、伊東さんと食事に行くことはなんとなく後ろめたく感じたからだ。
伊東さんからは、すぐに返信がきた。
≪わかりました。お仕事頑張ってください。それと…単刀直入に聞きますね。僕とご飯にいくのがイヤってことかな?もしそうだったとしても全く気にしないので、正直にいってくれて大丈夫