「私が行けなかった難関大学に行ってほしい!」と自分の子供に言い続けた結果、家庭崩壊しかけた話

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自分の達成できなかった夢を、子供に託したいと思う人もいるかもしれませんが、子供は自分とは違う人間だということを忘れてはいけません。今回は筆者が友人から聞いた【子供に「自分が行けなかった大学へ行かせたい」と切望した母親】の話をご紹介したいと思います。

成績優秀な次女に期待を寄せた結果、家庭崩壊寸前に

私はとある地方都市に住む50代の主婦です。今は旦那と2人暮らしですが、もう成人して家を出た娘が2人います。これは娘たちが思春期真っ只中だった時の話です。

娘たちは地元の公立中学校に通っていました。長女は勉強よりも部活のバレーを頑張っていたこともあり、学業の成績は普通。反対に次女は学年でトップクラスの成績をキープしていました。

成績優秀な次女を見て、私の頭には「この子なら、私の無念を晴らしてくれるかもしれない」という気持ちが浮かんだのです。

私には、大学受験の時に志望大学に落ちて、泣く泣くすべり止めの大学に行った過去がありました。「もっと私の頭が良ければ……もっと勉強していれば」という後悔の念がくすぶっていた私は、次女に「私が行きたかった大学以上の難関校を目指してほしい」と強く望みました。

私は次女が中学生の時から塾に通わせ家庭教師をつけて、「お母さんが行きたかった大学か、それ以上の大学に行きなさい」と言い続けたのです。

次女につきっきりだったので、自然と長女の方はほったらかしの状態になりました。その結果、長女は高校生になってから「私はいらない子なんでしょ」と無断外泊をくりかえすように。

反対に、進学校の高校に進んだ次女は「自由なお姉ちゃんが羨ましい」と精神的に不安定になり、成績が伸びなくなってしまったのです。

「どうしてこんなことになったんだろう」と落ち込む私。このままでは家庭が崩壊してしまう、そんな状況から抜け出せたのは、旦那のおかげでした。

旦那に怒られて目が覚めた

自分が悪いと微塵も思っていなかった私は、旦那から「お前の人生のやり直しを娘にさせるな」と怒られて、ようやく我に返りました。

私が「次女のために」とやっていたことは、全て自分のための行動だったことに、その時気づいたのです。

旦那は次女に「もう無理に勉強しなくていい。大学も、自分の行きたい学校に行けばいいよ」と声をかけました。すると次女は徐々に元気を取り戻していったのです。

結果的に、次女は自分の好きな学部のある大学を選んで進学しました。

長女は、ほったらかした私をなかなか許してくれませんでした。しかし、旦那に寄り添ってもらいながら何年も謝り続けた結果、今では一緒にショッピングに行けるくらいまで関係を改善することができたのです。

娘たちに自分の希望を押し付けすぎて、大切なものを失うところでした。目を覚まさせてくれた旦那と、許してくれた娘たちには、感謝してもしきれません。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Hinano.N
不動産・金融関係のキャリアから、同ジャンルにまつわるエピソードを取材し、執筆するコラムニストに転身。特に様々な背景を持ち、金融投資をする女性の取材を得意としており、またその分野の女性の美容意識にも関心を持ち、日々インタビューを重ね、記事を執筆中。