青学初等部出身、実家は田園調布…。絵に描いた“東京の正解”のお坊ちゃまなのに、モテないワケ
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「今年こそ結婚」と決意したのに、もう5月。出会いはあるけど本命になれない女の特徴
莉奈とは、友人を介して知り合った。
青山学院大学を卒業し、大手ゼネコンに就職。身長177cmで清潔感はあると思う。実家は田園調布で、次男、28歳独身バツなし…、と条件もそこまで悪いほうではないはず。
しかし初デートのあとから、連絡頻度がガクッと落ち、明らかに莉奈の中で僕は“ナシ”か、もしくは友達ランクに降格したのを感じる。
「勇太くんって、いい人だよね」
最後にそう言われたのを思い出す。
でも女性が言う“いい人”は、決して褒め言葉でないと知っている。
最初は女性のほうが好きの矢印を向けてきていたのに、たった一度のデートで僕は何か失敗してしまったのだろうか…?
Q1:女が男をデートに誘った理由は?
莉奈と出会った時、彼女が可愛かったので僕は緊張していた。
「勇太、今日静かだね」
一緒にいた、紹介者でもある友人の蒼にそう茶化されたけれど、僕は意外に人見知りでもある。
「違うよ、人見知りなんだよ」
「勇太って、そうだっけ?」
そんな僕と蒼の会話を、面白そうに聞いていた莉奈。
「勇太くん、人見知りなの?」
「そうなんだよね…。莉奈ちゃんは?全然平気?」
「うん、私はまったく。人見知りはしないかなー」
その言葉通り、三人の食事は莉奈が会話をリードしてくれて盛り上がった。
「じゃあ蒼くんと勇太くんは、小学校からの友達なの?」
「そうなるね。お互いの両親も知ってるし、仲良しだよ」
僕たちは下から青学のため、蒼とは気がつけばもう20年以上の付き合いになる。
「もはや腐れ縁だよな。昔は、よく勇太の実家に集まっていて。広い庭があるから、そこで遊んだりもしたなー」
「懐かしいね」
気がつけば、つい僕と蒼で昔話に花が咲いてしまう。でも慌てて莉奈のほうを見るとニコニコとしながら話を聞いてくれている。
― え。この子、めっちゃいい子じゃん!
そう思った。それに莉奈は抜群の相槌と質問力で、僕たちの話を上手いこと盛り上げてくれるスキルさえ持っていた。
「じゃあ勇太くんのお家が、友達の中で一番大きかったってこと?」
「大きいかどうかはわからないけど…。でも溜まり場にはなっていたかな」
「そうなんだ!しかもこんなにも長く、ずっとお友達でいられるってすごいことだよね」
「それはそう思う」
この日は僕と蒼の小学校時代のくだらない話などで盛り上がってしまったけれど、もちろん莉奈のことを聞くのも忘れなかった。
「莉奈ちゃんは?出身はどこ?」
「私は名古屋だよ」
「名古屋か〜!俺、名古屋城行ったことあるよ。金のシャチホコ見た」
「どうだった?」
「どうだった?」と聞かれても、特に感想はない。でも彼女の地元を悪くいうのは良くないので、僕は一生懸命回答を絞り出す。
「うん……。金のシャチホコだった」
すると、莉奈はお腹を抱えて笑い出した。
「勇太くんって、面白いね♡」
― 良かった、正解だったんだ!
ケラケラと笑う莉奈を見て、とりあえず安心する。結局この日は1軒目で解散となったけれど、帰り際、莉奈がこっそり僕に耳打ちをしてきた。
「勇太くん。今度、二人でご飯でも行かない?」
不意打ちすぎて、僕はただ大きく頷くことしかできない。
でもちゃんと連絡先を交換し、早めに日程を決めてデートすることになった。
Q2:二人きりのデートで女が白けたワケは?
莉奈との初デートは二度目ということもあり、僕の人見知りもそこまでひどくもなく、結構良い感じだったと思う。
「莉奈ちゃん、お休みの日とかは何してるの?」
「私は掃除して、買い物行って友達と飲んで…って感じかな。勇太くんは?」
「僕はサッカーしたり」
「サッカーするの?」
「うん。実は、サッカーが大好きで。日本のサッカーももちろん観るけど、プレミアリーグの試合は極力観るようにしてるんだよね。最近は日本人選手も多いし、すごく面白いよ」
「そうなんだ」
『割烹 うづき』のカウンター席で、酒を飲みながらサッカーの話で盛り上がる。何より、莉奈が真剣に聞いてくれるので、僕もどんどん饒舌になっていく。
「本当にサッカー好きなんだね」
「寝不足になってもいいから、観たくなっちゃうんだ。莉奈ちゃんは?何か好きなスポーツとかある?」
「私はほとんど観ないかも…オリンピックとか、ワールドカップとかは観るけど」
「そっか〜。今度時間ある時でいいから、観てみたら?絶対にハマると思う。ちなみに、僕の好きなチームはブライトンっていうチームで、三笘選手がいるよ」
「わかった、観てみるね」
今日も、笑顔でいてくれる莉奈。不意に、「莉奈と付き合ったら楽しいだろうな」と思った。
「僕さ、映画も好きで。ホラー映画なんだけど」
「ホラー映画!?」
「そうそう。意外に面白いんだよ。今度一緒に観ようよ。メジャーなタイトルもいいけど、意外に有名になってなくても良いものがたくさんあって。オススメはね…」
僕の好きなタイトルやそのあらすじなどを熱く語っていると、莉奈は肩をすくめている。
「いや〜聞いてるだけで怖くなったよ」
そう言いながら、耳を塞ぐ莉奈。その仕草が可愛くて、僕は笑ってしまった。そんな彼女をみて、話の途中ではあったけれど、気になっていたことを思い切って聞いてみる。
「莉奈ちゃん、こうやって男性と二人でよく食事とか行くの?」
すると、莉奈はとても驚いた顔をした。
「え!まさか。行かないよ。男性と二人で食事へ行くのなんて、すごく久しぶりだよ」
ということは、僕はアリだから今日来てくれた…という認識で合っているだろうか。「黒毛和牛のたたき」を食べながら、思わず頬が緩む。
話も盛り上がり、莉奈も楽しそうにしてくれている。
それに、今日こうやってデートに来てくれた…というよりも、莉奈からデートに誘ってくれた時点で、僕に可能性があるということだろう。
「勇太くんって、いい人だよね」
「そう?ありがとう…。莉奈ちゃん、またデート誘ってもいい?」
「もちろん!」
こうして笑顔で別れた僕たち。
しかしこの初デートのあと、莉奈からの連絡は途絶え、最初のグイグイはどこかへ行ってしまった。
― なんで?僕が何をした?
果たして、どうして莉奈は態度が急に変わったのだろうか…。
▶前回:「今年こそ結婚」と決意したのに、もう5月。出会いはあるけど本命になれない女の特徴
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:5月19日 日曜更新予定
女がデート中に考えていたコト