顎変形症の女性が整形で得たものとは？ 「努力して可愛くなったんだね」自尊心を保てた彼氏からの言葉
■美容専門学校で痛感した美意識の高さ「最低でも歯科矯正はやらなきゃ」
──目頭切開をしたYouTube動画に「この整形、成功すぎる！」など多くのコメントが寄せられています。この反響をどう感じていますか？
【ふみのさん】あったかいコメントしかなくてびっくりしています。それだけキレイに施術していただけたんだなって。私は美容師をやっているんですが、お客さまにも目頭を整形された方はけっこういて「私もしてるんです」と言うと「うそ、めっちゃ自然ですね」とか「傷跡がまったくなくてすごい」とか驚かれることが多いんです。
──実際とてもナチュラルです。
【ふみのさん】顔にはそんなにこだわりがなかったので、ほぼ丸投げでオーダーしました（笑）。「顔のベースはあまり変えず、ナチュラルに好印象な雰囲気にしてください」と。目頭を切開したのも、二重埋没をしたあとに「せっかくなら目頭もやったら？」という周りからのアドバイスが大きかったですね。
──周りというのは職場ですか？
【ふみのさん】はい、周りにもプチ含めてやっている人は多いですし、整形に偏見がない職場なので。ダウンタイム中も目頭に糸がついたまま普通に働いてました（笑）。新規のお客さまに「目頭切ったばかりなのでこんな見た目なんですけど…」と説明したら、そこから話題が広がったのも美容師としてはプラスアルファでよかったことですね。
──「顔にこだわりがない」のに、整形に踏み切ったのはなぜだったのでしょうか？
【ふみの】昔から"出っ歯"と呼ばれるくらい前歯がコンプレックスだったんですが、「ブサイクだけど、まあ生きていけるか」と思ってたんです。だけど田舎から大阪の美容専門学校に入って、周りの美意識の高さにカルチャーショックを受けたんですよね。それで「最低でも歯科矯正はやらなきゃな」と考えるようになりました。
──歯科矯正は時間もお金もかかりますよね。
【ふみの】私は顎変形症だったので、矯正と顎の骨切りは保険適用されたんです。それでも80万円くらいかかったので、実際に始めたのは就職してお金を貯めてからでした。サロンの先輩から「口が開いてるとだらしなく見える」と指摘されたことも決め手になりました。それまで前歯が邪魔して口を閉じることができなかったんです。
──二重、目頭、鼻と整形を重ねていますが、不安はなかったですか？
【ふみの】まったくなかったです。二重は歯科矯正を始めたタイミングで、せっかくなら他のパーツも変えてみようかなと考えていたところ、後輩が整形してきたのを見て決めました。鼻は顎の骨切りをすると顔の雰囲気が変わるので、バランスを取るためにメッシュと軟骨を入れました。
■「そんなに自分の顔を悪く思わないで」親からの言葉に感じた申し訳なさと寂しさ
──かつては整形を隠す傾向もありましたが、ふみのさんの周りはかなりオープン？
【ふみの】私も公表にはまったく抵抗がないです。むしろ変化を見てほしいし、感想を聞きたいのでTikTokも始めました。リアルな意見が聞けるのもためになるし、最近は悩み相談のメッセージも多いです。こんな私でも誰かの後押しになれるなら、という気持ちでTikTokを続けています。
──整形によって内面の変化はありましたか？
【ふみの】自分では変わったつもりはないのですが、フォロワーさんからは「表情が明るくなりましたね」と言われます。あと恋愛観はだいぶ変化しました。整形前は「可愛い」と言われても物好きだなとか変わり者だなとか思っていたのですが、今は素直に受け止められるようになりました。今の彼氏が整形をした私を認めて「努力して可愛くなったんだね」と褒めてくれるのも大きいかもしれないです。
──整形によって失ったものはないですか？
【ふみの】強いて言えば、親に「そんなに自分の顔を悪く思わないで」と言われたことですかね。別に縁を切られるとかはないんですけど、申し訳なさもありつつ、可愛くなったことを一緒に喜んでくれたらよかったのに…と少し寂しい気持ちもあります。
──TikTokでは「顔面完成するまであと4年」と語っていましたが、次はどこを？
【ふみの】1年後くらいに顎が安定したら、次は保険適用でオトガイ形成をします。その後、骨が安定したら涙袋とか細かいところをやっていきたいですね。
──かつてはこだわりがなかった顔に、今は細部までこだっているんですね。
【ふみの】大阪に来て自分がこんなにも垢抜けてなかったんだと気付いてしまったことと、あとは職業柄も大きいです。お客さまはキラキラした美容師に施術してもらいたいもの。自分もそうでしたから、技術だけでなく美意識を高く持つのも仕事のうちだと思うんです。ご指名をたくさんいただけるようこれからも頑張りたいですね。
（取材・文／児玉澄子）
