味噌の最高峰との呼び声も高い、コクと旨味が調和した至高の一杯

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毎年数多くのラーメン店が誕生する北海道。そのなかでも、名店と呼ばれる店は時代を超えて愛され続けている。彼らは何を守り、何を変えてきたのだろうか。新・旧の名店の秘密に迫る。前編となる今回は、「麺屋 彩未」「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」「すみれ 中の島本店」の3店を取り上げる。<※情報はラーメンWalker北海道2020より>

【写真】札幌ラーメン界を変革した名伯楽が生んだ一杯

■ 「麺屋 彩未」(札幌市・豊平区)

名店「すみれ」から独立し、村中系のDNAを継ぐ旗手として脚光を浴びたのが19年前。行列のできる人気ぶりは今も変わらない。その味はシンプルにして深遠。スープとタレの奥行きある味わいに、店主の鍋さばきが香ばしさを付与。そこはかとない旨味が人々を魅了する。旨さの鍵を握るのは店主の鋭敏な舌。実は、人気を得てからも時流に合わせ、スープや具材を舌を頼りに密かに進化させてきた。おごらぬ研鑽こそ名店たるゆえんだ。

店名の「彩未」は、店主・奥雅彦さんの長女と当時生まれたばかりの娘から、それぞれ一字ずつ取って付けられた。それゆえ、屋号に対する思いは特別。奥さんが左肩を痛めた影響もあって厨房に弟子が立っていた際には、平仮名の「さいみ」ののれんを掲げていた。

ここで味わっておきたいのはやはり「味噌らーめん」(800円)。中華鍋で具材とタレを絶妙な加減であおり、ゲンコツやモミジなどから取った清湯(チンタン)スープを合わせる。味わい、具材の食感、香ばしさのすべてが完成された一杯だ。また、かすかに甘い濃厚な醤油ダレを合わせたコクの豊かなスープに、うっすら広がるラードの油膜が特徴の「醤油らーめん」(800円)も人気だ。

<住所:札幌市豊平区美園10-5-3-12 / 時間:11:00〜15:15、17:00〜19:30(火曜・水曜は休み) / 休み:月曜※その他月2回不定休あり>

■ 「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」(札幌市・豊平区)

札幌のラーメン界に魚介系を確立させた名店。「ラーメンWalker北海道」グランプリで2015年から4年連続で3位以内にランクインし、殿堂店入りを果たした。看板メニューの「魚介豚骨醤油」は、「札幌といえば黄色い縮れ麺の味噌ラーメン」という既成概念に挑戦した意欲作。豚骨のコクと魚介の旨味あふれるスープに、道産小麦100パーセントの白い自家製麺、柚子香るジュレを組み合わせた斬新な味わいは、今なお多くの人を引きつけてやまない。

2006年の創業時から、2011年の現在地への移転後も変わらず店舗入口に飾られているミラーボール。これは、今までにないラーメン店を作るべく修業していた古川さんが「自分の店を持ったらこれを飾る!」と開業が決まる前に購入していた決意の証だ。

おすすめは「魚介豚骨醤油」(850円)。濃厚な豚骨スープにアジやイワシ、カツオなどの魚介系のダシを合わせたスープはコク深くまろやか。柚子のジュレを少しずつ混ぜながら味わえば、あと味もさわやかに。また、専用麺に、はるきらりを石臼でゆっくりひいて熱を入れずに栄養価を残した全粒粉を使用した「つけBUTO(大)」(880円)も人気だ。

<住所:札幌市豊平区平岸2-11-1-12 / 時間:11:00〜15:00(LO14:45)、17:00〜19:30(LO) / 休み:水曜※月1回不定休あり>

■ 「すみれ 中の島本店」(札幌市・豊平区)

村中明子さんが開いた伝説の名店「純連(すみれ)」。秘伝の味は長く身内の間で守られてきたが、その門戸を最初に開いたのが「すみれ」の村中伸宜店主だ。以来、「彩未」を皮切りに多くの弟子を輩出し、今や孫弟子も活躍。華やかな系譜を“村中系”と呼ぶ人も。その旨さの真髄は鍋仕事にある。鍋をあおりながら具材とタレの旨味を一体化、ラードがおおう香ばしい一杯へと仕上げる。これぞ札幌ラーメンという味わいだ。

店主の母、先代・村中明子さんが最初に「純連」を開いたのは、今の地下鉄中の島駅のほど近くの場所。店内の壁にはその頃の写真が飾られており、当時をしのぶことができる。ちなみに、現在の「すみれ」は店主の生家があったあたりなのだそう。

おすすめは「味噌」(870円)。コクのある濃厚スープに広がるラードの油膜。喉越しのよい縮れ麺をすすれば、どこまでも香ばしい札幌味噌の王道を行く一杯。厚切りの塩チャーシューもスープに合う。また、「正油」(820円)も人気メニューのひとつ。力強い塩味にほんのりと甘さが続く。麺をつまむと湯気と共に立ち上る醤油の匂いが食欲を誘う、色あせない伝統の味だ。

<住所:札幌市豊平区中の島2-4-7-28 / 時間:11:00〜15:00、16:00〜21:00、土日・祝日は11:00〜21:00※11月〜3月は〜20:00 / 休み:なし>

今回は、数多の名店がそろう北海道のラーメン界から3店をピックアップ。ここで紹介した店はいずれも「ラーメンWalker北海道」のお墨付き。ぜひ本誌を持って店を訪れてみて。

※表記価格は消費税8%時の税込価格となります。2020年1月現在、消費税率が10%に変更され、税込価格が変更となっておりますのでご注意ください。(東京ウォーカー(全国版)・ウォーカープラス編集部)