一生に一度であるはずの、結婚

できれば妥協はしたくない。

だが経験者たちは口を揃えて、「どこか妥協した方が良い」と言う。

結婚するには、何かを妥協しなくてはいけないのだろうか?本連載では、その核心に迫る―。

先週は、高年収と引き換えに愛情を妥協した女などを紹介した。今週は?




【File5:年齢に固執していた男】

名前:瑛士
年齢:42歳
職業:外資系コンサル会社勤務
結婚歴:1年
妻の職業:外資系金融秘書

「元々、結婚願望が無かったでんす」

そう語る瑛士さんは外資系コンサル会社勤務で、年収は約3,000万。

家は六本木のタワーマンションの高層階、乗っている車はフェラーリ…と、まさに“エリートの王道”と言うべき暮らしをしている。

「隠さずに言うと、20代の頃は結構派手に遊んでいたんです(笑)」

瑛士さんが20代の頃は、働き方改革なんて一切関係ない時代。仕事は激務だったが、深夜まで働いた後、そこから会社の同僚たちとクラブへ行き、週末はデートをしたり食事会へ参加。

不眠不休で働きながらも、しっかり遊んでいたそうだ。

「当時は、モデルさんやタレントの卵とかも周りにたくさんいて。女性関係で悩んだことは皆無でしたね」

そう豪語する瑛士さんは、昨年遂に“結婚”という決断を下した。お相手の真由子さんは38歳と、瑛士さんの年齢に近い。

「同年代の女性と結婚するというのは、自分でも意外な決断でした。でも彼女を選んだのには、理由があるんです」


モテ男が“妻”に選んだ女が持っていたものとは?


有名なコンサル会社勤務で経済力があり、遊び方も知っている瑛士さんは、20代のうちから相当モテた。

「もちろん、寄ってくる女性の半数以上は僕の肩書きや年収目当てだということは分かっていました」

だが、悪い風には捉えていなかったという。

「学生時代は相手にされなかったような美女達が自分に言い寄ってくる。それはそれで、楽しかったし、満足していました」

もちろん、過去に結婚しようかと考えた相手もいた。

けれども結局は“一人”という自由を優先し、結婚には至らなかったそうだ。

「今の生活を変えたくなかったし、誰かに縛られるのが苦手で。自分のテリトリーに誰かが入ってくるのも嫌だったし、結婚に何のメリットも感じていなかったんですよね」

しかし独身生活を謳歌しているうちに気がつけば30歳になり、35歳になり、そして40歳になっていた瑛士さん。

「実は40歳になってすぐ、母が病気で倒れたんです。僕は若い時に父を亡くしていることもあり、そのとき、ふと“あれ?このまま一人で死んでいくのかな”って思い始めて…」




そのとき脳裏に浮かんだのは、“孤独死”という言葉。

「そんなこと今まで考えたこともなく、結婚なんて自分が本気になればいつでも出来ると思っていました」

自分はモテると信じて疑っていなかったし、実際に40歳になっても瑛士さんの周囲には言い寄ってくる女性はまだ沢山いた。

けれども“結婚”を真剣に考えた時、瑛士さんの中である違和感が湧いたという。

「周囲にいる女性は遊ぶには良いけれど、結婚となると何か違うんじゃないかなと」

これまでの歴代の彼女は、皆外見重視。

本人が稼いでいる分、相手には年収など求めない。その分年齢も若く、相当な美人ばかりだったそうだ。

「同世代や30代後半の女性とは、そもそも出会う機会も少ないんですよね。けれども自分の年齢が上がるにつれ、飲みの場や誰かの紹介で出会う子たちは、自分より10歳以上年下だということに気がついて、驚きました」

しかも10歳も歳が離れていると、会話も噛み合わないことが多くなる。

そして40歳を過ぎている自分は、20代の女子からすると“おじさん”であり、恋愛対象ではなく、食事をおごってくれる都合のいい男なのではないかと気づき始めた

「それに気がついた時に、急に焦ったんです。とにかくこれは早めに結婚しないといけないな、と。」

そう考えた時、ふと脳裏に浮かんだのが真由子さんだった。


どうして彼女が脳裏に浮かんだのか?男の本音とは


結婚と恋愛は、別物である。


元々外資系金融勤めの友人の下で、秘書としてはたらいていた真由子さん。その友人を介して知り合ったのは、実は6年前だったという。

「出会った当初は、全く何にも感じていなかったんです。友人の秘書、くらいにしか思っていなくて」

しかし真由子さんの方は違った。出会った当初、瑛士さんに惚れ込み、積極的にアプローチをしてきたのだ。

「その時は真由子のことが眼中になくて。数回食事したきり、会っていなくて。でもちょうど結婚を考え始めたとき、彼女と偶然再会したんです」

昼休みに丸の内のオフィス近くを歩いていると、真由子さんとたまたますれ違ったと言う。

「そこから番号を交換し、食事へ行くことになりました。その時、僕は40歳で彼女は36歳。昔だったら、もしかしたら食事にすら行かなかったかもしれません」

しかし一通りの遊びを終え、港区でワイワイするのも飽きてきたタイミングでの彼女との再会は、大きな意味をなした。

そして実際に食事へ行くと、真由子さんの会話力、そして人間力にとても惹かれたという。

「見た目がタイプかと言われたらそこまでではないですし、年齢だって僕が今まで遊んできた女子たちよりは上です。でも、真由子はそれを上回る安心感があった」




真由子さんには、若い子にはない包容力があり、そして何より一緒にいて楽だった。また仕事にも一生懸命向き合っており、人としても尊敬できた。

昔は、モデル級の美女しか興味がなかった瑛士さん。外見や若さばかりを重視して女性を選んでいた昔なら、彼女の魅力に気がつかなかっただろう。

しかし瑛士さんは40歳を過ぎてようやく理解したのだ。

色々な経験値を積み、人として、そして女性として魅力的な女性がいい、と。

「恋愛と結婚は、全くの別物。僕の稼いだお金を食い潰すような子は、正直興味がわかなくなりました。年齢を重ねることで人は成長していくけれど、自分の年齢が上がった今、同じような感覚を持てる人がいいんだな、と気がつきましたね」

それに気がつくには、自分自身の年齢が上がったことはとても大きいという。

「昔はなるべく若い子の方がいいと思っていたけれど、今は逆。年齢に関しては妥協して良かったと思っています。年齢なんて、関係ない。若ければいいなんて、今は全く思いません」

そう話す瑛士さんは、とても幸せそうだった。

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