「人に会いたくない」という気持ちに隠された本音

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「なんだか人に会いたくないな」と思うことはありませんか?

仕事が終わり家のドアを開けてホッとするなどの開放的な場面や、疲れてベッドに横たわった瞬間といったダウンモードなど、さまざまなパターンがあると思います。

しかし、多くの方はそうした瞬間がありながらも、日々他人とコミュニケーションを取っているのが現実ではないでしょうか。

今回は、日常で見過ごしがちな「人に会いたくない」という心理を深堀りし、さらにそのような場合の対処法までを考えてみたいと思います。

■人に会いたくないと思う原因

◇1.人疲れ

人とのコミュニケーションは好きで日々充実もしているけれど、なぜか「人と会いたくない」という気分になるときがあるという方は、この「人疲れ」が原因のことが多いです。

社会生理学者であるホームズが、日常生活においてどのようなものが人の心理的ストレスになるかを調べ、それを数値化した「社会的再適応評定尺度」というものがあります。

これは43のライフイベントを羅列し、たとえば配偶者の死の場合は100、離婚は73など、それぞれを点数化したもの。

この点数の合計が1年以内に200〜300点になった人の半数以上が、だいたい翌年にストレス症状が心身に表れるといわれています。

ここで興味深いのは、結婚が50、優れた成績をあげることが28と、一般的におめでたい、喜ばしいといわれているイベントも意外とストレス指数が高いことです。

つまり、私たちは生きていれば必ずストレスがあるということ。

「人と会いたくない」と感じたとしても、そうした気持ちが一過性のものであれば、さほど気にする必要はありません。

「そんな日もあるさ」くらいに、自分の感情をありのまま受け止めてあげてください。

◇2.プライド

自分のプライドが傷つき、劣等感を抱くことが予測される場合は防御心理が働くため、人に会いたくないという気分になります。

受験で不合格になったとき、昇格試験に落ちてしまったときなど、勝者と敗者がある場合がわかりやすい例ですが、同窓会のハガキを見たときに「行きたくない!」と思うような場合も当てはまることが多いです。

周囲からの「今何してるの?」という質問に、自分のプライドが傷つけられるのではないかと無意識に恐れているのです。

◇3.ホルモンバランス

特に、女性に当てはまります。

女性は毎月のホルモンバランスと自律神経が心と体に大きく影響を与えるので、月経前になるとイライラや不安、抑うつなどの精神症状が表れたり、月経期間は腹痛や頭痛などの身体症状に悩まされたり、人とのコミュニケーションが苦痛になることがあります。

ただ、これは女性が生命体として身体を保護するための自然な反応であることも確かです。

動物も生命を維持するために冬眠しますよね。それと同じです。

あまりにも辛い場合は医療との連携が必要ですが、過度にがんばる必要はなく、ゆったりとした生活を心がけて自分に負荷をかけないことが大切です。

■人に会いたくないときの対処法

◇1.人と会わずにゆっくり休む

人と会わずにゆっくり休むことが一番大切です。

人とコミュニケーションを取ると、必ず摩擦が生まれます。

その場所がどんなに楽しい場所でも、また気のおけない人でも、摩擦自体はストレスです。

すごくいい人なのに、楽しい場所なのに、なぜ会いたいと思えないの? と自分を責める必要はありません。

心が摩擦を起こしたくないと言っているのですから、抗わずにひとりでゆっくり休みましょう。

◇2.スマホやテレビを見ない

今やスマホにSNSアプリを入れていない人はゼロに等しいと思います。

スマホを手にとるとついSNSを見てしまい、他人のリア充っぷりを見て、さらに落ち込むという経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか。

真面目な人ほど、辛いときにさらに自分を追い込む自虐行動をとりがちなのです。

また、「闇アカウント」といわれているようなSNSでネガティブ感情を共有すれば気分が落ち着くかというと、これも危険です。

同調心理が働き、さらに落ち込む可能性があるからです。

LINEの着信があったらつい開いてしまうこともあるでしょう。ですので、スマホ自体を手に取らないこと。この対処法もかなり有効です。

◇3.映画を観たり、読書をしたりする

映画を観たり、読書をしたりするなど、現実世界から逃避しましょう。

逃避は悪いことだと思われがちですが、現実世界で疲れた心を癒すための逃避はむしろいいことです。

ゲームやアニメが好きな方はゲームなどの二次元の世界でもよいでしょう。

絶対に入り込めない世界は現実の自分と関係ないため、ある種の安心感につながります。

◇4.自然を見つめる

人と会うことはなぜ疲れるかというと、相手から反応が返ってくるからです。

その反応が必ず自分を癒すものであればいいですが、必ずしもそうとはいえませんよね。

その点、自然は何も反応しません。自分がどんな感情であろうと、ただそこにいてくれます。

何があっても動じない。あるがままにそこにある姿。実はこれが精神を非常に落ち着かせてくれます。

海でも山でも花でもよいです。

雨の降っている日は、ただ降る雨を見つめているだけでも効果があります。

「人に会いたくない」という気持ちを放置しないで

このコラムを読んでいただいた方は、現在「人に会いたくない」というご自分の気持ちに不安や自責を感じているのかもしれませんね。

自分の中に芽生えた感情は放置しないことが大切です。

原因と対処法の中で何かヒントを見つけていただけたら幸いです。

対処法についてはすべてをやる必要はありません。できそうなものをひとつだけでもぜひやってみてくださいね。

(小日向るり子)

※画像はイメージです