「醤油らぁ麺」(850円)。鶏と水だけとは思えない豊潤なスープが、至高の自家製麺と融合する/(株)KADOKAWA 撮影=伊東武志

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神奈川有数の温泉地・湯河原。決して便利ではないこの土地に、幾多の食通の舌をうならせるラーメン店が存在する。それが「らぁめん屋 飯田商店」だ。

「つけ麺」(1,000円)もまた、看板メニューの一つだ/(株)KADOKAWA 撮影=伊東武志

「ラーメンウォーカー神奈川版」(発行/KADOKAWA)でのラーメンWalkerグランプリにて2015年 、2016年と連続で総合1位を受賞し、殿堂店入りを果たした。今や、湯河原の観光スポットにもなっているほどの人気ぶりだ。

■ 鶏と水、それだけ!

【おすすめの一杯】「醤油らぁ麺」(850円)。店主である飯田将太氏・渾身の一杯は、やはりベーシックな醤油味。材料を極限まで減らし、鶏と水のみで作り上げたラーメンだ。だが、ひとたびすすれば、その豊潤さと深みを増し続けるスープ、飯田氏自らが打つ国産小麦の自家製麺が融合する。醤油の香りとキレ、余韻までもが異次元の世界だ。化学調味料も一切使っていない。

【ラーメンデータ】<麺> 中細/平打/ストレート(140g) <スープ> タレ:醤油 仕上げ油:鶏油 種類:鶏ガラ・丸鶏

■ 自分を追い込み独自に研究

そんな別次元を求めるラーメンは、やはり飯田氏の職人魂で出来上がる。常に自分を追い込む覚悟を持ち、「より深く食材に向き合わなければ、進化はない」と飯田氏は語る。先輩や同業者に食材や仕事を教われば、それを当たり前には思わず、決して感謝を忘れない。「何にでもその背景や歴史を考えられる職人になりたい」とも。

■ 2杯めはぜひ、つけ麺を

醤油だけではなく、2杯めは「つけ麺」(1,000円)も味わってほしい。自家製麺に絡まるのは昆布と鰹の水ダシ。まずはその麺をつけ合わせの塩で味わうのがおすすめだ。後に、柑橘で味に変化を付けるのもいい。最後は、水ダシでスープ割も楽しめる。 そんな、口内でその旨味の相乗効果を完成させるこのつけ麺の歴史を辿ると、相模原「69’N’ROLL ONE(ロックンロールワン)」(現在は兵庫県に移転)の嶋崎順一氏に辿り着く。嶋崎氏から直伝された飯田氏は、その後も独自に研究を重ね、変わり続けている。

日々、遠方から訪れるファンが行列を作る飯田商店。数々の雑誌の賞を総ナメにし、それでもそれに甘んじることはない。訪れるたびに前より洗練された一杯が味わえるのは、店主の研ぎ澄まされた感覚があればこそだ。

■住所:神奈川県足柄下郡湯河原町土肥2-12-14 ■電話:0465-62-4147 ■時間:11:00〜15:00 ■休み:月曜(祝日の場合翌日)、月1回不定期の連休あり ■席数:18席(カウンター14、テーブル4)※禁煙 ■駐車場:15台(無料) ■交通:JR線湯河原駅より徒歩10分(横浜ウォーカー・横浜ウォーカー編集部)