円満カップルの心理学!?恋が長続きする「公平理論」って知ってる?

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2010年公開の映画『ブルーバレンタイン』は、カップルで観てはいけない映画とされています。
あまりにリアリティに満ちているので、映画を観た男女が感情移入しすぎて別れてしまうと言うんですね。

「愛を知る誰もが経験のある、しかし誰も観たことのないラブストーリー」というキャッチフレーズの通り、誰の身にも降りかかる可能性がある「すれ違い」を、哀しく美しく描いた映画なのです。

■別れに向かって緩やかに落ちていく二人


『ブルーバレンタイン』の主人公は、ディーンとシンディというカップルです。

社会人のディーンは、医学生のシンディに一目ぼれ。ディーンの熱烈なアプローチによって少しずつ距離が近づき、やがて二人は恋人同士に。
そのすぐ後にシンディの妊娠が発覚。しかも子どもの父親は元カレでした。
ディーンは血がつながらなくても我が子として育てることを決意し、二人は結婚するのです。

そこから数年の月日が流れます。
ディーンは娘に愛情を注ぐ良き父親になるのですが、ペンキ屋の仕事では稼ぎがイマイチ。
正看護師としてバリバリ働くシンディに、引け目を感じていました。

シンディはシンディで血のつながらない子どもを育ててもらっているという引け目を感じつつ、一方で才能を活かすような仕事をしてないディーンに不満を募らせていたのです。

お互いの心が離れていることを感じたディーンは、絆を取り戻そうと努力します。
でも、それすら拒むシンディ。二人はやがて離婚という決断を下し…。

■理想の人間関係とは


自分とまったく違う目線・価値観・人格というのは、とても刺激的な存在です。
「違いがある」ことを継続的に楽しめるなら良いのですが、多くの人はある程度の共感性や共通性をパートナーに求めます。

そのためディーンとシンディのように、時の経過と共に「違い」を容認できなくなり、破たんを招いてしまうんですね。
似すぎていても同族嫌悪が生まれやすく、これまた破たんを招きやすいもの。
共通性もあれば違いもある、お互いの個性を活かしつつ尊重できる関係が一番続きやすいと言えるでしょう。

心理学上、自分と相手が持つ特性や魅力を時に応じて交換(パーター)することができ、且つそのバランスが優れている関係が理想とされています。

例えば、彼は日曜大工が得意だけど美的センスがない、彼女は手先が不器用だけど色彩感覚が抜群、そんなカップルがいたとします。

彼は工作の才能を提供し、彼女は色彩へのこだわりを提供する。両者の特性が交換され、上手い具合に歯車が噛み合う。
このようなパーターが叶う関係性を、心理学用語で「公平理論」と言います。

公平性を感じられるような状態を保てるよう、お互いが努力することで円満な人間関係を生み出すことにつながるのです。

■パートナーの心構え


パートナーの心構えに必要なことは2つ。
自分以外の異性を一切寄せ付けないような独占欲求を捨てて、他者との交流を受け入れる親和欲求を持つことです。

自分たちだけの世界に閉じこもるのではなく、外界に向けて目を開きましょう。他者からの刺激は知的好奇心を喚起し、カップルとして成長することにつながります。

「押しが強い」とか「スタイルがいい」といった個別的な魅力のみで相手を評価するのではなく、相手の全体を総括した人格で判断するようにしましょう。

カップルとして「しっくり」まとまっている、という適性の高さを相互承認することで、理想のパートナーとしての意識が深く根付いていくのです。

■まとめ


長期的に円満なカップルに必要な公平理論、ご理解いただけましたでしょうか。
目線の物事のみに捉われ視野を狭くしていると、相手どころか自分の本当の気持ちすら見失ってしまいます。

常に、全体を俯瞰して見つめる「目」を持ちましょう。
そこから浮かび上がってくる大切な真実を、見落とさないようにしてください。

ライタープロフィール


黒木蜜
一般企業に勤めながら執筆した作品が日本文学館のオムニバス本に掲載され作家デビュー。古事記への造詣が深く、全国300ヶ所以上の神社紹介記事を執筆。現在、古事記の観点から紹介する神社コラム/恋愛コラムなども手がけている。
黒木 蜜〜中今の詩〜