日本ではどうしても、女性は結婚していないと冷たい目で見られがち。そのことで何か嫌な思いをすると、「早く結婚したい」と思ってしまいがちですよね。でも、そんなに焦る必要はありません!

『フィール・ヤング』で連載中の婚活漫画『ガラスの靴は割れてもはける』の主人公は34歳で婚活を始めるのですが、焦りすぎて何度も失敗を経験しています。

婚活アプリで出会った男に、ホテルに置き去りにされて傷つく千佳子。

この漫画の作者・都陽子さんも、やはり「焦っても意味がない」と言うのです。古い価値観に縛られる方が幸せを遠ざける可能性大!今回、都さんに漫画の裏話と一緒に、幸せになるための考え方を教えてもらいました。(1回目の記事はコチラ。2回目の記事はコチラ)

――『ガラスの靴は割れてもはける』は、婚活経験のある編集さんから依頼されて始まったとお聞きしました。エピソードは、その編集さんの体験談をかなり取り入れているんでしょうか?

都陽子(以下、都) きっかけはそうですね。編集さんから聞いたグループ婚活の話です。妥協してまで結婚する必要あるのかな、と。結婚してもしなくてもいい。自分が望む方向に進めるんだったら、どっちでもいい。そういう漫画にしたかった。だから、そのまま使っているわけではないですね。

――シビアに婚活をされている人に話を聞いていると、嫌じゃない相手ならそれでいいみたいな。少女漫画はときめきや感情の盛り上がりが大事ですが、リアル現実世界は妥協して結婚している人もいます。今後、漫画の中にもそういった妥協婚は出てくるのでしょうか?

都 実際に、登場人物の1人・舞は妥協婚をしようとしています。ただ、妥協婚してそのまま終わりじゃ、漫画として微妙になるので……。ただ、世間一般ではなかなかそうはいかないとはわかってはいるんですけど。やっぱり、婚活しても、すんなり結婚できないっていうことは描きたいですね。

妥協婚なので適当に条件をあげる舞。

――婚活をやっている人には興味があるんですよね?

都 「結婚したい」というエネルギーがあって、色々と婚活パーティーや料理教室に行っている人たちに聞いちゃいますね。結婚した子にも「なんで結婚したの」って聞いちゃう。回答はみんなわりとバラバラですね。老後一人が嫌だとか……それこそ恋人でもいいじゃん、と思っちゃうんですけど。事実婚とか、いろんな選択肢もあるのに、あえて結婚する理由って何なのかなって。

――最終的には、結婚だけが人生の幸せでもないし、してもしなくても選ぶのは自分的なメッセージになるんですか?

都 もちろん結婚する子も今後出てくるんですけど……。メッセージかぁ……。

――この漫画を見て、私も頑張ろうって思ってほしいのか。それともマイペースでいけばいいよって思ってもらいたいのかっていうと、どっちですかね?

都 両方ですかね。もちろん、結婚したくて頑張ろうと思ってくれたらそれはそれで嬉しいし。読んで、結婚しなきゃと思っていたけど、ちょっと休んでもいいのかなって思ってくれてもいいし。自分は仕事を頑張りたいと思っていたけど、周りから言われて最終的にはどこかで結婚しないといけないと思っていた子が、結婚しない選択肢もあるんだと思ってくれてもいいな。全部取り込みたい、みたいな感じですね。

――色んなメッセージがあるんですね。

都 結婚は、人生のターニングポイントではあるので。そういうものに振り回されて自分を見つめ直す女の子達が描きたいです。自分は何をしたかったのか。なんとなく結婚したかったけど、どうして結婚したいのかが明確になったりするとか。そうならないかもしれないですけど(笑)。

結婚の適齢期を気にする千佳子

――個人的には、オタクでも結婚できるかもしれない、とちょっと思いました。

都 でも、今はめっちゃいっぱいありますよね。オタク婚活して結婚されている人。あと、狩場をちゃんと選ぶっていうか、自分の需要のあるところでやらないとあんまり成果が出ないんじゃないかと思います。釣りも、魚のいないところに竿を投げても釣れないじゃないですか。自分の需要と供給がマッチする場所でやるのが、一番確率は高いと思います。無駄が少ないのではないかな。

変わっていく少女漫画界の結婚観

――今、少女漫画の世界は『逃げるは恥だが役に立つ』で結婚観がちょっと変わって、こういう結婚の考え方もあるんだってフェーズができて、ところが『東京タラレバ娘』で30超えてグタグタやっているのはみっともないんじゃって流れもありますよね。色んな結婚観があると思うんですけど、この『ガラスの靴〜』に関しては、結婚というものはどういう風に今後変わっていくだろうとか、何かこうなったらいいなという希望などがあったら教えてもらえませんか?

都 まだ世の中には、色んなものをあきらめないといけない人達がいて。なるべく、あきらめないでいけるようになったらいいとは思いますね、みんな。ざっくり言うと。

――わりとリアルに婚活している子に話を聞くと。やっぱりすごい焦っています。子どもを産むリミットを逆算すると、1年1年が勝負みたいな。切実さも感じるんですね。

都 私の友達は、焦っていた時に卵子預けようかなって言っていましたね。でも、それも選択肢のひとつというか。本当に自分の子どもがほしかったらそれでもいいと思っていて。ただ、卵子を預けていると言うとギョッとされるじゃないですか。それも選択肢のひとつだと受け入れられるようになるともっと楽になるのになあと思います。私は子供がほしいと思ったときに作れない体になっていた場合、養子を考えています。妥協して結婚した人と、あと何十年もずっと暮らせるのかと思ってしまう。

――どうしても少女漫画は、少女漫画脳って言われがちです。でも少女漫画脳だからこそ、漫画に出てくるこの子達多分、次はいい人と出会えるんだろうなと期待するんですね。でも、現実はそうじゃないじゃない。そこは少女漫画のファンタジーなのかな。

都 私も少女漫画脳なので、描くからには、成功パターンを見せたいというのはありますね。これで全員結婚しませんでした、だと「なんだよ!」って気持ちになりますよね。婚活うまくいきませんでした、っていうのはエッセイでいいのかな、と。漫画はエッセイじゃなくファンタジーなので、幸せな結末にはしたいな、と思います。でも、4人全員は結婚しません。この漫画の中では全員を結婚させてしまうと、それこそ少女漫画脳というか、あまりにもファンタジーすぎて、どうせ漫画だしって思われるのは避けたいんです。あと、わたしが嫌だから(笑)。結婚する人もしない人もいる。それでもそれぞれ前向きに生きていく、そういう終わりになる予定です。

幸せな結婚を妄想する千佳子。

都さんの言うように、選択肢は色々あるということを忘れてはいけません。結婚が人生のゴールだと思って「結婚しなきゃ」と焦っても、妥協になるだけ。自分の本当にしたいことを見つめ直すことが、幸せの第一歩なのです。

『ガラスの靴は割れてもはける』1巻(発売中・734円・祥伝社刊)

今回お話を伺った都さんの婚活漫画『ガラスの靴は割れてもはける』は、1巻が発売されたばかり!主人公・千佳子の婚活に共感すること間違いなしです。とくに、婚活アプリをうまくつかいこなせていない女性は必読の一冊ですよ!

婚活ポイント

☆自分は何がしたいのか?よーく見つめなおそう
☆あきらめずに行動しよう
☆何度も言うけど、自分の漁場を把握しよう

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