今回のビジネス女子マナーQ&Aは、働くアラサーの「親との距離の取り方」について。通信会社に勤める横田清美さん(仮名・29歳)からこんな質問をいただきました。

「実家暮らしなのですが、4月に入って歓送迎会やお花見飲み会が続き、帰りが遅い日が続いています。最近、母親がプンプンしていて、嫌味を言われてこっちも不愉快です。飲み会も仕事のうちだし、それ意外にもデートだって必要です。なんとかならないものでしょうか」

働く独身アラサーと親、とくに母親との関係はセンシティブなもの。これまで培ってきたビジネスマナーで丸く収める方法はないでしょうか。鈴木真理子さんに伺ってみましょう。

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先週は、ご近所問題。そして、今週は親御さんが登場ですね。仕事だけでなく、家族間にも問題が勃発し、悩みが尽きないというのは働くアラサーの宿命でしょうか。

妙齢になると、かわいい娘が心配なあまり、つい口うるさくなってしまうのは、どこのお宅でも同じですよ。

家族の間でも、報連相をしっかりと

相談者さんは、ご両親にも報告・連絡・相談をしていますか?もちろん、職場ではなさっていると思いますが、ご家族にもぜひ。

ビジネスの場でのマナーを家庭に使うというのは、他人行儀でどこか温かみがないような気がしてしまうかもしれません。でも、状況がわからないから困る、つい感情的になってしまうというのは、どんなシチュエーションでも同様に起こりうることなのです。それを回避するいちばんの方法が、報連相。だから、ビジネスでマナーとして提唱されているのです。

たとえば、お母さまが張り切ってあなたの好きなメニューを夕飯に作ってくれたとします。いっしょに食べたくて待っていてくれる。それなのに何の連絡もせず、あなたが終電で帰ってきたのでは、気の毒です。つい、嫌味のひとつも言いたくなる気持ちもわかります。

そして口論になれば、言いたくもない「そもそも話」ーー結婚はどうするんだ、とか、いつまでもチャラチャラしていて、だとかーーに発展してしまう。

これでは、どんどん関係が悪くなってしまいますよね。ぜひ報連相をしてみてください。

家族には安心させる言葉だけを伝える

とはいえ、ビジネスと家族では対応を変えなければならない時もあります。注意したいのは「相談」の場合。ビジネスなら相談する相手は、自分よりもその道のプロ。仕事の一環でもありますから、重要です。しかしながら家族の場合、相談が相手の負担や心配をあおるだけの結果になることも多々あります。

命にかかわるようなストレスなどを抱えている場合はもちろん別ですが(絶対に相談してくださいね)、ご本人にとって「心配されすぎて愚痴になっている」という程度のことであれば、報告と安心する言葉をかけてあげるだけで、ご両親の態度は変わるはずです。

イライラしながら「うるさい」「干渉しないで」「30代で門限なんて、おかしいでしょ」など、真っ向から対決するのは、反抗期の中学生のようで大人気がありません。

「今日は、23時頃に帰ります。夕飯は食べて帰ります」と、わかった時点で連絡する、「連日、帰りがおそくなってしまっているけど、大丈夫だから。いつか吉報を伝えたいから応援していてね」と笑顔で話すなど、心に余裕をもって、穏やかな気持ちで伝えてみてはいかがでしょう。

かといって、暗い夜道のひとり歩きは、あなたが思う以上に危険です。たとえば平日の飲み会などは、社内の行事だとしても、1次会でおいとましてもビジネスマナー違反にはなりません。むしろ「21時半になったので失礼させていただきます」と、さらりと帰ったほうが美しい。

2次会、3次会にダラダラ行って終電を逃すより、人通りのある時間に帰ってほしいです。
物騒な世の中です。「自分で仕事をして稼いでいるんだし、どんな生活を送っていても私の勝手でしょう?」という態度は、家族だけでなく、周囲にも伝わるもの。逆に、狙っている婚期も逃してしまう危険もありそうです。

娘と母は、永遠のライバルであり友達であり、そしてもっとも心配で、かつ、頼りになる存在なのです。



■賢人のまとめ
ご両親にも報連相。職場でのコミュニケーション術をプライベートでも役立ててください。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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