幕末期にカリスマ的な人気を得た歌舞伎役者を描く。歌川国貞「蛍狩当風俗」三代目澤村田之助 万延元(1860)年/Museum of Fine Arts, Boston. William Sturgis Bigelow Collection, 11.42145b Photograph (C) Museum of Fine Arts, Boston

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神戸市立博物館(神戸市中央区)では、幕末の浮世絵師の作品を展示する「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」が、6月18日(土)から開催される。

【写真を見る】国芳ならではの伊達男像の傑作。歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」 弘化2(1845)年頃/Museum of Fine Arts, Boston. William Sturgis Bigelow Collection, 11.28900 Photograph (C) Museum of Fine Arts, Boston

アメリカのボストン美術館は、古典美術、エジプト美術、版画、ヨーロッパやアメリカの美術など、古今東西約40万点のコレクションを誇る。その中でも約10万点が日本美術の作品で、半数以上を浮世絵が占めている。

今回のイベントでは、ボストン美術館の中でも人気が高い、歌川国芳(くによし)と歌川国貞(くにさだ)の約1万4000枚の作品から、選りすぐりの170件(約350枚)を展示する。

歌川国芳と歌川国貞は、役者絵の巨匠である初代歌川豊国の門下。同時代を生きた兄弟弟子だが、大胆かつ豪快な構図で、武者絵や戯画を得意とした国芳に対して、粋で緻密な表現で役者絵や美人画のスタンダードを築いた国貞と、作風は対照的。会場では、2人の名作を同一テーマで比較展示する。

また、国芳の「髑髏彫物伊達男」には“スカル&タトゥー・クールガイ”、国貞の「今様江戸女子姿」には“エドガールズ・コレクション”といったように、展示の各章のタイトルには、現代的でポップなルビ(ふりがな)がふられるなど、浮世絵の初心者でも楽しめる工夫がされている。

これだけの作品が出展されるのは、1876年のボストン美術館の開館以来、初めてのこと。これらの作品は一度貸し出されると5年間は公開されなくなるので、この機会に江戸時代のポップカルチャーを体感しよう!【関西ウォーカー】