作品や資料が約500点!「蔵出し!としまコレクション」で豊島区の新たな魅力を発見

写真拡大

1930年代から40年代にかけて、豊島区・池袋周辺には100棟以上のアトリエ付貸家が建ち並び、その地域を「池袋モンパルナス」と呼んでいたそう。そんな街の文化を紹介する企画展がやってくる。

2016年1月29日(金)〜2月5日(金)の期間、池袋にある「豊島区庁舎」1階センタースクエアで「蔵出し!としまコレクション 〜収蔵品展2016〜」を開催する。本展は、「美術」「文学・マンガ」「郷土資料」の3つのカテゴリーに分けて、豊島区の戦後の暮らしや動向をうかがい知ることのできる作品や資料などを展示することで、地域の歴史や文化を知ってもらおうというもの。

「この展示は、2020年以降に旧平和小学校跡地(豊島区千早二丁目)にオープン予定のミュージアム「(仮称)芸術文化資料館」の開設プレイベント第3弾として企画されました」と広報担当の秋山さん。その全容を教えてもらった。

美術分野では、大正時代末から昭和20年代にかけて、西池袋や要町周辺に集った「池袋モンパルナス」の画家たちの作品全46点を展示する。リーダー格だった小熊秀雄をはじめとする作家たちの風貌を描写した油絵や彼らの前衛的な絵画のほか、当時の風景画も展示されている。写真は、齋藤求・作「パルテノンへの道」。

「『パルテノンへの道』の作者、齋藤求は1930年代からアトリエ村の一つ『さくらが丘パルテノン』に住んでいました。右端に描かれたのが、齋藤が家族と共に暮らしていたアトリエです。還暦をむかえた齋藤が、過去の記憶を辿りながら描いた作品です」(同)

「池袋モンパルナス」の作家たちの思い出の中にある、当時の風景などを見ることができる。


文学・マンガ分野では、童話作家の坪田譲治の著書である単行本や全集、童話雑誌「びわの実学校」に関する184点もの展示が。「びわの実学校」は、新人童話作家の育成を目指し、約23年も続いた人気の雑誌だったのだとか。坪田は文学では小川未明に、児童文学では鈴木三重吉に師事し、「オバケちゃん」や「いないいないばあ」など多数の人気作を生み出した松谷みよ子や「白いぼうし」のあまんきみこなど、新人童話作家の育成に尽力した人物。

また、全134冊の表紙絵を担当した版画家・山高登について紹介。当時制作された原画(木版画)30点、昭和38年創刊号の表紙絵の版木なども展示する。写真は「びわの実学校」創刊号(1963年)。


そして郷土資料分野では、1960年代の子どもたちが使っていた勉強道具やおもちゃのほか、ブラウン管のテレビ(写真)など当時のお茶の間を再現した展示も。展示品は約170点で、戦後70年間の豊島区の移りゆく街並がわかる写真などは、今と比較しながら楽しめる。随時開催している体験コーナーでは、あやとりやお手玉、けん玉に触れ、遊ぶこともできるよう。

そのほか、1月30日(土)と31日(日)14時から15時には各コーナーの見どころを15分間で説明する「展示解説!ギャラリートーク!」や、2月3日(水)17時から18時には、作品を解説付きで鑑賞する「美術をじっくり・ナイトツアー」などに参加すると、さらに地域の魅力を知ることができるはず。


また、2017年度中の開設に向けて準備を進めている「(仮称)鈴木信太郎記念館」のプレ展示として、フランス文学者の先駆的存在、鈴木信太郎の著書や愛蔵書など約30点を紹介する。信太郎は、フランス近代の象徴主義詩人ステファヌ・マラルメの詩について、可能な限りすべての異本を検討し、それらを厳密に比較して、本来の「マラルメ詩集」とはどういうものかを探り、「ステファヌ・マラルメ詩集考」(写真)として刊行した。当時フランス本国でもまだ誰も手をつけていなかった研究に踏み込んだその業績が高く評価され、1952年には読売文学賞を受賞した。

さらに、現在は豊島区指定有形文化財となっている旧鈴木家の住宅の図面パネルも展示される。書斎棟の南側にある5つの窓の上部に黄金色に統一された5枚1組のステンドグラスの図案は信太郎自らが手掛けたもの。”書斎”という仕事場に込められた、学者としての深い思いを垣間見ることができる。

これまで馴染みの深い街でもその歴史や文化を少し掘り下げてみると、意外と知らないことも多いはず。思いがけない発見に出合える展示を楽しんで。