鼻を強くかんだら中耳炎になった!?耳鼻咽喉科専門医が教える、間違った鼻水対処法5つ「鼻をすする」

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何度も思いっきり鼻をかむと耳や頭がキーンと痛くなり、妙なかみ方をしたのではないかと気になります。そこで、耳鼻咽喉科専門医で、とおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長に、正しい鼻のかみ方について教えていただきました。

■左右の鼻を同時に一気にかんではいけない

鼻水の正体について、遠山医師は次のように説明します。「鼻水は、体に侵入しようとする、あるいは侵入したウイルスを洗い流そうとするために出ます。目にゴミが入ったときに涙が出るのと同じ働きです。

鼻水をかまずに我慢して鼻の中にため続けると、鼻の粘膜を傷つけて炎症が治らず悪化することがあります。その結果、慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)、いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)の原因となります。鼻をかむ行為自体が治療ですので、鼻水は出始めたときからこまめにかんで、鼻づまりを改善することが大切です。

ただし、かみ方を間違えると危険を伴うこともあります。正しく鼻をかんで上手に鼻水を出すことを意識してください」

ではここで、「正しい鼻のかみ方」について、遠山医師に教えていただきました。

1.鼻水を押し出すために、しっかりと口から息を吸いましょう。
2.一方の鼻を押さえて、片方ずつかみましょう。
3.ゆっくり、少しずつかみましょう。
4.口は閉じたまま、息をこらえてかみましょう。
5.最後まで、強くかみすぎないようにしましょう。

続いて、「間違った鼻のかみ方とその理由」について、遠山医師はこうアドバイスをします。

1.左右の鼻を同時にかむ
左右の鼻を同時に一度でかむと、細菌やウイルスが含まれている鼻汁が鼻の奥に追いこまれ、副鼻腔炎や中耳炎(ちゅうじえん)になることもあります。副鼻腔炎の場合は鼻づまりや鼻水、せき、頭痛など、中耳炎の場合は耳の痛みや発熱、耳だれなどの症状が起こります。

2.力いっぱい強くかむ
強くかんだ衝撃で耳の奥にある中耳に圧力がかかり、耳を痛めてしまうことがあります。また、鼻水を耳の奥に送りこんで中耳炎になる恐れがあります。大人でも時々、鼻を強くかんで中耳炎になって受診されるケースがあります。

めったにないケースですが、炎症の繰り返しなどで薄くなった鼓膜に一気に強い圧力がかかった場合は、鼓膜(こまく)を破る可能性もあります。「鼻をかむと耳に違和感を覚える」ことが頻繁にある場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

3.鼻の中に鼻水を残したままにする
残った鼻水の中で細菌やウイルスが増えて、気管支炎や肺炎につながることがあります。

4.指やティッシュペーパーを無理やり入れる
無理に指やティッシュペーパーでかき出すと、粘膜を傷つけて鼻血が出る、傷から細菌が入ることがあります。

5.鼻をすする
鼻水をすすると、細菌やウイルスを含んだ鼻水が鼻の奥に入る、さらには耳にまで達して中耳炎の原因になることがあります。

特に、鼻をよくすする方は、鼓膜が薄くなる、弾力が低下する、へこんだ状態になってなかなか元に戻らなくなることがあります。これらは耳がつまるように感じる原因にもなります。

すっきりするまで力強くかむ、鼻水をすする、左右同時にかむのは間違いで、病気の原因にもなりうるとは……。正しい鼻のかみ方、ぜひ身に付けたいものです。

取材協力・監修
遠山祐司氏。耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。大阪市都島区医師会会長。医学博士。とおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)院長。
http://www.eonet.ne.jp/~tohyamajibika/

(岩田なつき/ユンブル)