Vol.2 自然の恵みを受けたオアフ産の食材とファーマーズマーケット

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ハワイの地元の素材のよさを活かしながら、世界各国の料理から得られたインスピレーションを取り入れて、クリエイティブな料理の数々を展開するハワイ・リージョナル・キュイジーヌを生み出しているオアフのシェフたち。

ハワイの地元の素材のよさを活かしながら、世界各国の料理から得られたインスピレーションを取り入れて、クリエイティブな料理の数々を展開するハワイ・リージョナル・キュイジーヌを生み出しているオアフのシェフたち。彼らの素材に対するこだわりはと言えば、いわずもがな。そんなシェフの要望に対応してハワイ・リージョナル・キュイジーヌを支えているのは地元で農産物を作る生産者だ。シュフと生産者は世界中の様々な食材の生産に試行錯誤を繰り返しながら、品種改良を行い、ハワイの風土に合った生鮮野菜づくりにチャレンジし続けている。そうした作られたハワイならではの野菜たちは、収穫されたその日のうちにレストランに届けられ、美味しい料理となってグルマンたちの舌を楽しませている。ハワイ・リージョナル・キュイジーヌが発足した当初は、契約農家による野菜は主にレストラン向けに作られているだけだったが、レストランでその美味しさを味わった地元の人たちも新鮮な地元産の食材を求めるようになり、今では新鮮で質の高い地元産食材がスーパーマーケットや生産者から直接買うことのできるファーマーズマーケットにも並ぶようになった。

ファーマーズマーケットの魅力は、鮮度と品質の良い野菜や果物といった食材を購入できることはもちろんだが、生産者の顔が見える安心感や、素材に対する作り手のこだわりや思い入れ、美味しい食べ方や調理の仕方を教えてもらえるといった、生産者とのコミュニケーションも人気の秘訣。今やハワイ中ほぼ毎日、どこかでファーマーズマーケットが開催されているまでになっているのだ。地元の農産業の活性化を目指してハワイ・リージョナル・キュイジーヌを発足したシェフの熱意が、生産者のこだわりの野菜づくりを生み、それが、地元の人々の美食を求める気持ちへと連鎖し、ハワイの豊かな食文化を形作ることとなったのだ。

1年を通してマーケットに通っていると常夏のハワイにもそれぞれの季節ごとに旬の食材があることが分かる。マンゴーやメロン、ストロベリーなどは夏、竜眼やライチは10月頃にマーケットに並ぶ。品種改良によって誕生し、日本ではみることのない珍しい野菜のシーアスパラガスやハート・オブ・パームなど、ハワイの有名レストランでしか食べられないようなものもファーマーズマーケットでお目にかかれる。

シーアスパラガスはアスパラに似た海水栽培されるメキシコ原産の野菜だが、ハワイのトップシェフたちが、サラダなどのトッピングや炒め物に使うようになり、その後一般に広く知られるようになった。また、ライエというオアフ島の北の地域で作られるライエ・ゴールというパパイヤは、パパイヤを何種類もの品種を掛け合わせて作られてきたものだ。有名なベビーグリーンミックス「ナロ・グリーン」は、旬の6種類のレタスと6種類ベビーグリーンをミックスしたので、今や130ものレストランで取り扱われているポピュラーな食材だ。缶詰でしか食べたことがなかったベビーコーンも、採れたての皮が付いたままで売られるようになるなど、多彩な食材がマーケットでも気楽に手に入るようになった現在のオアフ島で、ファーマーズマーケットを訪れずしてハワイの食のすべてを俯瞰することはできないのではないだろうか。

こんな風に生鮮食材へのこだわりを持った生産者、シェフ、消費者が増えたハワイでは、2006年からハワイ州政府がハワイ産の生鮮加工品のブランド力を高めるために立ち上げた生鮮食材の品質管理規定プログラムとして「シールズ・オブ・クオリティ」がある。地元産の農作物や加工品で、安全で品質が良く、身体に良いもの、なおかつ、ハワイ州の定める規程をクリアしたものだけが、その証として"Seals of Quality"と書かれたシールが貼られる。ぜひオアフ島を訪れたならば、現地ならではのブランド食材として誕生したシーアスパラガスやライエ・ゴールド(パパイヤ)、ナロ・グリーンなどシールズ・オブ・クオリティに認定された食材たちをチェックしてみて欲しい。

ファーマーズマーケットのなかでも、最も動員数が多いのが、毎週土曜日の朝7時から11時まで開催されているKCCファーマーズマーケットだ。2003年にスタートした当初は15〜16店ほどしか出店していなかったが、今では毎週60店が軒を列ねており、平均6000人〜7000人の地元住民と世界中からの観光客が訪れている。旬のトロピカルフルーツやお土産に最適なハワイ産ハチミツ、ジャム、コーヒー、チョコレートなども売っている。プレートランチ、オアフ産ビーフを使ったハンバーガー、ノースショア産のフレッシュコーン、ハワイアン・ジンジャエール、パニオロポップコーン、トマトのフライなどその場で食べることができるものも多いので、朝食やブランチに利用するのもいいだろう。また、朝だけではなく、夕方やオーガニックにこだわったマーケットなど様々な場所と時間帯とテーマで開催されており、生産者のオリジナリティあふれる食材に出合えるはずだ。ファーマーズマーケットに行くときは、エコバックなどの買い物袋を持参し、小銭は金額の小さいお札を用意していくといいだろう。

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>> Vol.1 ハワイ・リージャナル・キュイジーヌの誕生から今日まで

>> Vol.2 自然の恵みを受けたオアフ産の食材とファーマーズマーケット

>> Vol.3 ハワイ食のルーツと伝統

>> Vol.4 移民の島ハワイのソウルフード・ヒストリー

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