1番大切なものを見失わないように。夫婦関係・家族の在り方を問う『恋するママ友たち』の著者が伝えたいこと
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突然ですが、あなたは婚外恋愛についてどう考えますか？もちろん、許されることではありませんが、夫婦トラブルや子どもの反抗期、職場での人間関係など、さまざまなストレスを抱えるママたちにとって、心の支えになることもあるようです。そして、実は身近に存在することであって、あなたが当事者になる可能性も…。
吉田いらこさん著の『恋するママたち 私以外も不倫してた』では、そんな危険性を投げかけるとともに、家族の大切さにも気づかせてくれる作品です。
■3人のママに訪れた「転機」
小学3年生の子どもを持つ早紀・美穂・麻衣は、気の合うのママ友グループ。子どもが幼稚園の頃から仲良くしていて、もう6年の付き合いになります。お茶やランチをしながら育児について相談したり、他愛のない話をしたりする仲ですが、お互いにママ友には言えない鬱屈した思いを秘めていました。
パート勤務の早紀は、アクセサリー作りが趣味。仕事も趣味も充実しているように見えますが、毎日の忙しさからイライラして夫や子どもにキツくあたってしまいます。
そんな中、息子のサッカーチームのコーチと息子のメンタルについて話し合ううち、自然と連絡をとりあってふたりで会って話をするようになっていくのでした…。
一方、専業主婦の美穂は家事も育児も丁寧にこなしていながら、働いてないことに引け目を感じています。育児を手伝ってくれない夫からの心ない言葉や行動にも、黙って耐える日々を過ごしていました。
新学期からPTAの書紀を担当することになった美穂は、副会長を務める男性・立花と知り合います。運動会の準備作業で立花と一緒に過ごす時間が多くなり、次第に親しくなっていきます。
そして、外で働くことが大好きな派遣社員の麻衣。不登校になってしまった息子のことで悩んでいて、夫とも意見の食い違い、夫婦仲もこじれていってしまいます。
麻衣は派遣先の指導役・栗山とランチ中に、お互いに子どもの不登校に悩んでいることを知ります。意気投合した麻衣と栗山は、業務用のアプリで個人的に連絡を取るようになって…。
3人のママたちが経験する「出会い」と、そのあと彼女たちがとった選択と行動は…。
あなたが彼女たちの立場なら、どうしますか？
■夫婦関係の大切さを再認識
――「ママ」たちの「恋」をテーマにした本作。描く前と後で、吉田さんの中の婚外恋愛に対するイメージは変わりましたか？
吉田いらこさん：正直なところ、私は今まで婚外恋愛に対して嫌悪感を抱いていました。でもよく考えてみると、いま現在、それをよしとしない文化圏で生きているからであって、男女ともに婚外恋愛が常識の文化圏で生きていたら、特に違和感を持たなかったのかもしれないなと思いました。
――確かに、価値観が違えば捉え方も異なりますよね。
吉田いらこさん：でも同時に、それくらい夫婦という枠組みは形があいまいだったことに気づき、改めて自身の夫婦関係を大切にしたいとも感じました。
――本作のエピソードのなかで、思い入れの強いシーンやセリフを教えてください。
吉田いらこさん：早紀の「彼がいるから頑張れる」です 。いやいや、不倫はダメですよ…根本的に間違っていると思うのですが、早紀は彼のおかげで前向きに家庭や育児に取り組めるようになったので、これはこれでアリかなと思ってしまうところが怖いです。
■たくさんのものを背負うママたちに伝えたいこと
――婚外恋愛が大きなテーマではありますが、ママたちが抱えるストレスや夫婦間のすれ違い、子育ての悩みなど、他人事ではない要素がたくさん含まれていたように思います。この作品を通して吉田さんが読者に伝えたいこと、感じてほしいことはなんでしょうか。
吉田いらこさん：この世代の女性は、本当にたくさんのものを背負いながら毎日を頑張って生きていて、疲れてしまうことも多いと思います。そんなとき新しい恋愛が救ってくれる気持ちは本当によくわかります。…でも、そちらの世界に片足を踏み込みそうになったとき、一番大切なものは何なのか、落ち着いて判断できるように心の余裕をもってほしいと思います。ときめきが欲しいときは、ぜひ芸能人を推してください！
――今後は、どのような作品を描いていきたいですか？
吉田いらこさん：出来れば取材をさせていただいて、いろいろな家族の形を描いていければと思っています。
――最後に、読者にメッセージをお願いします。
吉田いらこさん：読んでいただけて本当にうれしいです！これからもコツコツ描いていって、どこかでまた作品をお披露目できるよう頑張っていきます！
＊ ＊ ＊
ママが家庭の外に救いを求めて恋をしたことで訪れる、三者三様の結末は衝撃的でした。家庭崩壊を招いてしまった人、恋愛を糧に家族円満になった人…。どのエピソードも、夫や子どもとの関係について深く考えさせられる作品です。自分にとって1番大切なものを見失わないようにしたいですね。
取材・文＝松田支信
