男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:年収も店選びも完璧な広告代理店マン。しかし、2回目のデートがない意外なワケ




一体、何があったのだろう。綾乃と交際を開始して約半年。交際から今日にいたるまで、すべてが順調だと思っていた。

でも最近、僕たちの間には不協和音が響いている。

「綾乃、来週末は空いてる?」
「うーん…来週末は忙しいかも」

そんな会話をしたのが、もう2週間前のこと。気がつけば会う回数も減っているし、LINEの返信もかなり遅い。

「綾乃、何かあった?」
「別に何もないんだけど…」

そう言って確信には触れてこない。でも彼女の心が離れていっていることだけは感じていた。


Q1:交際した当初から女が感じていたことは?


綾乃と出会ったのは、大学時代の男友達との飲み会だった。

「可愛いし、いい子だな」と思い、僕は食事会翌日、綾乃に連絡をして、デートに誘った。

初デートは、オシャレだと話題の店『アーティショー』にした。そこで、僕たちはかなり共通項が多いことが発覚する。




「え、綾乃ちゃんも慶應なの?僕もなんだけど」
「そうなんですね。勇気さんは何年卒ですか?」
「僕は2013年卒だよ。綾乃ちゃんは?」
「私は2016年なので…かぶってますね!サークルとか入っていましたか?」

サークルや学部こそ違うものの、大学が一緒というだけでかなりの親近感を覚える。それに加えて、今住んでいる場所まで近かった。

「綾乃ちゃん三田に住んでるの?僕白金高輪だから近いね」
「ご近所さんですね!」
「あのお店知ってる?古川橋近くにあるフグ屋さん…」

家が近いと、デートにも誘いやすい。飲みに誘う口実にもなるから。

「今度一緒に行かない?」
「行きたいです〜♡」
「いつ空いてる?」

そんな感じで、何度か飲んだり食事をしたりしているうちに自然な流れで交際をすることになった。

綾乃は、今年で30歳になる。交際する前に結婚願望があるかどうかもお互いちゃんと確認していた。




「綾乃ちゃんって、結婚願望とかあるの?」
「もちろんだよ。周りも結婚しているし、私もなるべく早くしたいなと思ってる…」
「そっか、そうだよね」
「勇気くんは?」
「僕もあるよ。今すぐとかじゃないけど」

そして交際が始まってからも、僕たちは順調だった。それに一緒に旅行もしていたし、相性は良かった。

もちろん、すべてが完璧だったわけではない。

お互い思うこともあるし、ケンカも多少はしていた。特に綾乃は、僕の遅刻癖についてはよく怒っていた。

「勇気くんってさ、毎回絶対遅刻してくるよね?」

僕は昔から、微妙に遅刻する癖があることは自覚している。でもそれはほんの少しだけのこと。

「でも5分とか10分とかだよ?」
「待たされるほうの身にもなってよ。私、時間にルーズな人は嫌いなんだけど」

そういう綾乃は、準備に時間がかかるタイプだ。一緒にいる時は、予定していた出発時間より遅くなることも多かった。

「綾乃だって、準備にすごい時間かかるじゃん」
「それを自覚しているから、私は早めに出かける準備をしているでしょ?それに時間がかかるのは、女子なんだから仕方ないことだし…」

こんなケンカは可愛いもので、心変わりするほどの問題ではなかったと思う。


Q2:旅行中に、女が彼氏に対してさめた理由は?


でも僕の遅刻癖と、綾乃の身支度の遅さがぶつかってしまったことがあった。あれは、先月一緒に箱根へ温泉旅行へ行った時のことだった。

週末に癒やされに行こうと、僕は高級温泉旅館を予約した。もちろん部屋には露天風呂付きで、最高の週末になるはずだった。

しかし車で迎えに行く予定の時間を少し遅れてしまった。14時半くらいに綾乃をピックアップする予定が、気がつけば15時になってしまった。




「本当に、勇気くんって時間守らないよね」
「でもさ、家で待ってたんだから別に良くない?それに、綾乃は準備に時間かかるし」

寒空の下で30分も待たせていたら申し訳ないけれど、家まで迎えに行っているし、準備が遅い綾乃のことだから、どうせ時間どうりに迎えに行っても待たされることになるだろうと思ったからだ。

「まぁ、たしかに。洋服に迷っていたから、結果的にはちょうど良かったけれど…」

そんなスタートだったけれど、温泉宿に着く頃には、お互いの機嫌もすっかり直った。美味しい食事をいただき、温泉も楽しみ、良い時間を過ごしていた。

ただその晩、僕的にありえないことが起こった。

寝る前にもう一度温泉に入った綾乃が、急にフロントに電話をしようとしていたのだ。

「綾乃、どうしたの?」
「今気がついたんだけど、明日の朝起きた時に飲むお水がないなと思って」

冷蔵庫には、500mlのペットボトルがあと2本残っている。時計を見ると、もう24時前だった。

「この時間からフロントの人を呼び出すの、失礼じゃない?しかもまだ水もあるんだし」
「でも、今夜で飲みきっちゃうかもだから…。一応、明日の朝起きた時用にもらっておきたくて」
「綾乃…もう少し相手の立場になって物事を考えたほうがいいよ」

こんな深夜に、まだ残っている水のために人を呼び出そうとしている綾乃の行為が、僕はあまり好きではないなと思った。

「でもホテルの人だって仕事なんだから、別に大丈夫じゃない?」
「そういう問題じゃない気がする」
「わかった…。じゃあお水は一旦我慢する」

こうして、僕たちは眠りについた。




しかし翌朝。朝ごはんを食べに行こうとすると、綾乃はかなりモタモタしている。

「ねぇ、そんな化粧とかいいから。誰も見てないんだし、なんでもいいよ」
「でも…せっかくだから、多少の化粧はしておきたくて」
「そんなことより、早く行こうよ」
「5分くらい待ってよ」
「じゃあ5分だけね」

すっぴんでも可愛いし気にしなければいいと思うのに、どうして化粧に時間をかけるのだろう。

スマホをいじりながら待っていると、準備を終えた綾乃が笑顔でやってきた。

「ごめん、お待たせ。行こうか」
「化粧する必要、あった?」
「女の子には必要なの!でも私、そこまで遅いほうではないと思うけど…化粧時間15分って、長いのかな。私はマツエクもしていないから時間かかっちゃうのかも」
「わかんないけど、とりあえずご飯食べに行こう」

いくつかモヤモヤする点はあった。でも大きなケンカに発展することもなく、この後は美味しい朝食をいただき、チェックアウトを済まして、帰りの車中でもいつも通り楽しく過ごしていた僕たち。

しかしこの温泉旅行以来、なんとなく綾乃の態度がおかしくなった。

― 化粧時間のこと、キツく言いすぎた?

一体何が悪かったのだろうか…。

▶前回:年収も店選びも完璧な広告代理店マン。しかし、2回目のデートがない意外なワケ

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