コンビニでランチや夜ごはんを購入するとき、カロリーや栄養を考えずに適当にいま食べたいものだけを選んではいませんか。そして、ついカロリーオーバーに……。

管理栄養士として食事指導を行う西山和子さんは、「コンビニはいまや弁当や総菜の種類がとても豊富です。上手に選べばカロリーを抑えながら栄養バランスのよい食事がとれます」と話します。選び方のコツを教えてもらいました。

1食の合計500kcalをメドに3〜4品をチョイス

はじめに西山さんは、1食の適切なカロリー摂取量や栄養バランスの目安について、次のように説明します。

「身長や活動量によって違いはありますが、女性の場合、1日に1,200〜1,600kcal、1食につき400〜600kcalが適切な量です。1日の基礎代謝(じっとしていても消費するカロリー)に近い数字ですので、太りにくいカロリー設定です。コンビニで販売されている総菜や弁当にはカロリーが表示されているので、計算も簡単です。

また、食べ過ぎを予防するにあたっても、栄養バランスが整っていることはとても重要です。偏ると体調不良のもととなり、太る原因にもなります。1回の食事では、主食1品、主菜1品、副菜2品を食べるようにします。この組み合わせで朝、昼、晩の食事をとると、ごはんやめん類、パンなどに多く含まれる炭水化物は約180〜240g、肉、魚、大豆などに多く含まれるタンパク質は約45〜60g、脂質は約33〜44gになり、1日の摂取量としてバランスのとれた内容になります」

次に、主食、主菜、副菜の組み合わせをコンビニ弁当で活用すると、具体的にはどのようなメニューになるのか、西山さんは「副菜のとりかたがポイント」とし、メニューの組み合わせ方を説明します。

「お弁当は、シャケ弁当や和風ハンバーグ弁当など、味付けが濃くなく、揚げ物の入っていない主菜が1品のものにして、さらに野菜の煮物などがついているものにします。これで、主食1、主菜1、副菜1になるので、副菜をもうひとつ、野菜のサラダや和え物、ワカメなど海草の酢の物、また野菜がたくさん入ったカップみそ汁を添えるようにしましょう」

混雑するコンビニで、主食になりそうなものが、丼ものや菓子パンくらいしか残っていない場合はどうすればいいでしょうか。

「丼もので、ごはんが200g以上ある場合は残すようにします。おにぎりなら1個、菓子パンは1個にします。ただし菓子パンは、例えばメロンパンならそれ1個だけで400kcal超ということはよくあります。カロリーが高いので、表示を見て1個300kcalまでのものを選びましょう」

お弁当がすべて売り切れで、めん類やサンドイッチしか残っていない場合も教えてください。

「冷やし中華、グラタン、ドリア、サラダ巻き、ハムや卵のレタスサンドイッチ、肉や野菜の具入りのめん類などは、単品でも主食と主菜、副菜がとれます。ですから、あと1品、野菜のサラダを足すようにしましょう」

パンからクリーム抜き。カロリー控えめ対策

ここで、「コンビニに行くとつい買い過ぎてしまう」という人のために、その対策を西山さんに具体的に挙げてもらいましょう。

(1)サラダのドレッシングはノンオイルを選ぶ
サラダやドレッシングのパッケージに、「ノンオイルドレッシング」と表記されたタイプを選びましょう。脂肪分が少なく低カロリーです。

(2)主菜が肉と魚の弁当では、迷わず魚を選ぶ
肉より魚の方がカロリー控えめなものが多いです。魚に含まれるDHAやEPAといった不飽和脂肪酸は、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らすよう働きます。栄養にとって良いと考えましょう。

(3)ドリンクは水かお茶、炭酸水にする
ドリンクにジュースを選ぶと、それだけカロリーがアップします。ですから、カロリーがゼロの水かお茶にしましょう。また、炭酸飲料を飲みたい場合は、カロリーゼロの炭酸水を利用すると良いです。

(4)レジ横の揚げ物が気になったときは、あえておでんにする
お会計の際、レジ横のポテトやコロッケが気になりますが、そんなときはすかさず、おでんのほうにしましょう。ダイコン、シラタキ、コンブなど、おおむね低カロリーです。

(5)クリーム入りの菓子パンは、中のクリームを半分除く
どうしても食べたくなってクリームパンやジャムパンなどを買ったら、クリームやジャムをスプーンで半分取り除いてから食べましょう。我慢するよりも、食べる量を減らすようにします。

(6)ごはんが物足りなく感じるときはバナナを食べる
一回の食事量が少ないと感じたら、バナナを1本食べましょう。1本約100gあたりに86kcalと低カロリーで栄養価も高く、腹持ちがいいと覚えておくといいでしょう。

(7)低カロリーのアイス、ノンフライのスナックにする
コンビニの楽しみ方として、「ヘルシーおやつ探し」をするとよいでしょう。カロリーコントロールのアイスのほか、枝豆スナックやおから入りせんべいなどノンフライのスナックは、フライタイプよりカロリーが控えめです。また、デザートやおやつは1日に200kcal以下の摂取にしましょう。

最後に西山さんは、食べ過ぎを防ぐ「食べ方」と、「塩分の量」について、こうアドバイスを加えます。

「早食いの人ほど太りやすいので、ゆっくりと時間をかけて、ひと口で20回以上噛(か)んで食べるようにしましょう。胃腸の消化を助けるだけでなく、少ない食事量で満腹感が得られダイエットにもなります。

また、パッケージに記載されている栄養成分の表示では、塩分の量にも注意してください。ナトリウムの量をざっくり、2.5倍すると塩分相当量になります。ナトリウムではなく、塩分相当量が表示されている場合もあります。1食につき、塩分2g以下にすると、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の予防になります」

さっそくコンビニに立ち寄り、改めて総菜を観察したところ、サラダなどの野菜メニューが思いのほかバラエティ豊かにそろっていることに気づきました。これまでは、弁当やおにぎりばかりを見ていたのかもしれせん。また、店内をぐるりと回ってヘルシーなスイーツを探してみると、糖質の分量が表記された120kcalのマンゴープリンを見つけました。コンビニがいっそうと楽しくなりそうです。

(取材・文 小山田遥/ユンブル)