大人ニキビは侮れない!? 婦人病「多嚢胞性卵巣症候群」が原因の場合も!

大人になってからのニキビといえば、夜更かし、不摂生な生活、飲みすぎ、ストレス、洗顔せずに寝ちゃった、などなど、「あ〜あれが原因だったよね」と軽く生活の乱れのせいにしてしまいがち。でも、それって本当ですか? 中には「なかなか治らないな〜」なんてこともあるかもしれません。そんな場合には注意が必要で、婦人科系など他の異常が絡んでいることもあるのだとか。

20歳を過ぎた大人でも、ニキビはよく起こりますよね。しかも、なかなか治らないとなるとただのニキビではない場合もあり、少々、厄介。なかなか治らない、つまり難治性ニキビをもたらす疾患でもっとも多いのが、「多嚢胞性卵巣症候」(PCOS)という婦人科系の病気です。

多嚢胞性卵巣症候とは、卵巣の中に卵胞(卵子の入る袋)がたくさんできすぎてしまい、正常な排卵を阻害する異常のこと。この病気は不妊症の原因になることもあります。

あるタイでの調査によると、51人のニキビ患者のうち19人(37.3%)にPCOSが確認されたともいうから侮れませんね。

多嚢胞性卵巣症候にともなうニキビかどうか、医師はどのように診断するのでしょう?
 ポイントは以下のとおり。

<医師による判断基準>次の1〜3すべてを満たすこと。
1 生理の異常がある
2 多嚢胞性卵巣である
3 血中「男性ホルモン」か「黄体化ホルモン」のどちらかが高値で、
  なおかつFSHが正常値

そもそも日本では、ニキビで病院を受診する人が少ないと言われています。わざわざ病院へ行くより、手軽に使える化粧品や洗顔フォームを試す場合がほとんど。

しかし、
 ・なかなかニキビが治らなくて困っている
 ・すぐに治したい
といった場合には、抗菌剤やニキビ専用の薬剤などを、診断によって的確に処方する皮膚科を受診するのがベター。こうした処方には保険適用されるものもあります。

ホルモン値は病院に行かないと測れませんが、自分でわかる症状としては、生理不順があります。そのため、「生理不順があって、かつ、市販のニキビ薬を使ってもなかなか治らない」という場合には、まずは皮膚科で相談をするといいでしょう。症状に応じて、婦人科の受診が必要か判断してもらえるでしょう。

(文:小池直穂)

参考)
林 伸和「思春期後痤瘡」Modern Physician Vol.33 No.8 2013-8 pp.1041-1043
Penwadee T, Aram R「Hormonal Profiles and Prevalence of Polycystic Ovary Syndrome in Woman with Acne」The Journal of Dermatology Vol.24:223-229, 1997