女性の30代は、諸説ありますが、33歳と37歳が本厄で、前後合わせると合計6年も厄年

厄年には「転職や結婚や引越しなど変化は避けた方がいい」とよく聞くけれど、女性の30代には結婚や出産があったり、仕事では肩書きもついてきたり、最も変化のある年代。チャンスが来たときに、「厄が終わるのを待ってから」なんて悠長に言っていられません。

では、いったいどう過ごせばいいの? ということで、女性神主のいる神社に行ってみました。本日お話を聞いたのは、東京・港区の愛宕(あたご)神社の「権禰宜」(ごんねぎ=宮司、禰宜の次の位)の松岡由里子さん。

30代は環境の変化も多く、多忙な時期

――厄年って何ですか?

松岡由里子さん(以下、松岡):女性の本厄は33歳。昔の33歳というと、15〜19歳頃には出産して子育てもひと段落している年齢で、平均寿命も短かったので、現代の50歳代くらいにあたります。つまり更年期障害など、体調の変化が起きやすい年齢だったのですね。そのため、いつもより意識して体調などに気をつけて過ごすべき年齢と考えられます。

――昔と今では大きな違いがあるのに、現代でも信じ続けられているのはなぜですか?

松岡:確かに今は平均寿命も延びて、生活も大きく異なっていますが、先人の知恵というものはあると思います。というのも今の30代は、結婚や出産など環境の変化も多かったり、仕事でも任されることが増えて多忙な時期。しかしながら30代になると少しずつ体力の衰えを感じますよね。厄年に一度立ち止まって、健康診断を受診するなど身体のケアを改めて見直す、という点では同じではないでしょうか。

――厄年だから“一度立ち止まってみる”、というのはナルホドと思いました。

松岡:今のアラサー女性は忙し過ぎると思います。20代ずっと走り続けてきて、気が付いたら30代だった、という人も多いのではないでしょうか。息が切れそうになる前に、ちょっと立ち止まってみて神社へ行ってみる。神社に行くというだけでも、殺伐とした気持ちが切り替わることがあると思います。厄年だから意識して無理をしないように心がけ、ひと休みする時間を作る。つまり厄年を「立ち止まって自分と向き合う年」と考えてほしいですね。

何事にも感謝の気持ちを忘れずに

――厄払いの時、神主さんは何と言っているのですか?

松岡:人は、自分の力ではどうにもならないことがあります。どんなに気をつけて過ごしていても、不慮の事故に遭ったり、防げないこともあるんですよね。そんな時はきっと神様にお願いすることがあると思うので、その時は守ってあげてください、とお願いします。

――厄を払うというより、神様にお願いしているんですか?

松岡:神主という仕事は、人と神様の間に立って、神様に伝わりやすいように代弁して伝達するのが仕事です。だから神様に力を分けてください、とお願いするのがいわゆるご祈祷です。でも神様に限らず、人でもお願いするだけでは勝手ですよね。だから感謝の気持ちも必ず忘れないようにしてほしいです。このように何事にも感謝の気持ちを持っている人は、何か災厄が起きたとき、神様だけでなく家族や友人など、必ず誰かが力を貸してくれると思います。

――厄年を上手く乗り切るコツは、“無理せず意識して一呼吸すること”と“感謝”ということですね?

松岡:そうですね。厄年だからといって特別なことはなく、日々感謝の気持ちを忘れず、意識して体調に気をつけるだけで十分だと思います。最近慌しいなと思った時は、ぜひ近所の神社などに立ち寄ってみてください。この愛宕神社もそうですが、都心であっても神社には緑がいっぱいで、四季折々の自然を感じることもできますし、ただぼーとしているだけでも、新しいアイデアが思いつくかもしれませんよ。それに愛宕神社には、出世や縁結びの神様もいらっしゃるので、お近くにお寄りの際にはぜひ気軽に立ち寄ってもらえればと思います。

■愛宕神社
http://www.atago-jinja.com/
ご祈願は03-3431-0327まで。

厄年
【女性】
前厄18歳(平成9年生)32歳(昭和58年生)36歳(昭和54年生)
本厄19歳(平成8年生)33歳(昭和57年生)37歳(昭和53年生)
後厄20歳(平成7年生)34歳(昭和56年生)38歳(昭和52年生)
【男性】
前厄24歳(平成3年生)41歳(昭和49年生)60歳(昭和30年生)
本厄25歳(昭和2年生)42歳(昭和48年生)61歳(昭和29年生)
後厄26歳(昭和元年生)43歳(昭和47年生)62歳(昭和28年生)

(文=中野愛子)