なにかがおかしい……妊娠を望むカップルが、不妊を疑うべきタイミングとは？
日本の学会は、普通にセックスがあるのに2年間妊娠しない場合を「不妊症」と定義しています。となると、ベビ待ち開始から2年間は、自然妊娠を目指すカップルは少なくなさそう。ですが、不妊症など生殖医療に詳しい産婦人科医の船曳美也子先生によると、「実際には2年も待てない場合もある」のだとか。それは、いったいどのようなケースなのでしょうか？
「もしもアラフォーで結婚して、2年も待っていたら、どんどん卵巣の機能が低下してしまって、いざ治療をはじめたら排卵しなくなっていた、ということめずらしくありません。ですので、アメリカ不妊学会では、月経順調で、自分も男性も既往歴がなく、35歳までなら1年、35歳以上なら6カ月で受診をすすめています」
―月経が順調で病気をしていなくても、受診が必要なのですか？
「たとえば、初診のときに子宮筋腫が見つかって手術をすると、半年くらいは妊娠をすることができなくなりますので、不妊治療を専門とする立場から言えば、とくにアラフォーの女性は子どもをつくろうと考えたら、その段階ですぐにでも相談していただきたいくらいというのが本音です。
本当は20代であっても、卵管が詰まっていたり、ご主人が無精子症だったりなど色々な場合がありますから、できるだけ早くご夫婦で受診していただくに越したことはないのですが、ご主人のお考えもありますし、どうしても腰が重くなるというのはよくわかります。
もし、あなたが35才未満で、生理も順調に来ているのであれば、ご自分で少し様子を見ているというのもいいでしょう。ただ、少なくとも、基礎体温はつけてタイミングを合わせるようにしてみて下さい。月経周期が一定のかたは、次の月経がはじまる予定日の14日前が排卵日と考えてください。排卵日の2〜3日前には、頸管粘液という透明で伸びるおりものが増えるのでわかりやすいですよ」
―なるほど……。では、「病院に行くのは腰が重い」という人でも、最低限受診すべきタイミングをセルフチェックする方法はありますか？
「基礎体温表にセックスのあった日を記録しておいて、6回以上うまくタイミングがあっているのに妊娠しない場合には、その基礎体温表をもって不妊治療を専門的に行っている医療機関を受診するようにオススメします」
（聞き手：三谷香織）
船曳美也子
150名の女性医師がボランティア活動を行うEn女医会所属。1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書「女性の人生ゲームで勝つ方法」（主婦の友社）を上梓。
現在は、オーク梅田レディースクリニックを中心に診療にあたっている。
医療法人オーク会ＨＰ http://www.oakclinic-group.com/
