デパートでは、早くも「母の日ギフト」のコーナーを見かける季節になりました。最近では、母親と親友のような「友達親子」なんて言葉も定着していますが、一方で「母の介入から逃れたい」とか、「母に何でも頼ってしまう」という女性が増えているのも事実。ある調査によれば、20〜30代女性の約半数が、母親に「依存している」と自覚しているそうです。「母への依存」が行き過ぎると、どうなるのでしょうか。それを断ち切る方法は、あるのでしょうか。

7割が「母親との関係は良好」、休日は一緒に出かけ、連絡をこまめに取り合う

不動産サイトを手がけるオウチーノが今年3月、首都圏に住む20〜39歳の女性471 名(学生は除く)に、「母親との関係」について尋ねたところ、「とても良い」と回答した人が41.4%、「どちらかというと良い」が 28.5%で、合計69.9%が、母親と良好な関係を築いていると答えました(参照:「母娘に関する実態調査」)。

「どちらでもない」は20.6%、「どちらかというと悪い」は4.2%、「とても悪い」はわずか1.3%です。「仲が良い」と感じる理由は、「共通の趣味がある」「一緒に出掛けることが多い」というもの、次いで「ほぼ毎日LINEをしている」、「離れて暮らしていても長電話をするから」など、「連絡をよくとっている」との理由が目立ちました。母親とは概ね「仲良し」な女性が多いようです。

母親に「依存している」 実家暮らし女性は、なんと6割

一方で、気になる結果もあります。「母親に依存していると感じることはありますか?」と聞いたところ、「ある」と答えた女性が46.9%と、約半数もいるのです。

居住形態別にみると、「実家を離れて暮らしている」人の中で「依存している」と回答したのは 37.9%だったのに対し、「実家で暮らしている」人はなんと62.3%。親元にいる女性のうち、6割は「母親への依存」を自覚しているのです。食事や洗濯などの家事をすべて任せていること、何でも相談してしまう、など、「すぐに頼ってしまうから」という声が多いようです。

90年代には、実家を出ない若者を「パラサイト・シングル」と呼んで批判する向きもありましたが、最近では非正規雇用の女性が増加し、物理的に実家を出られないケースも増えています。働く娘の世話をするのは当然、という母親も多いでしょう。娘を「将来の介護要員」として期待する母親も増えているようです。こうした状況下で、母娘が「相互に助けあう」のは、悪いことではありません。

ただ、相互扶助が「依存」になると、これは「病理」です。自分の思う通りにお母さんが動いてくれないとイライラする、自分の意見に反対すると「裏切られた」と感じてしまう……そんな人は、もしかすると母親に「依存」し過ぎているのかもしれません。「肉親なのだから、依存して当たり前」と思う人もいるかもしれませんが、「過度な依存」と「相互扶助」は違います。相互扶助は「信頼関係」が前提にありますが、「依存」には「信頼関係」がなく、ただ「母親には何を言っても(しても)いい」という、根拠なき安心感があるだけです。これでは、相手を本当に尊重しているとはいえません。

母親への依存を断ち切るには?

母親への過度の依存を防ぐには、実際の母親“以外”に、「お母さん的な存在」を見つけるのも、アリではないでしょうか。先日、毎日新聞が、タレントのマツコ・デラックスさんの人気の秘密を特集していました(参照:「レギュラー9本:人気の秘密『マツコは夢の母親』説」)。記事では、作家の中村うさぎさんが、「マツコに支持が集まるのは、『ありのままの私を認めてほしい』という『夢の母親幻想』が一因」と説明しています。マツコさんの「肝っ玉母さんらしさ」に、甘えている人が多いというのです。

あえて好意的に捉え直せば、「お母さん的存在」は、タレントでも先輩でも知人でも、どこにでもいる可能性がある、といえるかもしれません。実の母親にベッタリで、関係をこじらせるくらいなら、マツコ・デラックスさんのような「外部の“母”」を求めるのもひとつの手ではないでしょうか。

(北条かや)