プロ彼女:日本一のイケメン俳優と結婚する為の戦略は18歳から。狙った獲物は逃さない、女策士の正体
知ってる?シンデレラって策士なんだよ
ガラスの靴をわざと落としていったのだから。
夢は願っているだけでは叶わない。
運命なんてない、全ては戦略なの。
幸せは自分の手で掴み取るものよ。
お伽話には、種も仕掛けもあるのです。
―瀬戸涼!熱愛発覚!結婚秒読みの真剣交際!!!
ある週刊誌が、今一番乗りに乗っているイケメン俳優の熱愛をすっぱ抜いた。
週刊誌は完売、新聞の一面やニュースにも大々的に取り上げられ、ショックで会社や学校を休む人が続出するなど、世の中の女たちは“セトリョウ・ロス”に陥った。
女優だったらまだ納得できただろうに。
週刊誌の一面で微笑むそのシンデレラに、女たちは羨望の眼差しを向け、憤慨した。
そして、穴が空くほど件の写真を凝視した。
ストレートな黒髪、程よい細さの手足、豊満な胸、卵型の輪郭、肝心の目は黒い目線で隠されている。
手掛かりはこれだけだった。
Instagram、facebook、Twitter…朝から晩までネットを検索しても、その女の確かな情報は一切上がってこない。
百戦錬磨の某掲示板の特定班も、その女を特定することができなかったそうな。
そう。その女の正体は…"プロ彼女"ってやつらしい。
芸能人と付き合えるだなんて…普通の女であるわけがない。一般女性という皮を被ったプロの女性というわけだ。
美しい女優たちと仕事を共にする目の肥えた俳優が選ぶ女性なのだから、さぞ容姿端麗なことだろう。
沢山のファンとスポンサーを抱え、常にカメラに追われている人気俳優の彼女となれば口の堅さは必須だ。
誰かに自慢したくなる気持ちが抑えきれずSNSで匂わせてしまうアマチュア彼女が多い中、秘密を守り抜いたこの女はまさにプロの彼女といえよう。
でも一体どうやって、一般人が人気俳優と出会えたのだろうか。
そして、どうやって惚れさせて付き合うまでに至り、彼女という立場に上り詰めたのだろうか。
絶世の美女?胃袋を掴んだの?夜の才能?
それとも、魔性の女…?
手練手管があるならば是非教えてほしいものである。
…私達ノ王子様ヲ奪ッタ女ハ誰?
…私達ノ瀬戸涼君ヲ返シテ!!!!!
人気俳優と付き合えた一般人の正体とは…?
◆友人Aの証言
写真を見た瞬間、あの女だってわかったわ。
目線が入っていたけれど、あれは確実に藤野沙織よ。週刊誌の一面で勝ち誇ったように微笑んでいたわね。
あの子は昔から欲しいものを必ず手に入れる女だった。
「瀬戸涼と絶対に結婚する」って言っていたの、よく覚えてる。
超人気俳優だもの、日本中の何万人という女の子達がその台詞を冗談交じりに言っていたことでしょうね。
でも、あの子は違ったの。本気で言っていたのよ。そして、実現してみせた。天晴れね。
今話題の彼女の正体、ネットに書き込んだり週刊誌にリークしようかと思ったけれど、あの子に怨まれたら怖いからやめておくわ。
彼女…狙った獲物は逃さない、恐ろしい、恐ろしい女だからね?
◆藤野沙織の証言
「瀬戸涼と結婚する」
私がそう呟いた時、みんなが笑って流したのをよく覚えている。冗談だと思ったのだろう。
私はただ最高の男と結婚したかっただけだ。顔が良くて、身長が高くて、歌が上手くて、優しくて、話が面白くて、色気があって、日本中の女に愛されている男…
おまけに年収は数千万から数億。芸能界の諸先輩方を見る限り、港区の億ションか世田谷区の戸建てに住み、お受験にも成功していらっしゃる。
俳優は実力があれば死ぬその瞬間まで現役でいられる。60歳で定年退職に追い込まれてしまうサラリーマンよりよっぽど息の長い仕事だ。
しかし、自分のような一般人が、今をときめく人気俳優と結婚なんかできるはずがない…と、なぜか皆そう思い込んでしまっている。
みんなは当たり前のように同じ大学だの、同じサークルだの、同じ職場だの、せいぜい半径10km圏内に転がっている"そこら辺の男"と結婚していく。
いつの日か平凡な夫に魅力を感じられなくなり、お茶の間で見る恋愛ドラマに唯一心をときめかせ、テレビの中の芸能人やアイドルに恋をすることで辛うじて潤いを保っている。
友達が次々に結婚していっても、正直言って全く羨ましくない。何の夢も希望もない予定調和なつまらない人生だもの。
許嫁もいなければ、階級制度もない、誰と結婚してもいい、この公平な時代にせっかく生まれたというのに。
好きな俳優と付き合うための戦略は18歳からスタート!?
テレビの中の芸能人は幻だなんて、そんなのは昭和の感覚だ。平成ももうすぐ終わるいま、彼らはバラエティ番組で私生活を露呈し、SNSで素顔を晒し、ぐっと身近な存在になった。
職業が芸能人というだけで、彼らも私たちと同じ人間には変わりない。そして、ここ、東京で暮らしている。そう、彼らも実は半径10km圏内にいるかもしれないのだ。
週刊誌やニュースでの芸能人の結婚報道で、「お相手は一般人」というフレーズを何度も聞いたことがあるはずだ。
-東京は、夢がある。
◆
夢と希望を胸に、私がプロ彼女としての第一歩を踏み出したのは18歳の時。好きな俳優と同じ大学に行きたい、ただそれだけの理由で受験勉強に奮起し、晴れて慶應に入った。
入学式の日、校門の前で赤文字系雑誌のスナップに声をかけられた時、私にもその道の可能性があるのかと恥ずかしながら少し浮き足立った。
しかし、垢抜けきれていない自分が、フルネームと大学名と共に全国紙に晒しあげられることにリスクを感じ、丁重にお断りをした当時の自分を褒めてあげたい。
それは、一生消えない汚点となるだろうことが容易に想像できた。そんな私を横目に、一般人にも関わらずモデル顔負けのポージングをし、スナップを撮られる子たちはよほど自分に自信があるのだろうと感心したものだ。
渋谷駅周辺や竹下通りを歩けば、噂通り芸能プロダクションのスカウトに名刺をもらうこともあった。しかし、プロダクション名を検索してでてくるのは二流の芸能人たち。自分の身の程を知ったのだった。
私は所詮、一流のプロダクションに熱烈にスカウトされ、一流の女優になれるくらい絶世の美女というわけではないということだ。
芸能界の末端にいるよりは、一般人の頂点にいた方がなにかと得だろうと踏んだのだ。
こうして私は一般女子大生として、サークルの男たちに適度にチヤホヤされる毎日を送っていた。
しかし、ここからどうやって”彼”に近付こうか。そう思い悩んでいた時に、サークルの先輩からミスコンの誘いを受けた。慶應のミスコンといえばキー局女子アナの登竜門だ。
キー局の女子アナになれば、俳優に公然と出会える…?そんな考えも過ったものの、女子アナと俳優の熱愛は、あまり聞いたことがなかった。
アナウンサーというのは清廉性が求められる職業だ。テレビ局の一社員が、大事な商品に手を出すことはタブーなのだろうか。
やはり、俳優の結婚報道のお相手は女優か一般人の二択だ。一般人として“彼”に近づくことを固く決意したのだった。
私は女子大生として、手始めに“芸能人と出会える街”に意気揚々と飛び込むことにした。
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一般人が果たしてどうやって芸能人と出会うのか…?