大人になっても少女性を失わず、かわいいものや服を愛する女性-そんな大人女子に向けたファッション&カルチャー雑誌『ETERNITA』(宝島社)が話題になりました。

そこで前回に引き続き『ETERNITA』の企画・編集を手掛けた鈴木真理子さんへインタビュー。今回は、大人女子がリボンやフリルなど可愛い服を着こなすコツを教えてもらいました。

鈴木真理子さん

リボンやフリルを大人が着こなすコツは?

――『ETERNITA』はロリータファッションの有名ブランドもおさえつつも、幅広く“可愛い”を追求したラインナップという印象を受けました。コテコテなロリータではなく、大人が着こなせる少女性を感じられるようにうまく融合させているというか。

鈴木真理子さん(以下、鈴木):融合していると感じていただけたなら安心しました(笑)。実際にロリータ服を着ている人も、コテコテに盛るタイプもいればシンプルなタイプもいますよね。たとえば、ヘアメイクの企画を担当したパートナーは、大人になったら盛らない方向性の、ナチュラル派なタイプ。

ただ、1冊の本を作る私の立場からすると、シンプルだけではすべての読者を拾えないので、私の作るページは若干盛ろうというようにバランスを取りました。

――前回は、「リボンがついているからといって『大人っぽくない』とは言い切れない時代になっている」とおっしゃっていました。リボンやフリルなど、甘いモチーフの服を着こなすコツはあるのでしょうか?

鈴木:例えば『ETERNITA』内では、表紙の神田沙也加さんの衣装も子どもっぽくならないように気をつけました。アリスを想起させる服とはいえ、コスプレ衣装のような安っぽいものではなく、大人が着るからこその高級感を出したくて、Juliette et Justineさんに相談して、シルクシャンタン風の生地や、たっぷりとレースを使ったエプロンなどとても高級感のあるアリス服を特注で作っていただきました。

撮影時も神田さんとヘアメイクさんが相談して、リボンの位置をあまり高くしないようにするなど、大人っぽさを意識しています。アクセサリーもお菓子モチーフですが、Q-pot.さんのリュクスなものを付けています。

MODEL/神田沙也加、PHOTOGRAPHER/小野寺廣信(BLUE)

――他に、甘いモチーフの服を着る際に気をつけるところはありますか?

鈴木:まずスカート丈でしょうね。大人なら短かすぎるものよりも、長いほうが素敵に見えます。

首周りでいえば、丸襟ではなく、スタンドカラーがいいですね。ロリータ服のジャンルで言えば、「甘ロリ」より「クラシカル」といわれる服のほうが馴染みます。

ショコラカラーやネイビー、ボルドーなどの色を使ったエレガントな雰囲気なら、ロリータとはいえ確実に大人スタイルになります。

あとはちょっと高級感のある素材を選ぶことを意識するのがいいと思います。アクセやバッグ、靴など小物は当然。洋服もコットン地ひとつとってもチープなものと高いものの差はありますし、縫製や、ピンタックやボタンなどディテールの細かさをよく見て選ぶといいのでは。

リュクスな物を身につけることで、自分にも自信が出てくるでしょうし、周囲の人も冷やかしから、「ここまでやるんだ」ってちょっと尊敬する気持ちになることもあるのでは?とくにロリータ服は他のジャンルの服より断然いいレースを使用しているので、いろいろ見較べて目を肥やしておくといいと思います!

PHOTOGRAPHER/高橋妙子

ヘアは、誌面でも紹介させていただきましたが「編み込み」や「くるりんぱ」を使えば大人っぽく見えること間違いないですよね。

高い位置で作っていたツインテールを低めにするとか、ひとつにまとめるならサイドに流して「片寄せスタイル」にするなども…。メイクもシックにするのがいいけれど、華やかに盛りたい時は、ヘアもウィッグを使うなどしてバランスを取ればいいと思います。

MODEL/山木梨沙(カントリー・ガールズ)、PHOTOGRAPHER/奥本昭久(kili office)

似合わなくてもテクニック次第でカバーできる

――大人でもテクニック次第で着こなせるんですね。また、本当は甘い服装が好きなのに躊躇してしまう人もいます。もし鈴木さんが相談をされたらどんなアドバイスをしますか?

鈴木:まず、似合わないのが問題なのか、周りからとやかく言われるのが嫌なのかを聞きますね。似合わないと思っているなら、少なくとも今の時点では似合わないんですよ(笑)。

でも、似合うロリータ服を見つけたり、ヘアメイクに注意したりと、ちょっとした工夫で似合うようになるんです、確実に。たいていはヘアスタイルの問題です。それから服の色、丈の順番かと思います。

周りの目が気になる方は、SNSでお友達を作って一緒に歩いてもらうのはどうでしょう。同じファッションの人たちが一緒にいれば勇気づけられるはず。実際、ロリータファッションをしている方の中では「SNSで出来た友達と一緒に」……という方はとても多いんです。

あるアメリカ人ロリータさんが「母国にいた頃ロリータ服の人が周りにいなくて、気になったけれどなかなかお店にも行けなかった。でもロリータの友達ができて、一緒にロリータ服の店に行った時に、一気に扉が開いた」と話していました。

今ではすごい数のロリータ服を所有して、休日には必ず着ています! さらにSNSを通してたくさんロリータ服を一緒に楽しむ友達を作ったみたいですよ。

--最後に、メッセージをお願いします。

鈴木真理子さん

鈴木:有名ブランドのショップは敷居が高くて入りにくいなら、古着屋でも探してもいい。とりあえず服に手を通してみることが一番です。そして「これだわ!」とピンときたら、そこからスタートしてみてください。

自分の話をさせてもらうと、私は自分の手首にブラウスの袖のレースやフリルが踊っている姿を見ると、本当に心が浮き立ってくるんです。「これこそ本当の私の姿じゃないかしら!」って(笑)。

レースやリボンは、もしかすると自分にとって最高の癒しで、少女心やノスタルジーをなかなか捨てられない私と寄り添ってくれているのかも…。

紙面提供:宝島社

(新庄圭)