【TDL】ジョニー・デップにも会えるよ。「カリブの海賊」がもっと楽しくなる雑学10
数あるアトラクションの中で、その施設の見た目に比較して、実はかなり規模が大きいのが、東京ディズニーランドのアドベンチャーランドにある「カリブの海賊」。
【写真】どっからどう見てもジョニー・デップ…じゃなかった、ジャック・スパロウ!! (๑˃̵ᴗ˂̵)و
いつでも空いているイメージの同アトラクションですが、実は細かなこだわりが満載!
10の隠れた見どころをご紹介します。
■(1)ウォルトディズニーの遺作アトラクション。カリブ海で暴れていた海賊がモデル
「カリブの海賊」は、カリブ海沿岸で17世紀から19世紀にかけて暴れていた海賊たちがモデルとなったアトラクション。
ウォルトディズニー自身が設計に関わったものとしては、最後のアトラクションとしても有名です。
しかし残念ながら彼は完成を待たずにこの世を去ってしまったため、ウォルト遺作とも言えるアトラクションなのです。
詳細記事 - 【TDL】ウォルト・ディズニーの遺産「オーディオアニマトロニクス」が使われているアトラクション4つ
ゲストは船着き場からボートに乗って出発。
海の上で大砲を打ち合う海賊や、街中では放火や略奪と、悪行の限りを尽くす海賊の姿を見ながら進みます。
荒くれ者の海賊が大暴れするこのアトラクションですが、ユーモラスでなんとなく憎めない海賊たち。人間味あふれる雰囲気とリアルな動きについ微笑んでしまうイメージもありますよね。
ディズニーランドのグランドオープンから存在するアトラクションですが、このアトラクションが元になって製作されたディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の公開後、2007年7月にリニューアル。
映画の登場人物で大人気の「ジャック・スパロウ」や「バルボッサ」、「デイヴィ・ジョーンズ」等、映画に登場の海賊達が登場します。
■(2)「ジャック・スパロウ」ほかも登場! リニューアル後に変わった物語
2007年のリニューアルでは、基本的な部分は変化はありませんが、アトラクション入り口のバナーが、映画のイメージに併せて変わったり、途中で映画のキャラクターが登場したりし、海賊等が話す言葉や、物語が、一部が変わりました。
例えば、海賊船が砦の前で砲撃し合うシーンがあります。この海賊船には、リニューアル前は、実在した海賊「エドワード・ティーチ」が乗っていました。
現在は映画に登場したバルボッサが乗っており、「ジャックスパロウを差し出せ!」と言っています。
その次のシーンでも、井戸に沈められて拷問を受けている男がいますが、財宝のありかを吐かされていたのですが、現在は財宝のありかに加えて、ジャックを差し出すように拷問されています。
また、最初にボートが落下した後には、「デイヴィ・ジョーンズ」が、霧のスクリーンに映像で登場する変化が加えられています。
■(3)パーク総建設費の約10%が使われた大規模アトラクション
建物を正面から見ると、「ちょっと大きめの邸宅」くらいの大きさしかありませんが、外観からは想像できないくらいの規模の大きいアトラクションでもあるのです。
また、東京ディズニーランドのグランドオープン時には、パークの総建設費の約10%が使われたアトラクションでもあります。
ランドの総建設費は約1,580億円となっていますが、このうちの約160億円が、この建設費に充てられているのです。
金額がピンとこないと思いますので例をあげると、2000年に完成した「プーさんのハニーハント」が約110億円、2012年オープンの「トイ・ストーリー・マニア!」は約115億円。
「カリブの海賊」は、30年以上前に160億円ですので、その規模がわかります。
■(4)実は悲しい物語。最初の落下とともに時間をさかのぼる……
アトラクションが出発し、しばらく進むと、急流を下るシーンがあります。
実はこれ、ほとんどの方が知らないと思いますが、急流を下る事がタイムスリップを表しているのです。
更にこのアトラクションはボートで進んでいきますが、実は、時間がどんどん過去にさかのぼっているのです。
急流を下った場所は16世紀末で、ここは「デッドマンズ・コーブ(死者の入り江)」と言われる場所。進行方向右側には骸骨が横たわる砂浜があります。
宝箱やスコップがあるところを見ると、宝を埋める時に争いになったのかもしれません。
このアトラクションでは、私たちは最初に、海賊たちの悲しい末路を見る事になるのです。
そしてこの周囲いでは「Dead men tell no tales…」という呪文の様な不気味な声が聞こえます。これは「死人に口なし」と言う意味。
そしてその先には宝の山の上で息絶えた海賊の姿が見えます。
■(5)実在した海賊の家がモデルになっている船着き場
ゲストはアトラクション建物に入ると、薄暗いボート乗り場「ラフィットの船着き場」に到着します。
これは、実在した海賊の船長、「ジャン・ラフィット」の名前です。
まず、ほとんどの方が気がつかない場所なのですが、乗船してすぐに上を見上げると木製の看板がぶら下がっており、ここには「LAFFITE‘S LANDING」と書かれています。
この船着場、実は彼の家なのです。
海賊であった彼は、様々な追っ手から逃げる為、一般の港や入り江からは見えない場所に船着き場を作りました。
私達がボートに乗って出発すると、しばらくは背の高い葦(あし)に囲まれた狭い水路を抜けていくのはそのためです。
■(6)謎多き人物「ジャン・ラフィット」
ジャン・ラフィットは、19世紀初頭に、ニューオーリンズ近海で、スペインの船を襲っていたフランス人なのですが、海賊でありながら、貿易商も行い、奪った物資を貧しい人々に分け与えたりもしていました。
そんな彼の功罪は諸説あり、今でも彼が本当に “悪党” だったのか、又は “善良者” だったのかという議論が絶えない不思議な人物なのです。
そんな彼はどこで死んだのかも分からず、彼が隠した財宝が世界のどこかに今も眠っているとも言われています。なんだかロマンを感じる話ですね。
アトラクション内に入ると、左側に、混雑時にだけ使われる部屋があります。ここに飾られているのは、ジャン・ラフィットの肖像画なのです。
いつも使われている部屋ではありませんが、肖像画は外からも見る事が出来ます。
■(7)ボートに刻まれているのは全て “女性の名前”
ゲストはボートに乗ってアトラクションを進みますが、速度は、かなりゆっくり。1m/秒にも満たない速度なのです。
このボートはフランス語で「バトー」と呼ばれます。
アトラクション内に入ってすぐ右側に、水路を進むボートを見る事ができますが、この位置でしか確認できない事があります。
ボートをよく見ると、船の前部、脇には文字が書かれています。例えば、「Claire(クレール)」、「Simone(シモーネ)」、「Chirstine(クリスティーヌ)」等。
実はこれらは全て女性の名前なのです。海賊達が自らの無事を祈り、船体に彼女や妻の名前を書いていた事に由来しています。
全てのボートに、異なる名前が書かれています。傍若無人な海賊達ですが、こんなところに「愛」を感じる事ができるのですね。
■(8)川の左側にはメス、右側にはオスが並んでいる?
アトラクションが進み、しばらくすると “女性たちがロープでつながれているシーン” があります。
これは海賊に捕まえられた女性たちが、人身売買オークションにかけられている場面なのです。
この場面には、川を挟んで、多くの動物や海賊も居るのですが、実は川の左側には女(メス)、右側には男(オス)の様に分かれているのです(オークショニアの海賊を除く)。細かなこだわりですね。
ところが、女性の中には、なぜか喜んでいるような人も見られます。どうやらちょっと婚期を過ぎた女性なので、結婚できる事を喜んでいるのかもしれませんね。
■(9)小説に登場する有名な人物も登場している
ボートが進むと、街が火事になっている場面があります。
当時の海賊は、町を襲った跡に、最後に放火をする事が多かったからなのです。
この火事のシーンには、ちょっと有名な人物が登場しています。
燃え盛る街の終盤、ゲストの真上の石橋に、酒瓶を持って酔っ払った様な海賊が1人座っています。彼は、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『宝島』に登場する、海賊のジョン・シルバー。
物語の中の架空の人物ではありますが、“海賊” をイメージする代表的なキャラクターです。『宝島』の物語は知らなくても、オウムが肩に止まっている海賊は、なんとなく知っている方は多いのではないでしょうか。
■(10)案内するキャストはフレンドリーな “海賊の子孫”
私達ゲストを案内してくれるキャスト。
彼&彼女たちのコスチュームも、海賊風になっていますが、彼らは「海賊の子孫」という設定で、アトラクションの出発地である、秘密の入り江等の案内に詳しいらしいのです。
彼らは内部に登場する恐ろしくて乱暴な海賊ではなく、訪れるゲストに対して非常に気さくにフレンドリーに応対してくれますので、安心してくださいね。
また、アトラクション内に登場する海賊は、様々な言葉を話しますが、彼らは海賊特有の言葉やなまりが多く、英語ができる方でもなかなか聞き取れない言葉が多くあります。
様々な効果音等と混じっているせいもありますが、これは実はウォルト・ディズニーの考えでもあり、断片的に言葉が聞こえた方が、ゲストの興味をひきやすいという理由もあるのだそうです。
「カリブの海賊」に登場するジャック・スパロウをはじめとする海賊たちは、本来は残虐非道で恐ろしい海賊なのですが、人間味のある、どこか憎めないやんちゃな雰囲気があります
そしてご紹介した様に、意外に知られていない多くの物語やこだわりがあるのです。
「カリブの海賊」完成を待たずに、志半ばでこの世を去ってしまったウォルト・ディズニー。
遺作となってしまった彼の最後の想いが詰まっているこだわりのアトラクション。そんな思いを感じながら乗ってみると、いつもとはちょっと違った雰囲気になるかもしれませんね。
※当記事は、ライターによる現地調査のほか、以下の文献も参考にして構成しています
「Door of Dream オーロラストーン伝説 東京ディズニーランド超ガイド」1996年 講談社