からだが硬いと病気になりやすいって本当?「本当:動脈硬化や高血圧にもなりやすい」
歳とともに失われていくからだの柔軟性。原因はコラーゲン不足で、ケガをしやすいだけでなく、からだが硬いひとは動脈硬化や高血圧にもなりやすい。
からだを柔らかくするには、どうすれば良いか?肝心のコラーゲンを増やすには、ストレッチで線維芽(せんいが)細胞を刺激するだけで良い。1日5分程度を続ければ、美容も健康も取り戻せるのだ。
■コラーゲン不足は病気のもと
からだの硬さは靭(じん)帯や腱(けん)など、骨と筋肉をつなぐ結合組織の柔軟性と、神経によって決まる。結合組織が柔らかいと関節の動く範囲が広くなり、逆に伸び縮みしにくくなると範囲が狭まり、からだが硬い状態になる。
動かせる範囲を超えると結合組織や筋肉、関節自体を痛めてしまうので、どこまでが許容範囲なのかを神経が学習し、ケガをしないように制限しているのだ。
自分の意志でからだを動かしているときなら、範囲を超える手前で痛みを感じるので安全だが、転んだり、重い荷物を運ぼうとして不意に大きな力がかかると、じん帯や筋肉に大きな負担がかかるので、からだの硬いひとはケガをしやすい。
トレーニングによってある程度は改善するので、ケガ予防のためにも柔軟体操は重要だ。
からだの硬いひとは、動脈硬化や高血圧になりやすい。共通点はコラーゲン不足で、からだと同様に血管も柔軟性を失ってしまうのだ。
美容でもおなじみのコラーゲンは、腱や靭帯などの結合組織のもとでもあり、筋肉や内臓を包んでいる筋膜(きんまく)の材料でもある。ところが、運動不足が続くとコラーゲンが糖(とう)化して、結合組織や筋肉の伸び縮みをジャマするようになってしまうのだ。
解決方法は簡単で、糖化したコラーゲンを追い出して、新しいものと置き換えれば回復する。言い換えればコラーゲンの新陳代謝で、それをおこなうのが線維芽(せんいが)細胞だ。
線維芽細胞は、ふだんは目立った働きはしないのだが、細胞が傷つくと、修復するためにコラーゲンを作り出す。つまり、からだに刺激やダメージを与えれば、新しいコラーゲンが手に入るのだ。
過酷な運動を想像するかも知れないが、これも簡単で、1日5分程度のストレッチだけで効果が得られる。関節の柔軟性を取り戻すだけでなく、根本原因であるコラーゲン不足も解消され、美容はもちろん動脈硬化などの重い病気も防げるので、ストレッチは大変お得な運動なのだ。
■強さよりも回数重視
ストレッチの注意点は、ムリな力を加えないことと、なるべく毎日おこなうことだ。
誰かに背中を押してもらったり、勢いをつけてからだを曲げようとするひともいるが、関節の限界以上に曲がる恐れがあり非常に危険だ。ムリをせずゆっくりと繰り返すのが良いだろう。また、繊維芽細胞は筋肉と異なり、トレーニングを続けても増えることはない。
つまり、生産されるコラーゲン量は限られているので、数日サボっただけでも、すぐに不足した状態になってしまう。極端な例だが、1日10回ストレッチをおこなうと、1日1回よりも肩の関節が10度近く曲がるようになったデータもあるので、強度よりも回数重視でおこなうのが得策だ。
■まとめ
・腱や靭帯の柔軟性が失われると、からだが固くなる
・真の原因は、コラーゲン不足
・コラーゲン不足は、動脈硬化や高血圧を引き起こす
・ストレッチをすると、繊維芽細胞がコラーゲンを作り出す
コラーゲンが美容にも健康にも影響することがわかった。
ストレッチだけでどちらも改善するなら、見逃す手はない。まずはストレッチしやすいように、部屋の片づけから始めよう!
(関口 寿/ガリレオワークス)