一箱のお菓子に込められているのは、秋田の風土、生産者の想い、そして受け継がれてきた技。秋田発の菓子ブランド「くら吉」は、地域の素材を活かしたものづくりを通じて、秋田の魅力を県外に留まらず、2026年9月からは海外へも届けていきます。

地域に根ざした菓子作りを続ける「くら吉」が、新たな挑戦の舞台として選んだのは、“台湾”。秋田の素材や職人の技を詰め込んだお菓子を通じて、どのように地域の魅力を届けていくのか。今回は、台湾への挑戦の背景や、台湾限定のクッキー缶に込めた想いについて、代表である佐々木幸生氏にお話を伺いました。

地域の魅力をお菓子に込めて。「くら吉」台湾出店までの道のり

くら吉 角館本店

「くら吉」は、秋田・角館に本店を構える、創作菓子ブランド。「旬・菓・創」をブランドコンセプトに掲げ、秋田県産の厳選素材と職人の手仕事を融合させた、上質な和洋菓子を手がけています。国内では百貨店を中心に常設店舗を展開し、贈答品や手土産としても人気です。今回の台湾・高雄への出店は、ブランド初となる海外展開であり、台湾市場を足がかりに秋田の食文化や菓子の魅力を海外へ発信していく新たな拠点となります。

今回の海外進出について、最初から目指していたわけではなかったと話します。

佐々木さん:「くら吉」のコンセプトは、地域にある優れた素材を生かし、創作菓子として新たな価値を届けること。秋田のフルーツをはじめとした地域素材と向き合い、その魅力をどのように引き出し、価値を高めていくかを考えながら商品開発を行っています。一般的なお菓子作りでは商品を起点に素材を選ぶことが多い中、「くら吉」では地域や素材そのものが持つ可能性に着目。お菓子作りを通じて地域の魅力を伝え、未来へつなげていくことを大切にしています。こうした国内での取り組みを積み重ねてきた中で、海外出店のお声がけをいただいたことが、今回の台湾・高雄への出店のきっかけとなりました。

海外進出を目的としていたのではなく、これまで大切にしてきたものづくりの延長線上に、台湾・高雄への出店という新たな挑戦が実現したのだそう。

2026年2月の台湾への催事出店の様子

実は今回の出店を決めるきっかけの一つとなったのが、2026年2月に台湾で開催した催事出店だったといいます。

佐々木さん:台湾では関税の影響もあり、国内でも価格が上昇している状況でした。それでも、商品の背景にある素材やものづくりへの想いを理解していただき、選んでいただけたことは大きな喜びでしたね。

台湾の文化と「くら吉」のこだわりをひと缶に

多彩な商品を展開する「くら吉」の中で、台湾出店の主力商品として選ばれたクッキー缶。その背景には、ブランドが大切にする「素材へのこだわり」を余すことなく表現できるという理由がありました。

佐々木さん:日本でもクッキー缶が注目される中で、他社ではアイシングやバターへのこだわりなど、それぞれの強みを打ち出されています。その中で、「くら吉」が大切にしている「素材にこだわる」というコンセプトを存分に表現できる商品として、クッキー缶を選びました。

見た目の華やかさはもちろんですが、工場での大量生産ではなく、一つひとつ手作業で仕上げていることも大きな特徴です。使用しているジャムやドライフルーツも、生のフルーツを仕入れるところから自社で加工しています。果実そのものの状態から向き合い、加工するノウハウがあるからこそ、素材の魅力を最大限に引き出したお菓子づくりができる。そこは「くら吉」ならではの強みだと考えています。

―「KURAKICHIあきたフルーツクッキー缶(台湾アソート)」を開発される上で、こだわられたポイントを教えてください。

佐々木さん:現地の方々により親しんでいただけるよう、色調や台湾で大切にされている縁起物を取り入れることを意識しています。例えば、今回使用している桃のクッキーです。桃は食べておいしいことはもちろんですが、台湾では昔から贈答品としてもふさわしい、特別感のある素材として親しまれています。そうした桃の持つ意味や背景も大切にしながら、お祝いの気持ちを表現しています。

今回のテーマとして特に大切にしているのは、「華やかさ」です。素材や色、モチーフを通して、見た瞬間にもお祝いの気持ちが伝わるような、華やかで特別感のある仕上がりを意識しています。

秋田らしいモチーフと素材が生み出す彩り

日本でもクッキー缶ブームを経て、今もその人気は続いています。中のお菓子をおいしく楽しむのはもちろん、缶のデザインまで楽しめるのが、クッキー缶の魅力のひとつです。「くら吉」のクッキー缶デザインへのこだわりも伺いました。

佐々木さん:「くら吉」では現在、2種類の缶を展開しており、今回使用しているのはそのうちの白い缶です。缶の中央には「栗」と「ほおずき」、左右には「フランボワーズ」、そして下側の両端には「秋田犬」を描いています。こうしたモチーフは、秋田をイメージしたもので、「くら吉」らしさを感じていただけるように取り入れています。また、日常的に近いようなお菓子というよりは、贈答品にふさわしい品格を持ったものとして、自分たちのオリジナルを表現することを大切にしています。

台湾出店に伴って開発された「KURAKICHIあきたフルーツクッキー缶(台湾アソート)」。そのクッキー一枚一枚に込められたこだわりに迫ります。

佐々木さん:クッキー缶は、まず缶のデザインに惹かれて手に取っていただくことも多いと思います。ただ、中身についても、単調な茶色っぽい色合いになってしまうのは、僕らとしてはあまり良しとしていません。例えば、中央に赤いジャムや黄色っぽいジャムを入れるなど、見たときの色合いについても意識して作っています。

もう1つのこだわりとして、「くら吉」のお菓子には、基本的に着色料を使用していないんです。例えば、「秋田犬フランボワーズ」は、フランボワーズの果汁を練り込むことで色を出しています。自分たちが持っている技術を生かしながら、素材そのものの色や風味をきちんと表現することを大切にしています。そうした素材の持つ色を生かしながら、華やかさを表現したクッキー缶を一つひとつ丁寧に製造しています。

台湾への出店を“秋田の魅力発信”の新たな一歩に

「くら吉」が大切にしているのは、秋田の魅力を国内外へ発信すること。秋田の素材や生産者の方々と向き合い、その魅力をお菓子という形にして届けていく姿勢こそが、「くら吉」らしさをつくっているのだと、今回のインタビューを通して強く感じました。

今回の台湾出店も、秋田の魅力を海の向こうへ届ける新たな一歩。台湾をはじめ、海外の方々にも「くら吉」のお菓子を通して秋田を知ってもらい、その魅力を感じてもらうことで、地域への想いがさらに広がっていくのではないでしょうか。秋田の素材と人の想いを一つひとつのお菓子に込め、秋田と世界をつないでいく「くら吉」。そのお菓子を味わいながら、秋田の魅力を感じてみませんか?

About Shop
くら吉 角館本店
秋田県仙北市角館町小人町38-25
営業時間:9:00~17:00
定休日:不定休
公式Instagram:@kurakichi_kakunodate

もか

ウフ。編集スタッフ

製菓学校卒業後、美味しいお店と商品を広めたいと思い、洋菓子販売と飲食店専門の広告代理店を経てウフ。編集部へ。チョコレート、ピスタチオスイーツが好き。