男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:32歳年収600万の美人OL。アプリでマッチするのに毎回3回目のデートがない、致命的理由とは




一体、どうしたのだろうか。

真理子とは、今日で会うのは5回目。

IT関連会社に勤める33歳の彼女とは、自分的にもしっくり来ていたし、このまま交際までいくのかな…と思っていた。

その証拠に、真理子は自らの意思で僕の家にも来たし、これまでのデートで多少のスキンシップもあった。

でも家に来た途端に、即座に「帰る」と言って帰ってしまった真理子。

その後、食事をごちそうしたことに対するお礼のメッセージは来たものの、パタリと連絡が途絶えてしまう。

どうして急に彼女の態度は変わったのだろうか…。


Q1:女が最初に抱いた疑念は?


真理子と出会ったのは、たまたま友人に連れられて行った恵比寿のバーだった。

僕は初めて行ったのだが、連れていってくれた友人が途中で寝そうになり、「そろそろ帰ろうかな」と思っていたところ、うっかり僕の肘が隣にいた女性に当たってしまった。

「あ、すみません!」
「いえいえ。お友達の方、大丈夫ですか?」

そんなキッカケで、会話を始めたのが真理子。

「大丈夫です。コイツ普段は酔っ払って寝るタイプじゃないんですけど…。ところでお一人で来たんですか?」

肘がぶつかったのをいいことに、僕は真理子に話しかけてみる。

薄暗いバーの照明の下でもわかるような、ハッキリとした目鼻立ち。ノースリーブからすっと伸びている、白くて華奢な二の腕。

「そうなんです。たまに飲み足りない時に、ひとりでフラっと来るんです」
「ひとりでバーに来るなんて、カッコイイですね」

そこから会話が盛り上がり、友人が帰った後も僕はそのまま真理子と一緒に飲むことになる。

「ナンパみたいになっちゃってすみません」
「そんな。こちらこそです」

初対面で、しかもバーでの出会うなんて、僕は何か運命的なものを感じた。こうして僕たちは連絡先を交換して、すぐにまた会うことになる。




最初は食事デートがいいかなとも思ったけれど、出会いもバーだったし、ディナーだと時間的にも気持ち的にも負担が大きいかもしれないと、僕は考えた。

― まずはさっくりと、酒を一緒に飲むところから始めることにしよう。

そう思い、僕は知り合いが経営をしている中目黒にあるバーを20時から予約した。

「武志さんって、オシャレなお店知っているんですね」
「この店、友達が経営しているんですよ。バーだけど簡単な食事もできるし、ちょうどいいかなと思って」
「すごく素敵なお店で、嬉しいです!」

軽くつまみながら、色々と話が盛り上がる。

「真理子さんは、普段は何のお仕事をしているんですか?」
「私はIT系です。武志さんは?」
「僕は自分で会社をやっています。医療系、と言えばいいかな」
「そうなんですね。すごい!」

今日が二度目と言っても、ほぼ初対面のようなもの。お互いに聞きたいこともあるし、質問をして答える…を繰り返す。




気がつけば3時間半も経ち、23時半になっていた。僕たちはなんとなくお互い視線を合わせる。

「真理子さんが良ければなんですけど…。また会いませんか?」

すると真理子はゆっくりと、美しく微笑んだ。

「もちろんです」

こうして、僕たちは翌週会うことになった。

最近良い出会いがないと思っていたけれど、真理子のように美人で聡明な女性と出会えたことには感謝しかない。

しかも彼女とは縁があるのか、ポンポンと進む。

その証拠に、三度目は意外に早くやってきた。

金曜の夜。友人と恵比寿で飲んでいたとき、真理子に会いたくなって連絡をしてみると、彼女も偶然近くにいるという。

― 武志:え!今から会えませんか?
― 真理子:会えます!どこで合流しましょうか。

こうしてお互いの食事を済ませ、僕たちは恵比寿のバーで落ち合った。この日ももちろん盛り上がったし、会うたびに真理子に惹かれていく自分がいる。

そしてこの後のデートで、ついに僕の家に真理子が来ることになった。


Q2:女が家に来た途端に帰った理由は?


会うのは四度目、デートとしては三度目の日。正直、「何かあるかも…」とは思っていた。

そんな淡い期待も込めて、少し気合を入れて南青山にある一軒家イタリアン『misola』を予約した。




「本当に、武志くんのお店選びのセンスっていいよね」
「嬉しい。ありがとう」

美しくて美味しい食事に、ワインとのペアリングも相性抜群。空間と時間にも酔いしれ、気がついた時には僕たちはかなりの至近距離で話し込んでいた。

「武志くんって、今彼女とかいるの?」
「僕?フリーに決まってるじゃん」

多少遊んでいる子はいるけれども、彼女はいないのでリアルに探しているところだ。

「真理子ちゃんは?」
「私もいないよ。結婚したいし、相手を探してるところ」

タイミングも良いし、真理子と何度か会って「一緒にいると落ち着くな」と感じていた。これはもう、先に進めるしかない。

「僕的に、真理子ちゃんとこの先の関係に進めたいと思ってるんだけど…」
「それって…?」
「もう少し会う回数を増やして、一緒にいる時間が増えたらいいなって」
「そうだよね。私もそう思う」
「じゃあ…とりあえず今夜は飲もうか」
「乾杯」

こうして、お互いグラスを傾ける。

この日のデートでは、お互いの本音や恋愛観を知れたのが嬉しくて、お店を出ると、僕は彼女と手を繋いだ。

― 待って。可愛い。

つい顔がニヤけてしまう。それと同時に、僕は遊んでいる子を切ろうと決意した。




真理子と三度目のデートを終えた5日後、僕は遊び相手と会っていた。

僕の家に置いてある化粧水などをすべて持って帰ってもらうためだ。ハッキリと彼女に伝える。

「ごめん、もう会えないかも」

すると相手も納得し、荷物をまとめて水だけ飲んで帰っていった。



遊び相手と縁を切った翌日。

真理子との食事デートはいつも通り楽しく終わり、流れで2軒目の代わりに僕の家に来ることになった。

― よし、今夜こそ…!!!

僕も気合を入れていたし、真理子も「武志くんの家、見てみたい」とノリノリだった。

「何か飲む?」
「とりあえず、お水もらっていい?」
「もちろん」

キョロキョロと部屋を見渡す真理子。昨日の夜から綺麗に掃除をしたし、遊んでいた女の子の痕跡はないはず…。

「真理子ちゃん、そんなに見ないで。恥ずかしいから(笑)」
「あぁ、ごめん。興味深くて」

キッチンに置いてあったグラスに水を注ぎ、真理子へと差し出した。

それと同時に、僕はもう一度部屋を見渡す。今日出かける前に、遊び相手の女の子の痕跡はすべて消した。念の為、ベッドの上もコロコロ済みだ。

しかし、ふと真理子のほうを見ると妙に険しい顔をしている。

「真理子ちゃん、どうした…」
「ごめん、今日はもう帰るね」
「え!?もう?」

驚いたけれど、無理矢理引き留める権利もない。僕はただ「帰る」と言った真理子を、家の下まで見送ることしかできない。

「武志くん今日はありがとう。またね」
「う、うん。こちらこそ」

だがここから、真理子とはまったく会えていない。

一応真理子が帰った後、もう一度くまなく家を見てみたけれど、アクセサリーなどの落とし物もなかった。

― なんで?どうして家に来た途端に態度が変わった?

どうして真理子は家まで来たのに、気持ちが変わったのだろうか…。

▶前回:32歳年収600万の美人OL。アプリでマッチするのに毎回3回目のデートがない、致命的理由とは

※公開4日後にプレミアム記事になります。

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:7月28日 日曜更新予定
女が男の家で見てしまったモノとは…