今週のテーマは「女が毎回、食事デートで終わってしまう理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:32歳年収600万の美人OL。アプリでマッチするのに毎回3回目のデートがない、致命的理由とは




東京駅が、今日も厳かに輝いている。

この景色を見ながら、先ほどまで一緒にいた杏奈のことを思う。

― 彼女は、東京で生きていくのが辛そうだな…。

僕は飲み足りなくて同僚に連絡して、近くのバーで合流することにした。

顔も可愛いし、スタイルも良い杏奈はモテると思う。でも今日の食事デートで、「結婚相手には見れないな」とはっきりと悟ってしまった。

「啓太、何してたの?」

同僚の優斗は、合流した時点ですでにビールを飲んでおりご機嫌だ。

「ちょっとデートしてたんだけどさ…ダメだったわ」
「へ〜」

男同士、恋愛の話なんてしない。

でもきっと、僕が詳細を話したら、結婚を意識している男たちはこぞって「その女性はナシ」と言うと思う。


A1:シンプルで、清楚そうな感じが良い。


杏奈とは、マッチングアプリを通じて出会った。僕が勤めている商社は、いまだに食事会も多いし、紹介も多い。

けれども、ここ半年ピンと来る人に出会えていなかった。それに、僕も33歳になり真剣に結婚も考え始めたので、アプリに登録することにした。

可愛い子が多くて目移りしそうだったが、なかでも杏奈は目を引いた。

黒髪のロングヘアに、真っ白な肌。大きな瞳に、シースルーバングスの前髪。2枚目は猫の写真が載っており、動物好きなことが想像できる。

しかもプロフィールの内容もシンプルですべてが書かれているわけではなく、どんな女性なのか、逆に気になった。




だから早速、僕は杏奈にメッセージを送ってみた。

― 啓太:初めまして!すごく素敵な笑顔だなと思って、いいね押させていただきました。よろしくお願いします。

すると杏奈からも返事が来て、僕たちは何度かやり取りをし、表参道のカフェで会うことになった。

「初めまして、啓太です」
「初めまして、杏奈です」

杏奈は写真の通り、華奢で色白で可愛い。今時っぽい顔立ちに、ふんわりとしたトップスとデニムがよく似合っている。

「杏奈さん、写真そのままですね」
「そうですか?良かった」
「啓太さんも、メッセージの感じそのままですね」

そしてここから、お互いのことをもっと知っていくためのトークが展開される。




「杏奈さんは、普段はどの辺りにお食事へ行くことが多いんですか?」
「職場のある丸の内とか、銀座エリアが多いです。啓太さんは?」
「僕も職場が大手町なので、そのエリアは結構行きます。でも友達と飲む時は、恵比寿とかも多いです」
「そうなんですね!私も一緒です」

まさかの職場も近く、遊んでいる場所も似ている。それが嬉しくて、思わずテンションが上がってしまった。

また実際に会ってみて感じたのだが、杏奈は話し方もゆっくりで、清楚な感じがした。

「杏奈さんって、意外にふわっとしているんですね」
「そうですか?」
「写真で見ていたら、もっとストレートというか強い系かと思ったのですが…」
「全然ですよ」

― いい子そうだな。

そう思い、僕は次のデートへ誘ってみる。

「よければ、次は食事へ行きませんか?」
「いいですね、行きましょう」

こうして順調に進むかのように見えた杏奈との関係。しかし次の食事デートで、杏奈のことは「結婚相手としてはナイな…」と思ってしまった。


A2:SNSが派手で無理だった。


杏奈との食事デートの場所は、迷った結果『ブリアンツァ トウキョウ』にした。金曜の夜、お互い仕事終わりで集まるにはちょうど良いお店だったから。




「素敵なお店ですね♡」
「ここ、来たことありました?」
「初めて来ました♡」

今日もふわっとしていて可愛らしい杏奈は、テラス席から綺麗に見える丸の内のビル群の夜景を、嬉しそうに写真に収めている。

「それ、どこかに載せるんですか?」
「インスタに載せようかなと思って」
「杏奈さんのインスタのアカウント、聞いてもいいですか?」
「もちろんです!」

ごく自然な流れで、杏奈のインスタのアカウントを知ることになる。

しかし彼女のインスタを見た途端に、僕の気持ちはわかりやすく冷めていった。

「杏奈さんって、グルメなんですね。有名店もたくさん行かれてますし」

杏奈のインスタには、高そうなレストランの写真がたくさん載っている。

「全然ですよ」
「旅行もお好きなんですね!」
「そうなんです。水着の写真もあって恥ずかしいですが…この写真は、先日行った香港ですね」

それだけではない。高級店に加えて、外資系の高級ホテルや水着姿などがフィードには並んでいる。

― なんだかずいぶん派手なんですけど…。印象がだいぶ違うな…。

今目の前にいる清楚系の杏奈と、SNSの投稿内容があまりにも違いすぎる。

そしてどう考えても、杏奈の稼ぎでは泊まれないであろうホテルに、行けなさそうな高級レストランの数々…。

バックに誰かいることは明白だった。




「すご…!ここ、どこのホテルですか?すごい素敵な部屋ですね」
「でも啓太さんも、商社なら出張とかで海外多いのでは?」
「そうですね。たしかに多いかもですが、コロナ以降で頻度は減りましたね」

そこからお互いの好きな国の話などになったが、もう杏奈の話の内容なんてまったく入ってこない。

「杏奈さん、経験値高いな〜」
「全然ですよ。元カレがたまたまお金持ちだっただけで」

正直、元カレが誰であろうが関係ない。

人様のお金で良い思いをしていることを、堂々とSNSに投稿していることに、僕は驚いている。

― 承認欲求の塊なんだろうな…。

そんな女性は、結婚相手候補として見られないのは当然だ。

「でもすごいですね!色々な所へ旅行していて。僕、普通のサラリーマンですけど大丈夫ですか?」
「もちろんです!しかも商社マンって普通よりすごいじゃないですか」
「そう言ってもらえると嬉しいですけど」

きっと、彼女は自分がなぜ結婚できないのか気がついていない。

そしてなぜ、彼女が上から目線なのか僕には理解できない。

「啓太さん、今彼女はいないんですよね?」
「もちろんです!いたらアプリ、使いませんし」
「良かった。結婚願望はありますか?」
「あります。杏奈さんは?」
「私もあります。今すぐにでも結婚したいくらいです」

僕が大富豪だったり、ただの遊び目的とかだったらいいかもしれない。でも僕は真剣に結婚できる相手を探している。

そうなると、SNSが派手な女性は引くし、むしろお断りだ。

結婚相手は地に足がついた、“普通の子”がいい。

「この後って…」

杏奈は2軒目へ行きたそうな雰囲気を醸し出していたけれど、僕は丁重にお断りをした。

― 次はないな。

そう思いながら。

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