今週のテーマは「勝どきのタワマンで同棲していた女が急に振られた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「どこがダメだった?」勝どきのタワマンで同棲する34歳女。結婚前提だったのに半年でフラレた理由




金曜18時。仕事が早めに終わったのに、僕の心はまったく弾んでいない。

「今夜何してる?飲みに行かない?」

後輩を若干無理やり誘い、僕は夜の街へと繰り出した。

ここ最近、家へ帰るのが憂鬱になっている自分がいる。だからこうやって帰宅時間を遅らせているけれど、何の解決策にもなっていない。

真央と同棲を始めて、約半年。

もうそろそろ限界かと思い、僕はずっと考えていたことを彼女に伝えることにした。

「真央…僕たち、終わりにしない?」

家事も完璧にこなしてくれ、良い彼女だったと思う。

でも同棲をした結果、この先真央と永遠に、一緒にいるのは無理だと気がついてしまったのだ。


A1:結婚願望はあった。


真央とは、友人の紹介で出会った。ちょうど彼女もおらず、仕事が一段落し、誰か探そうと思っていたタイミングで真央を紹介してもらった。

最初から一緒にいると楽しくて、三度くらいデートをした後に付き合うことになった僕たち。

真央が34歳になるので、一応結婚も当初から意識はしていた。

「真央って結婚願望あるの?」
「あるよ!35歳になるまでに、絶対結婚したいと思ってる。雅也は?」
「僕もあるよ。そろそろ36歳になるし」

僕も生半可な気持ちで交際していたわけではない。

真央に結婚願望があることも知っていたし、早めに決断しようと思っていた。

そんなタイミングで真央の家の更新時期がやってきた。




「雅也って、今の家に住んでどれくらいになる?」

急にこんなことを聞かれたので、ピンとは来た。

「もうすぐ1年半とかかな。なんで?」
「いや、家の更新が迫っていてさ」
「真央、更新なの?」
「そうなの…。でも更新料支払うのももったいないし、雅也はどんな感じかなと思って」

これは遠回しに、“同棲したい”。もしくは“結婚したいから早く決断しろ”ということだろう。そこまで察せられないほど、鈍感ではない。

それに僕も36歳になる。別に独身主義者なわけではないし、一緒に住むのもアリかなと思った。

「なるほどね…。どのみち今の家も狭くなってきて引っ越そうと思ったから、一緒に住む?」

すると、真央の顔が明らかに輝いた。

「本当に?本当にいいの?」
「うん」

しかしここで、真央は念押しをすることを忘れなかった。

「雅也は、結婚する気があるんだよね?」
「もちろん」
「じゃあこの同棲の先に、結婚を決めておこう」
「そうだね」

こうしてなんとなく1年後くらいには籍を入れようと決め、僕たちは一緒に住むことになった。




そして僕たちは、勝どきのタワマンへ引っ越すことにした。

18階に位置する1LDKで54平米で家賃25万円と、悪くはない条件だった。結婚したらもう少し広い所へ引っ越すつもりで決めた。

家賃の負担は、僕が20万で真央が5万。

折半ではないが、そこにこだわりはない。稼いでいる方が多く出すのは当たり前だし、真央はその分家のことをほとんどしてくれていた。

だから最初は本当に感謝していたし、「一緒に住んで良かった」と思っていた。

でも段々と、僕は家へ帰りたくなくなっていった…。


A2:つまらない話と、ソフトな束縛がきつかった。


同棲を開始した当初は、まだ良かった。

掃除や洗濯、料理など家事全般を文句ひとつ言わずやってくれるのは、本当に有り難い。

でも段々と窮屈になってきた。午後になると、真央からLINEが届く。

― 真央:雅也、今夜は何食べたい?

贅沢な悩みだということは、わかっている。

でも忙しい時に、今夜の食事のメニューを聞かれてテンションが爆上がりする…とかはない。

― 雅也:何でもいいよ!ありがとう。でも遅くなるかも
― 真央:わかった。気をつけて帰ってきてね♡

「はぁ…」

思わずスマホを見ながらため息が出てしまった。

そして何よりも、家に帰って真央の一方的なお喋りを聞くのも、なかなかの試練の時間だった。




例えば仕事が忙しくて帰宅した日。夕飯を作ってくれているのは、本当に有り難い。でも食べながら、オチのない話が永遠に続く。

「そういえば今日さ、会社の同僚と一緒にランチに行ったんだけど。ダイエット中なのにパスタ大盛り頼んでて、笑っちゃった」
「矛盾してるね(笑)」
「でしょ?あとさ、他の同僚が…」

― 疲れるな…。この話いつまで続くんだ?

同僚の人に会ったこともないし、知りもしない人のランチの大盛りなど本当にどうでもいい。

一方的にピーチクパーチクと話している真央といるのが、心底苦痛になってきた。

そしてトドメは、真央が毎回起きて待っていることだった。




ある土曜日、僕は大学時代の友達と飲んでいると遅くなってしまい、気がつけば深夜1時を過ぎていた。

― やべ。さすがに寝てるよな?

そう思ったので、こっそり、静か〜にドアを開ける。

しかしドアを開けた瞬間、目の前にいた真央と目が合う。

「おかえり、雅也」
「わ!ビックリした!真央まだ起きてたの?先に寝ててくれて良かったのに…」
「うん、一応。心配だったから」

こう言われると、謝るしかない。

「遅くなってごめんね」
「全然大丈夫だよ」

本当に大丈夫だと思っているなら、頼むから先に寝ていて欲しい。

起きて待っていてくれなんて頼んだ覚えもないし、この時間に玄関先に立たれるのは若干怖い。

「雅也、仕事で疲れてるのに飲み会まで大変だね」

そして何よりも、「大変だね」とか「お疲れさま」とか言われると逆に責められている気がして萎縮してしまう。

「今日は大学時代の友達だったから、逆に息抜きだよ」
「そっか、それなら良かったけど。お疲れさま、お風呂入る?」
「うん、ありがとう」

― 息が詰まるんだよな…。

文句の付けようがない、素晴らしい彼女だと思う。それでも一緒に暮らしていくと、ソフトな束縛で怖いし、何よりも居心地が悪い。

家は落ち着く空間であるべきだし、もう少し適当でいい。

何よりあまりにも甲斐甲斐しいと、男はそれに胡座をかき、そして逃げたくなる。

一緒にいるのが楽しくなくなってきて…辛くなってきて、僕は彼女と別れる決意をした。

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女がどうしても付き合えない理由