10月の黒人歴史月間を迎えているイギリスに合わせ、人種差別撲滅のキャンペーンを開始しているヘンリー王子夫妻。王室離脱前から黒人のルーツを持つメーガン妃へのタブロイド紙による人種差別に繰り返し抗議をしてきたヘンリー王子だけれど、実はそんな彼でも“潜在的な人種差別”について理解を深めるには、長年かかったことが明らかに。

ヘンリー王子は先日、<イギリス版GQ>でブラック・ライブス・マターのアクティビスト、パトリック・ハッチンソンさんと対談。そこで、メーガン妃と出会うまで「潜在的な人種差別」が存在することに気づけなかったことを告白。

「私の育ってきた環境や受けてきた教育の中では、知ることのできなかったことなのです。そのような差別が実際に存在することさえも知りませんでした。(初めて実感したのは)しばらくの間、メーガンの立場になって生活をしたときです」
「潜在的な差別に少しでも気づいたり違和感を覚えたときには、自ら学ぶ姿勢を持つ義務があると私は考えています。無知であるということは、もう言い訳にはならないのです」

潜在的な人種差別とは?

「世界中で蔓延している」とヘンリー王子が話す、潜在的な人種差別。過去には、スタンフォード大学で“潜在的な人種差別”に関わる実験を実施し、人々がいかに色眼鏡をかけて他者を見ているかが明らかになったことも。

同実験ではまず、3つのグループのうち1つに何人もの黒人男性の写真を高速で見せ続けた。2つ目のグループには白人男性の写真を。3つ目のグループには人物の写真は見せなかった。その後すべてのグループにピンぼけした写真を数枚見せ、徐々に写真をクリアにしていき、何が写っているかを把握するまでの時間を計ることに。

結果、ホッチキスやカメラなどの物の場合はどのグループも時間差はなかった一方で、銃やナイフといった犯罪に関係する物の写真の場合は、黒人男性の写真を見ていたグループが特段に早かったという。

スタンフォード大学はこれを、「ステレオタイプによって、潜在的に黒人と犯罪が脳内で結び付けられている」という結論を導き出したよう。そして、人々が意図していないのに、特定の人種やグループをステレオタイプによって差別していることを「潜在的な人種差別」と表現。

メーガン妃と出会い、ステレオタイプや潜在的な人種差別に対して“気づき”があったと話しているヘンリー王子。最近では、訪れた店が白い肌の人形しか置いていない時などに「おかしいな、なぜ黒い肌の人形はないんだろう」と考えるようになったんだそう。環境の変化はもちろん、ヘンリー王子が話したように「自ら学ぶ姿勢を持つ」ことで価値観はアップデートされていくはず。