恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回はデートに誘うと快諾で、順調に進んでいたのにフラれた理由とは?という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




3回目のデートで由香里から“好きです”と言われた時、正直、少し焦ってしまった。

何故ならば、このデート中に、“やっぱりこの子じゃないなぁ”と思っていたからだ。

だが彼女の方は全く違う風に捉えていたようで、僕は困惑しつつ、相手を傷つけぬように、“今は彼女とか欲しくないんだよね”と言ってしまった。

とてもいい子だし、顔や外見は超タイプだ。しかし、それだけではどうしてもダメだったのだ。



由香里と出会ったのは、前の会社が一緒だった友人が開催した食事会だった。計6名いたが、たまたま前に座っていた由香里は僕のタイプで、心の中で“ラッキー”と思っていた。

「由香里ちゃんは、幹事のミキちゃんとは何友達なの?」
「学生時代からの友人なんです。裕太さんは?」
「僕は男側の幹事のヒロと、前の会社が一緒で」

1軒目ではそんな他愛もない会話が続いていたが、2軒目でかなり盛り上がり、何となく僕は、1軒目で一番よく話した由香里の隣にずっと座っていた。

しかしどうやら、ここから男女の認識のズレが起こっていたようだ。


女がそもそも勘違いしている、“気のある素振り”とは?


解説1:本当に気になっていたら、男は3日以内に自分から連絡をする。


楽しかった食事会から一夜明け、翌日は、男女それぞれの幹事が皆を繋げてくれたグループLINEがひっきりなしに鳴っている。

とりあえず“楽しかった、また飲もう!”という内容のLINEを送ってからは、僕はそのグループLINEを静観していた。

そして一通り皆が盛り上がり、すっかり落ち着いていた一週間後に、突然由香里からLINEが来たのだ。

-由香里:裕太さん、先日はありがとうございました(^^)良ければ、今度ご飯いきませんか?


思わず、このLINEを見て顔がニヤける。可愛い子から食事に誘われ、断るはずがない。

-裕太:この前は楽しかったね(^^)うん、もちろん!ご飯行こう!


しかしこの時、僕が由香里のことをどう思っていたか?

正解は、“特に何も思っていなかった”である。

本当に気になる子だったら、自分から連絡をしている。遅くとも、3日以内には連絡をしているだろう。

それでも、由香里のように可愛い子から誘われたらやはり嬉しいに決まっているし、デートをしてみて好きになることもある。だから二人で会うことにしたのだが、今回僕が付き合えないと思ったのは、デートの内容にも理由があったのだ。



僕たちは、今月頭に開店したばかりだが、鮨をカジュアルに楽しめると聞いた『鮨 利粼』で会うことにした。

「由香里ちゃん、久しぶりだね〜。元気にしてた?」

店に現れた由香里は、今日も一段と可愛かった。




初対面の時から思っていたが、由香里の顔はけっこう僕のタイプなのだ。

「はい、お陰様で。裕太さんも、お元気そうで」

いきなり他人行儀な挨拶から始まったこの食事だったが、せっかくの二人での時間だ。僕は色々と話題を振ってみた。

「そっか、由香里ちゃんの会社は大手町なんだ。そしたらオフィス近いね。僕も大手町だからさ」
「そうなんですね!!」
「ランチとかどうしてるの?どこかオススメある?」
「そうですね〜たくさんあり過ぎて選べないかも・・・」

初回は大人数だったから気がついていなかったが、由香里はおっとりしている。話すスピードもゆっくりだし、こちらの質問に対し、丁寧に答えようとしているようだ。

しかし、食事が進むにつれ、段々とこの会話に違和感を感じ始めた。

「由香里ちゃんは何が好きなの?」
「ん〜なんだろう・・・裕太さんは?」
「僕は肉系が好きだよ。最近かなり気に入ってる店があるんだよね」
「いいですね〜」

ーん…?なんだか盛り上がらないな…。

だが今日は初めてのデートだ。向こうも緊張しているかもしれないし、僕が彼女の良さを引き出せていないだけかもしれない。

そう思い、彼女にもう一度会ってみることにしたのだった。


デート中に“ないなぁ”と思われた由香里の行動とは?


解説2:こちらが話題を振ってばかりで、盛り上がらない・・・


初デートから2週間後。由香里が“また飲みに行きましょう”と連絡をくれたので、僕はこの前彼女に話した、最近気に入っている店『T3』へ連れて行った。

「ここ来たことあった?」
「ないです、初めてです!」
「美味しいから、多分由香里ちゃんも気にいるはず」

はじめのうちは、良かった。しかし今回も、前回感じた違和感を拭いきれずにいた。

「由香里ちゃんはどこ出身なの?」
「私は千葉なんですよね。裕太さんは?」
「僕は東京だよ。千葉かぁ〜・・・ゴルフしには、よく行くけどね」
「はは、まぁゴルフ場は沢山ありますからね」

そう言い終えると、突然黙りこくってしまった由香里。僕は思わず顔を覗き込んでしまった。

「どうしたの?急に黙りこくって」
「あ、いえなんでも!美味しいなぁと思って」

-例えばさっきの会話の流れでいうと、“裕太さんは東京のどの辺り出身なんですか?”とかじゃないのか?

これが、僕の方がすごく好きで惚れ込んだ相手とのデートならば、気にならないのだろうか。

僕の方の思いが強ければ、僕も由香里のように緊張して黙りこくってしまうのだろうか・・・。

「そういえば、裕太さんはどういう人がタイプなんですか?見た目とか」
「そうだなぁ〜見た目は小柄で、綺麗系というよりは、可愛らしい子かな。由香里ちゃんは?」
「私は優しい人ですかね。外見は裕太さんみたいな人、タイプです♡」
「え?俺?うっそ、めっちゃ嬉しいんだけど」

嬉しいことは、嬉しい。けれども、どうも自分の中でテンションが上がりきらないのだ。

『T3』の代名詞でもある「メロ吉とアップルサイダーのソルベ」を堪能し、会計を終えて、外に出る。




「裕太さん、すみません。いつもご馳走になってしまって・・・」
「全然いいよ」
「でも・・・あ、2軒目私に払わせてください!」

会計はこちら持ちで全然良かったのだが、そう言われると“じゃあ、ありがとう”と素直に甘えることにし、2軒目は由香里が支払ってくれた。

だが、きっと本当に好きな子だったら、こっそり会計を済まし、2軒目も僕が支払っているだろう。

そして次に繋げるために、こう言うはずだ。

「じゃあ今度、お茶でも奢って」、と。

そんなことを考えていた帰り際、由香里は急にタクシーに乗るのをためらい始めた。

「いつもありがとうございます。またすぐに♡次はいつ会えますか?」

「いつだろう。来週なら金曜とか空いてるけど・・・」
「そしたら、金曜日に!」

この状況で、断ることはできない。

だけど本心では、ためらっていた。

そもそも始まりが、彼女の方から押してきてくれたので、こちらから追いかけている状況ではない。

追われている状況に置かれると、グイグイ来られれば来られるほど、つい引いてしまう。

こうして、流されるまま金曜にデートをすることになったのだが、そこで告白されてしまったのだ。

結局僕は、彼女の気持ちには応えられないという結論を出した。

男が、好きな女性を目の前にした時。

自ら一生懸命誘うし、連絡もこちらからする。そして自分から好きなタイプの話も振って、恋愛トークに持ち込もうとする。次の約束だって、さり気なく男の方から持ちかける。

そして少なからず下心もあるので、“タクシーで送っていこうか?”とオファーするだろう。

-どこかで、気をもたせるような事をしてしまっていたのかな・・・

顔も可愛いし良い子なのだけれども、“好き”とは違う。嫌ではないから誘われれば食事は行くけれど、付き合うとなるとちょっと違う。

そんな自分の気持ちを、はっきりと確信したのだった。

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