今村選手のFC3Sがクラッシュした瞬間/撮影:栗原祥光

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ドリフト競技の最高峰「D1グランプリ」が開催18年目にして初めて北海道の地に上陸!モータースポーツ好き編集者の栗原は、帯広にある「十勝スピードウェイ」に行ってきました!今回は前編として土曜日の予選と、その日に食べたローカルグルメについてレポートします。

とかち帯広空港行きの飛行機に乗る乗客/撮影:栗原祥光

■ 日本生まれのモータースポーツ「ドリフト」

ドリフト競技は速さとドリフト姿勢の美しさを競う日本生まれのモータースポーツ。採点競技で滑る様子から「モータースポーツ界のフィギュアスケート」とも例えられています。

D1グランプリはその中でもっとも歴史が古く、今年で18年目。日本各地だけでなく中国やロシアでもD1グランプリの大会は行われていますが、北海道で行われたことはなく、今回初めて河西郡更別村にある、道内で唯一のFIA公認サーキット・十勝スピードウェイで開催となりました。

■ 羽田から十勝までは1時間30分ほど

都内から十勝スピードウェイへ行くには、羽田からとかち帯広空港へ向かい、そこから車を使うというルートになります。今回は仕事の都合で前泊することができなかったため、レース当日の土曜朝7時10分発の始発便で向かうことに。

そして朝8時30分。とかち帯広空港に到着。朝の羽田は気温20度でしたが十勝平野の気温は7度。6月とは思えない肌寒さです。

交通手段は自動車のみで電車はありません。とある人に伺ったところ、空港から十勝スピードウェイまでタクシーで向かうと6000円を超えるとのこと。空港近くのレンタカー屋で軽自動車 (1泊2日で8000円程度)を借りることをオススメします。

とかち帯広空港から十勝スピードウェイまでは16キロメートルほど。車窓から見える風景は、左右を見渡しても畑と白樺の樹とサイロだけです。自動車はあまり走っておらず、時折見たことがないような大型のトラクターを見かけることも。ひたすら直線で、道中の信号機はたったの2箇所!

十勝スピードウェイに近づいたところで「道の駅さらべつ」を発見。

店内は更別村の農産物や十勝ならではのお菓子がいっぱい。なお、道の駅さらべつにATMはなく、最寄りの金融機関は道の駅から10km以上先にあるコンビニエンスストアとなります。

飲食スペースでメニューを見ると、更別産小麦100%という「さらべつさんうどん」(600円)を発見。生麺のため15分ほどかかるとのことでしたが、折角なので注文。具は月見とごぼ天が選べ、私はごぼ天を選択。

まず真っ黒のツユに驚きます。塩っぽいのかなと覚悟を決めて一口すすると、これがあっさりして塩辛くない。むしろ昆布のダシも効いて旨味と甘味がたっぷり。麺は讃岐のようなコシの強さよりも、喉ごしと香りのよさが売りで、ほのかな麺の甘さが昆布ダシのツユとマリアージュ。カラッと上がったごぼ天は硬いものの、噛めば噛むほど自然の旨みを感じました。

■ 朝から十勝スピードウェイは熱気でいっぱい!サーキット豚丼に感動!

「道の駅さらべつ」を後にして1キロほど進むと、十勝スピードウェイの入場ゲートに到着。

入場するとすでに練習走行が行われており、今年で現役引退を表明している人気ドライバー野村謙選手、北海道出身の上野高広選手、畑中真吾選手をはじめ、各選手が初めてのサーキットを精力的に周回していました。

様々なトークショーを行う特設ステージは常に大盛況。ステージ前にマシンが並びボンネットが開くと、その中を見ようと人だかりで、近づけない状態に。

トーヨータイヤのブースでは、参戦車両を模した子供用のバギーカーを発見。革製のシートなど凝った作りで、記念写真を撮る親子の姿が後を絶ちませんでした。

その隣ではレースクイーンのお二方、泉えなさんと山崎さとみさんが立たれて、寒い中カメラマンたちに笑顔で対応。私も写真を1枚、いえ、何十枚も撮影させていただきました。

12時ごろになると、ステージ前では選手が勢揃いしてのサイン会が行なわれ大盛況に。1時間の予定でしたが、なかなか終わる気配はありません。ですが選手の皆さんは最後まで残りサインを書いていらっしゃいました。

私はその時間を利用し昼食に。出店を見渡すとご当地グルメの「豚丼」を発見。しかも生肉をタレに付けて炭火で焼いているではありませんか。

屋台でここまでやっているものは見たことがないので並んだところ、手元に来たのはなんと30分後!

肉厚の豚ロース肉は余計な油が落ちてシットリとした食感。タレは思ったほど甘くなくてサッパリ。私の中では過去、もっとも美味しいサーキット屋台メシでした。そのほか、ホタテやカキ、鶏の胸肉を豪快に焼いている店も。こういった屋台は、他のサーキットでは見かけません。さすがグルメ王国北海道。

■ 予選直前に降雨!波乱の展開が待ち受ける

午後も練習走行が行われ、インターバルを置いた後、15時30分からは翌日の「単走決勝」進出に向けた予選が始まりました。

練習走行はドライ路面だったのですが、本番直前に雨が降り出しウェット路面に。

このウェット路面の餌食となったのは、十勝戦から参戦する「ドリフト侍」こと今村隆弘選手。1コーナーでアウトに膨らむと、そのまま芝生の上を滑走し右のリアからガードレールに激突しリタイア。

さらに直前のチェック走行でスピンした野村選手は縁石にタイヤを引っかけてしまい、足まわりにダメージを負ってしまいます。まっすぐ走ることすら難しい状況の中、予選2本を挑んだものの敗退となりました。

いっぽう活躍したのは、25歳と若手の小橋正典選手。しだいに雨が強くなる中、V8エンジンを搭載したS15シルビアをスムーズに走らせて予選をトップ通過しました。

■ 帯広の夜は早い……夜の飲み屋街は要チェック!

雨で濡れたカメラを乾かしたり、諸々の打ち合わせを終えてサーキットを出たのは18時。今度は宿泊先である帯広市内のホテルへ向かいます。サーキットから帯広市内までは約1時間ほどかかります。

19時少し過ぎたあたりでチェックイン。荷物を置いて「本格豚丼」に舌鼓と思いきや、多くの店舗が19時頃に閉店。帯広の夜は想像以上に早いようです。

残るのは飲み屋。帯広駅の近くを歩くと「北の屋台」という屋台村を発見。こういうところで地元の人と肩を寄せ合うのは楽しそう。

屋台村の理事にお話を伺ったところ「十勝に来たらワイン。中でもロゼを冷やして飲むのイイんですよ」だそうです。

本当は帯広の夜を楽しみたかったのですが、仕事が溜まっていたためホテルで仕事。夜1時に消灯し決勝レースに備えました。【後半へ続く】 (東京ウォーカー(全国版)・栗原祥光)