花火撮影中の金武さんのカメラ/(C)K.Takeshi

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機能満載の一眼レフやミラーレスカメラを手に「プロもうなる秀逸写真を撮ってみたい!」とフォトジェニックな撮影物を探しているアナタ。今年は花火撮影にチャレンジしてみては?デジカメ初心者から本格派のアマチュアカメラマンまで幅広く活用できる花火撮影術について、プロの花火写真家・金武武さんに伺った。

【写真を見る】5月に「京都芸術花火2018」で撮影したワイドスターマイン。Fujifilm X-T2、ISO200、BULB(15秒間)、絞りF4.5、WB3200k/(C)K.Takeshi

■ マニュアル機能を使いこなせ!

最新式のオート機能が充実しているカメラを持っていても、ワンランク上の花火撮影にはやはりマニュアル操作が欠かせない。ピント、ISO感度、絞り、シャッター速度、ホワイトバランス、AF・MFの切り替えがすばやくできることが美しい花火を撮るには必須事項になるからだ。マニュアルならではのワザを存分に発揮して、撮影の醍醐味を味わってほしい。

花火撮影に必要な機能として挙げられるのがバルブ機能だ。花火開花の直前に押したシャッターボタンを花火が消えるまで押したままにするだけでいい。打ち上げ花火は種類や大きさによって撮りたい光が消えるまでの時間が変動するので、花火のタイミングにあわせてシャッターの開閉を自由に操作できるバルブ機能は非常に便利だ。

■ 備えあれば憂いなし!花火撮影の必需品

バルブ撮影ではブレの防止が重要になるので三脚とリモートコード、もしくはワイヤレスリモコンを必ず持っていこう。撮影時の振動や野外会場の地面の凹凸を考えると、ある程度重量のある三脚が望ましい。また、花火の種類によっては光が意外なほど明るく露出オーバーになりがちなのでNDフィルターも必需品だ。以上の3つは最低限必要な機材なのでお忘れなく。

加えて、夜の野外撮影ではカメラバッグの中がほとんど見えなくなる。いざというときに必要な機材やバッテリーがスピーディに取り出せない、ということがないように小型ライトも用意しておこう。両手を空けるためヘッドライトがオススメだ。

■ 知っ得!基本の設定7か条とは

カメラの基本設定については以下の7か条を参考にしてほしい。

(1)ピント合わせ→AFで花火大会オープニングに打ち上げられることが多いスターマインにピントを合わせ、MFに切り替え。ときどきピント確認を行うこと。

(2)撮影モード→マニュアルに。シャッター速度はバルブにし、絞りを花火に合わせて自由に調整すべし。

(3)シャッター速度→バルブに。目安として2.5号玉なら2〜4秒、尺玉は10秒程度シャッターを開けておく。

(4)絞り(F値)→F2.8〜F27。花火の種類や単打ちかスターマインか、などの場合にもより明るさが異なるので暗い和火ならF2.8、銀冠菊はF11〜16など都度調整を。 

(5)ISO感度→ISO100〜200。花火は非常に明るい被写体なので露出オーバーになりやすい。基本的には使用しているカメラのベース感度で撮影すること。

(6)NDフィルターを装着→明るい花火の撮影でも露出オーバーにならないよう、光を減らす役目を果たすNDフィルターを花火撮影中はずっと装着しておこう。ベース感度がISO100なら「ND4」を、ISO200なら「ND8」に。

(7)ホワイトバランス→色鮮やかな「洋火」であれば「電球(白熱電球)」に。深いオレンジ色の「和火」であれば「晴天(太陽光)」もしくは「電球色を残す」の方が見た目に近い色合いを表現できる。カメラの操作に慣れている人は、さらに細かく色温度を調節して撮影することをオススメしたい。

■ どんな構図を狙う?花火の特徴からイメージを

撮影を始めるにあたり、構図は事前にイメージしておこう。縦か横か構図を決めるのも、やはり花火次第だ。昇り火(打ち上げから開花する前までの間、花火玉が上昇していく間の光)がある単打ち花火や一か所から打ち上がるスターマインなら縦構図、昇り火がない単打ちや幅広く打ち上がるスターマインなら横構図がいいだろう。

花火撮影術を上手に活かして、今年の花火大会は感動の一枚を撮ろう!(東京ウォーカー(全国版)・ウォーカープラス編集部)