敷地内には多くの車と人が行き交い、市場ならではの活気が

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札幌の観光スポットと言えば、すすきのや時計台、羊ヶ丘展望台などが有名ですよね。しかし、これらの観光地といえば昼〜夜に楽しむものが多いんです。札幌にも朝から楽しめる観光スポットがあることはご存知ですか? そこで今回は朝5時から「せり」の見学もできる「札幌市中央卸売市場」をご紹介します。これを読めば市場の全てがわかりますよ!

まずは管理センターかで受付を済まそう

■ 全国でも札幌だけという「カニのせり」

「札幌中央卸売市場」は1959年に全国で17番目に開設された中央卸売市場で、札幌圏はもちろん、全国に北海道の食材を供給しています。敷地面積は約13ヘクタールで、敷地の周りを一周するのに15分ほどかかるくらいの広さです。

施設は、水産棟と青果棟に分かれ、水産棟ではマグロやカニなどの魚介類、青果棟ではメロンやじゃがいもなどの農産物のせりが行われています。

日本で一番有名な市場「築地市場」との違いは、「カニのせり」。実はカニのせりは中央卸売市場の中では全国でも札幌だけ。またマグロも冷凍はせりにかけられず、生のマグロのみがせりにかけられます。衛生管理も厳しく、全国の中央卸売市場の関係者から「日本で一番キレイな市場」と呼ばれています。

札幌市中央卸売市場見学の目玉は、水産・青果それぞれのせりを見学できる点。まずは、見学をするための手続きをご紹介します。まずは、電話で事前予約を! 見学にはかならず事前予約が必要になります。個人なら2日前、10名以上の団体ならば10日前の予約が必要なので注意が必要です。10名以上の団体なら説明案内員が当日同行してくれます。見学当日は敷地内にある管理センターで受付を行いましょう。

受付を済ませたら管理センターにあるエレベーターで3階へ。エレベーターを下りると目の前に広がる通路が。この通路の先にあるホールから水産棟・青果棟へ向かうことができます。両側共にガラス張りの通路なので晴れていると朝日が気持ち良いですね。見学はどちらの棟も直接せり場へ入場することはできず、2階にある見学通路からとなっています。

せりの見学ができる時間帯は水産が5:15〜6:30。青果は6:30〜7:30。効率よく回るなら先に水産棟からがオススメ。

それではいよいよせりの見学を始めましょう!

■ 魚で行われる「一声せり」の仕組みは

水産棟に近づくにつれて、魚の匂いが。水産棟へ向かう連絡通路からは、これからせりに参加する仲卸業者があわただしく車で出入りする風景をうかがえます。水産棟に入ると手前からマグロ売場、高級魚売場、近海売場、大衆魚売場の順番で並んでいて、奥までは約240mもの長さがあります。

せりの順番は5:15から高級魚からスタートし、大衆魚、近海物、マグロの順番で進んで行くので順番に巡りましょう。

そしていよいよ高級魚と大衆魚のせりが始まる時間に!

せりが始まると卸売業者の「せり人」の威勢の良い声が場内に! そして、「仲卸業者」が希望の金額を書いた手持ちのホワイトボードを掲げていき、一番高い値段を出した人に落札されます。このせりの方法を「一声せり」と言います。この時、同じ金額の提示があった場合はどうやって決めると思いますか?

なんと、じゃんけんをして決めるのです! ここもせりならではの面白いポイントですよね。

ちなみに、せりの時に「せり人」が話す言葉は、「せい!はいえーあーさいにーさいにー!はい!」と、こんな感じで聞きなれないと何を言っているのかよくわかりません。「せり人」それぞれの言い方があり、特に決まった言い方はないらしい、しかし、だいたい「この商品、いくらで買いますか?」という意味の言葉をしゃべっているようです。とはいえ何回聞いてもわかりません!

次に見学するのは、一番手前の「マグロせり」。築地市場と異なり、すのこの上にマグロを置くのではなく、台の上にマグロが並べてられているのが特徴です。せりの方法は高級魚と同じく「一声せり」。普段5分ほどでマグロのせりは終了してしまうため、見逃さないように注意しましょう。ボーッとしていると、あっという間に終わってしまいます。

水産のせり見学を終えたら、今度は青果のせり見学! 水産棟から一度ホールに戻り、青果棟2階の見学通路へ。青果棟の広さは水産棟よりも長い250m! 見学通路の真下でせりが行われるので、水産棟よりも間近でせり見学ができます。

「青果せり」の方法は「上げぜり」というオークション形式。「仲卸業者」が指の形で希望の値段を示し、せり上げていき、最高額を提示した人が落札という方法です。一般的にせりと聞いてイメージするのはこちらの方法でしょう。

仲卸業者は手の形を様々に組み合わせて金額を示します。「せり」は、卸売業者が金額を3度呼び上げる間にさらに高い金額がでなければ、その金額を提示した仲卸業者が競り落とせるのです。目の前で繰り広げられるハイスピードのやり取りは圧巻の一言!

せり見学の後は、北海道の青果物や水産物、市場の仕組みについて学ぶこともできます。水産棟の見学通路には、資料室と展示室があり、北海道で水揚げされる魚や、卸業者がかぶる帽子などが展示されています。また、実際に市場内を走っているターレット(構内運搬車)も展示してあり、残念ながら走らせることはできませんが乗ることは可能。多くのターレットが場内を行き来しているので、乗ってみたくなっちゃいます。

■ 市場を支える道具の数々もチェック!

「札幌市中央卸売市場」で、見ておきたいポイントのひとつが「宮文刃物店」。実際に業者がマグロをさばくために使う包丁が売られています。刃渡り60cmほどの、まるで日本刀かと思ってしまうくらい大きな包丁も並んでいるので、見るだけでも迫力があり楽しめます。100本を超える様々な包丁のほかにも、魚のうろこを落とすための道具なども販売していて、市場になくてはならない存在です!

もしも、せりの見学が終わり、まだ時間があるなら、中央卸売市場内でそのまま朝ごはん! 水産棟3階には市場内の人が利用する食堂があり、海鮮丼はもちろん、豚の生姜焼き定食やラーメンなど30品ほどのメニューが用意されています。うれしいことに見学者でも利用できるのです。せり場から直接買い付けた新鮮な食材を楽しむ事ができます。目の前で取引された食材をすぐに堪能できるなんて、ちょっぴりうれしいですよね。

いかがでしたでしょうか。早朝から楽しむことができる札幌観光の新名所「札幌市中央卸売市場」の魅力をご紹介してきました。見る機会が少ない「せり」。見学では活気にあふれるせりの様子を、展示室では北海道の水産物や青果物や市場の仕組みについて、そして食堂では新鮮な食材を楽しめます。せりだけではなく楽しめるスポットが豊富!場外市場での買い物前に、少しだけ早起きをして、「せり見学」、いかがでしょうか?

札幌市中央卸売市場 ■住所:札幌市中央区北12西20-2-1 ■電話(市場見学受付):011・611・3176 (市場協会8:00〜16:00) ■時間(せり見学):5:00〜16:00 ■休み:日曜日、祝日、年末年始、市場が定める休市日

【北海道ウォーカー編集部】