三越伊勢丹×ビームスの新プロジェクト第一弾は「九州」【九州のクリエイターたち:prologue】

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三越伊勢丹とビームス(BEAMS)がタッグを組み日本各地の魅力を再発見するプロジェクトイベント「STAND九州」が、3月29日より伊勢丹新宿店本館1階=ザ・ステージとビームス ジャパン1階でスタートする。

同イベントは、“日本の魅力を掘り起こして発信し、日本全国の地域活性化に貢献する”をテーマに、2016年11月に発足した新プロジェクト「STAND FORTY_SEVEN」。その第一弾として、九州にスポットをあてた「STAND九州」が開催。九州で活躍するアーティストにフォーカスし、民芸品や伝統工芸品をデザイナー、クリエイターがキュレーションする他、コラボレーションから生まれるユニークな発想で新たな九州の魅力を作り出していく。

FASHION HEADLINEでは、「STAND九州」の魅力をさらに引き出すべく、プロジェクトメンバーである三越伊勢丹のバイヤー青木健二さんと共に九州へと向かった。九州の民芸を代々受け継いできた職人や、震災を経験し地元を元気にしようと活動するクリエイターたちを訪ね、「STAND九州」プロジェクトでの新たな挑戦について話を聞いた。そして、彼らとの出会いを綴った連載をスタートする。

--目 次 (順次公開予定)--
■九州が生んだクリエイターたち

01. 福岡のラーメン店と東京コレクションデビューを果たした注目ブランドが異色のコラボレーション。「秀ちゃんラーメン」×「ダブレット」
02. 箒の柄先は靴べら!今まで見たことのないユニークな箒をつくる熊本の工房「OPEN STUDIO」を訪ねて

■被災した大分・熊本(O・K)のショップが新たに挑戦するものづくり「OK SHOP」

03. 明治時代の印刷機と木活字。熊本の活版印刷所「NINE LETTER PRESS」
04. 震災を経験して小売業者たちの事業継続も危ぶまれる中、私たちにできることとは?「OK SHOP」発起人の一人である錦戸主税が語る、地域や人との繋がりで芽生えた大切な輪

■九州の荒物・民芸品×カリフォルニアテイスト

05. 『彦一とんち話』に登場するたぬきがモデルの郷土玩具「彦一こま」が、モダンな作品に大変身!
06. 熊本で1300余年前の奈良時代初期から伝わる「木の葉猿」が、パステルカラーを纏った守り神に

>>次のページへ:「トータス ジェネラル ストア」オーナー篠本拓宏さん【INTERVIEW】



また、このプロジェクトにおいて欠かせない人物といえば、日本の日用品にフォーカスしたショップをLAに構える「トータス ジェネラル ストア(tortoise general store)」のオーナー篠本拓宏さんの存在である。篠本さんは、実際に作り手のもとを訪れ、熊本で古くから伝わる民芸品をカリフォルニア仕様に変身。技術や手法は昔のまま、篠本さんの新たなイマジネーションによって生まれ変わった「彦一コマ」や「木の葉猿」そして「きじ馬」「花手箱」は、どのように製作されたのだろうか。ロサンゼルスに住む篠本さんにメールインタビューを行った。

ーー「STAND九州」について、篠本さんの思いなどお聞かせください。

篠本拓宏さん(以下、篠本さん):
ビームスの南馬越さんから今回の熊本企画のお話をいただいた時に、“カリフォルニア仕様の荒物”というお題にとても興味を持ちました。
熊本という点でも、トータスには熊本出身のスタッフもいて去年の5月にはそのスタッフの声かけでドネーションイベントもしました。また別の形で熊本のお役に立てることを嬉しく思いました。

ーー実際にクリエイターや職人の方を訪ねて感想や発見したことはありますか?

篠本さん:今回一緒にお仕事させていただいた作り手さんは僕の店でも以前販売させていただいた事がある民芸品でした。その時は直接仕入れではなく東京の民芸店を通して仕入れさせていただいたのですが、今回は実際に作り手さんを訪ねる事ができた事もとても有意義でした。なかなかこんな機会が無いと行く事も簡単ではないですので。

皆さん、家族単位で伝統を引き継ぎ地道に制作されていて、感動しました。民芸玩具は需要や後継の問題などで廃絶していくものが少なくない中で、作り続けていく強さを感じました。

ーー今回のそれぞれのインスピレーションは何だったのでしょうか?

篠本さん:今回はデザインというようなものではなく編集作業みたいなものです。皆さんが持っている材料や手法、技術を生かしながら見えかたを全く新鮮な物にするように考えました。

カリフォルニアという事ですが、メキシコのフォーククラフト的なイメージが有ります。カリフォルニアは半分メキシコみたいな感じもありますので。日本の民芸品は色やテクスチャーに少し重みがあるので、軽く明るく仕上げました。

プラスチックぽい塗装が施されていた物に関しては、自然な感じの塗料に変えたり、木の質感を生かしたりしています。その分汚れやすかったりする点もあるのですが、それも経年変化として楽しんでいただけると嬉しいです。

ーー今回のイベントに来られるお客様へメッセージをお願いします。

篠本さん:今回の企画が作り手の方の方々にとっても、今後の新しいものづくりのアイデアと可能性につながってくれれば嬉しいです。

プロフィール:篠本拓宏
株式会社イデーでの経験を経て、2003年アメリカ・ロサンゼルスへ移住。「TORTOISE」を立ち上げ、日本のプロダクトを通じて日本のデザイン、知恵、技術、文化をアメリカに伝えるための店をオープン。2008年、日本の様々な日用品にフォーカスした「tortoise general store」をオープン。2011年、長崎県西海陶器とhasami porcelainをデザイン、波佐見焼を世界に広めるプロジェクトを立ち上げる。

【イベント情報】
「STAND九州」
■伊勢丹新宿店
会期:3月29日〜4月4日
場所:伊勢丹新宿店本館1階=ザ・ステージ
時間:10時30分〜20時

■ビームス ジャパン
会期:3月29日〜4月11日
場所:ビームス ジャパン1階
時間:11時〜20時